Category: Diary

敵と味方と

昼、仕事に取りかかろうと思ったら、一通のメール。先週電話口で口論になった取引先の人からの原稿の大幅な書き直し依頼だったのだが、何度読み直しても、何を指示しているのかさっぱり理解できない。仕方なく先方の上司の方に話を振ったら、「ほとんど問題ないですね」と、結局2項目だけの書き直しで決着。何だったんだいったい(苦笑)。

自分のようにフリーランスで世の中を渡り歩いていると、時には、自分の立場と仕事を守るため、怒りたくもないのに怒らざるを得ないことがある。怒ってみせなければ、その時に強いられた不合理が後々までまかり通ってしまうから。僕自身がもっと大物になれれば何の問題もないのかもしれないが(苦笑)、とりあえず今はまだ、望まない戦いをしなければならないことがしばしばある。

僕はもともと丸い性格ではないから、そういう仕事絡みの諍いで敵に回してしまった人も少なからずいると思う。今回口論になった相手からも、藁人形に五寸釘を打ち込みたいくらいには恨まれてるかもしれない(苦笑)。でも僕は、仕事絡みで敵になってしまった人がいたとしても、その人を憎んだりはしたくない。そういうことにエネルギーと時間を費やすのは疲れるし、もったいないから。ただ、もう二度と俺に近づくな、と念じるばかりだ。

敵もいれば、味方もいる。結局、長続きする仕事は、互いに信頼できる相手とのものだから。

六月のような十月

午後、映画を観に渋谷方面に出かける。何だか蒸し暑い。十月なのに、まるで六月頃のような天気だ。

途中、表参道にある店に寄って、前から目をつけていたジーンズを購入。ジーンズを買ったのは本当にひさしぶりだったのだが、ウエストが30インチでぴったりだったので、ひと安心。太ってなかった(笑)。

その後に観た映画は——たぶん明日レビューを書くけど——先週観た映画が結構重い内容だったので、今週はほのぼのした牧歌的な映画を選んだつもりが、ある意味、先週以上に重かった(苦笑)。どよーん、とした気分を晴らすべく、新宿に移動し、アカシアでピルスナービールとビーフシチューのプチ贅沢。蒸し暑かったので、ビールがうまい。

まあ、映画はいい映画だったし、ジーンズは買えたし、おいしいものも食べられたしで、いい休日だったかな。

白鳥の歌

父が生前に撮影した写真。安曇野にある、冬の早朝に白鳥が集まる池で撮ったものだと思う。父が勤めていた高校の元同僚(僕も教わったことがある)でカメラ仲間の方が、葬儀の時にこの写真を大きく引き伸ばして持ってきてくださった。家族もみんな気に入っていたので、父の訃報を伝えるハガキの裏面にこの写真を刷って、知人の方々に送った。

白鳥の歌、か。カッコつけやがって。

写真を撮られる

昨日、歯の詰め物が取れてしまったところがあったので、今日は朝イチで歯医者へ。治療はすぐに終わったのだが、保険証が先月末で失効していたことに今頃気付いた。それを市役所に取りに行ったりして、朝から結構バタバタ。

午後は神保町で取材。といっても、僕が取材するのではなく、される側。僕が今手がけている仕事の中でも、写真にまつわる話を中心に聞かれた。それはそれで気疲れしたのだが、さらに追い打ちをかけられたのが、写真の撮影。

「じゃ、扉ページ用の写真は、外で撮りましょうか、外で」

‥‥え? ‥‥そ、外?

かくして僕は、大勢の人が行き交う神保町の街のあちこちで、顔をひきつらせながら、写真を撮られる羽目になったのだった。ただでされ撮られ慣れしていないのに、こんな街の中でなんて‥‥。恥ずかしくて死にそうだった。神保町界隈で働いている知り合いに目撃でもされたら、本当に倒れてしまっていただろう。

いやもうほんとに、ああいうのは勘弁してください。

経験という足枷

夕方、今関わっている案件の依頼元から電話。で‥‥ひさしぶりに、やっちまった。電話口でのケンカ。あんなことでカッとなってしまって、我ながら大人げない。頭にきた原因はまあいろいろあるのだが、事前にちょっと準備したり説明してくれたりしていれば簡単に回避できたはずの作業が、先方がそれらを怠ったためにこちらが二度手間、三度手間となっているのが、共通した問題。

編集者という仕事は、ライターやデザイナーをはじめとする周囲のスタッフが、できるだけ円滑に気持よく作業ができるように配慮するのが大きな役割の一つだと僕は思っている。その際、経験が豊富かどうかは実はあまり関係ない。駆け出しの編集者でも、丁寧に心配りをしてくれる人は大勢いる。むしろ、中途半端にキャリアを積んで「自分は仕切れる」と思っている(あるいはただ思い込んでる)編集者の方が、相手の手間を考えなくなったり、仕事が雑になったりしがちになる。経験が足枷になっているわけだ。

今回のやりとりで一番失笑したのが、データを納品する際のファイル名の付け方の件。Mac上でZIP圧縮したデータをWindowsで解凍すると、ファイル名の2バイト文字が文字化けしてしまうので、今回はアルファベットにリネームして納品したのだが、「こちらの指示した日本語ファイル名で納品できないなら、そちらのパソコンにWindowsをインストールしてはいかがですか?」と言われた。そんなことするくらいなら、この依頼、最初から断ってる(苦笑)。

しかしこの世の中、便利なものはあるもので、Windowsでも文字化けしないZIPファイルが作れる「WinArchiver」というアプリがあることを友人に教えてもらった。いやー、Mac最高(笑)。