Category: Diary

ノンアルに思う

四月下旬から東京都で発令されている、緊急事態宣言。今回の宣言下では、飲食店での酒の提供が禁じられた。

吉祥寺にあるなじみのバーは、休業せざるを得なくなった。三鷹や西荻窪の行きつけのお店も、ノンアルのドリンクのみにしたり、いつもと業態を変えたりして、それぞれ頑張っている。そうしたお店に行くと、いつもと同じ愛想のよさで、いつもと同じように心のこもった、おいしい料理を出してくれる。でもさすがに、酒を出せなくなったというのは、相当きついようだ。去年からずっと、時短営業だ何だとあれこれ締め付けられる中で、いろいろ工夫して頑張ってきただろうに。

最近の酒造メーカーの技術力はすごいので、ノンアルコールビールも、味はそんなに悪くなく、それなりに飲める。じゃあ当面は外食もノンアルでしのぐか、と思えるかというと……正直、まったく納得できない。

コロナ禍が始まって、かれこれ一年以上経つ今になって、飲食店に酒の提供を禁じるのは……理論的・戦略的・医学的な根拠に基づく判断というより、行き当たりばったりにあれこれ講じてきた対策では感染拡大を抑えきれなくなったから、とりあえず酒を止めてみるか、という窮余の策でしかないように思う。理論的・戦略的・医学的な根拠に基づいて、広範囲な検査と隔離と補償を徹底してきた台湾やニュージーランドのような国々の今の平穏ぶりとは、あまりにもかけ離れた結果だ。

今の日本のこの惨憺たる結果を招いたのは、間違いなく、政府与党の政治家たちが、無為・無策・無能だからだ。彼らがまっとうに考えて仕事をしていれば、感染拡大はもっと抑えられたし、医療崩壊も起こらなかったし、多くの人が困窮に追い込まれるのも防ぐことができた。酒だって普通に店で飲めた。ライブや演劇にだって普通に行けた。オリンピックなんて、とうの昔に返上していたはずだ。

まっとうな思考のできない政治家が、自らの過ちを省みることも認めることもせず、詭弁を弄して地位と利権にしがみついているうちに、日本は本当に、ぐちゃぐちゃな状態になってしまった。

次の総選挙まで生き残れたら、自分の一票で、自分の意志を示そうと思う。

今こそ、本をつくる

先週末は本屋B&Bで、竹沢うるまさんとのトークイベントに出演した。少人数ではあるが、お客さんに集まっていただいて、配信とのダブル体制で。

人前に出て話をするのは、およそ2年ぶり。司会とかでなく自分自身の旅の話をしたのは、3年ぶりくらいだろうか。始まる直前まではそれなりに緊張したが、話し上手なうるまさんのおかげで、すーっと場になじめて、まずまず話せたような気もする。何より、去年出した『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』についてのトークイベントをようやく開催できたので、本当にほっとした。

ただ、コロナ禍に苛まれている世の中の状況は、世界も日本も、まだまだ厳しい。大阪はもはや緊急事態宣言発令待ったなしだし、東京も早晩似たような事態に陥ると思う(そうならない要素を探す方が難しい)。お客さんを集めてのイベントの開催は、またしばらくは難しくなるだろう。

かといって、Zoomなどの配信によるトークイベントで視聴者を集めるというのも、なかなか難しくなってきているように思う。先週のトークイベントは、うるまさんのおかげもあって、それなりに採算の取れる形で成功したのだが、同じかそれ以上の結果を出し続けるのは、企画や人選でよほど工夫しないかぎり、無理だと思う。長引くコロナ禍で、世間の人たちはみな、リモート画面で見る世界にもう飽き飽きしているからだ。

こういうややこしい時代に、いったい、何をどうすれば、自分が伝えたいことを、一番良い形で伝えられるのだろう?

そう考えていくと、とてもシンプルな答えに行き当たった。本だ。本という存在が、ある意味、一番良い選択肢なんじゃないか。それを読みたい人のもとに届けられれば、いつまでもずっとそのかたわらに寄り添って、ページをめくられるのを待っていてくれる。自分はこれまでの人生の中で、そういう本をつくるという仕事を、ずっとしてきたんじゃないか。

今こそ、読むに足る価値を持つ本を、つくるべき時だ。やり抜こう。めちゃめちゃ忙しいけど、がんばろう。

西荻カレー天国

僕が今住んでいる西荻窪は、カレー屋さんが、めちゃめちゃ多い。さっき、自分が入ったことのある西荻のカレー屋さんを数えてみたら、優に10軒はあった。それでもたぶん、総数の半分かそこらくらいだと思う。

それらの内訳も、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュなどのインド亜大陸各国のカレーのほか、フレンチ仕込みや和風テイストなど、オリジナルのアレンジのカレーを出す店もとても多い。タイ料理店やベトナム料理店で出すそれぞれの国のカレーも含めると、まじでとんでもない種類のカレー屋さんが、この小さな駅の界隈にひしめいている。あと、自前の店舗ではなく、他店に間借りする形でカレーを出している人気店もたくさんあるそうで、全部をフォローするのは、よほどのカレーマニアでないと難しい。

三鷹駅の北口側に住んでいた頃は、自宅の近くにあったのはココイチくらいで、南口側のリトスタまで行ってようやくランチのカレーにありつけるくらいだったから、本当に隔世の感がある。あの頃と比べると、今は僕も自宅で週一ペースでスパイスカレーを自炊するようになって、お店でカレーを食べていても、スパイスの香りや味わいが以前よりわかるようになってきた気がするので、最近はカレーを食べること自体がますます楽しくなった。

そんな今日この頃ではあるのだが、今週自炊する予定のカレーは、ハウスジャワカレーの粉末ルーを使った、ごく普通のビーフカレー(笑)。まあ、これはこれで、うまいんだよなあ。

飛び去っていく日々

ここ十日間ほど、かなり忙しかった。大学案件の取材と執筆が立て続けに入って、それが終わってすぐ、六月に出る予定の新刊の著者校正。まるまる一週間ほどかけて、ようやくチェックし終え、とりあえず明日、郵便局からレターパックで出版社に送る予定。

著者校正をしてる間は、文字通り、一字一句をなぞるように、ひたすらちまちまと追い続けていた。ある程度の経験と、根気と持久力と集中力のいる作業だ。原稿を納品する時に入念にチェックしておいたはずだったのに、あらためて一字一字拾っていくと、やっぱりあるのだ、誤字、脱字、誤変換、不用意な重複、日本語的に意味が通りにくい部分、その他いろいろ……。でも、ここでしっかりチェックしきれるかどうかで、本の品質はかなり決まってくる。だから、絶対に手は抜けない。手を抜いて作られた本は、読者(特に同業者)に、あっという間に見抜かれてしまう。

はあ、あともう少しだ。がんばろ。

ついこの間、マンションの裏手で満開だった桜の木は、もうすっかり新緑の葉桜になってしまっていた。毎日が、矢のように速く飛び去っていく。まあ、今みたいなご時世なら、とっとと早く過ぎ去ってくれた方がいいのかもしれない。

桜の季節


先週は、何度か散歩をして、桜の花を見に行った。善福寺公園、小金井公園、井の頭公園。桜はちょうど見頃のタイミングで、枝先にぷくぷくと咲いた薄紅色の花々が、とても綺麗だった。

去年の今頃は、「来年は普通にお花見ができるようになってるといいね」と相方と言い合ってたのだが、一年経った今も、残念ながら、普通に花見ができるようにはなっていない。花見スポットではゴザを敷いての宴会は禁止されていて、マスクをつけた人々の列が、満開の桜の下を巡回していた。桜の樹々からしてみたら「去年も今年も、人間たちの様子は変だな」と思うことだろう。

さて、来年こそは、普通にお花見ができるように、なって、いるのだろうか? 個人的には、五分五分といったところかな、と思う。