Category: Diary

旅のアナログ志向

先日、近くの銀行でVisaデビットカードを新しく作った。前にも書いたが、これまで海外取材の時に利用していたアメリカン・エキスプレスのトラベラーズ・チェックが、来年三月末で日本国内での販売を終了することになり、その代わりに取材費を持ち歩く(フリーランスの身分でも取得可能な)方法として、なかばやむを得ず。

やむを得ず、というのは、未だに僕は、カードを積極的に利用することには気が進まないのだ。日本国内の実店舗で使うのは安全かもしれないが、海外では、そのへんの一般の店だと、こっそりスキミングされちゃうんじゃないかと疑心暗鬼になってしまう。現にこの間、旅の経験豊富な知人が、バンコクで使ったカードをスキミングされて、帰国後にそのカードがタイでさんざん使われてしまっているという報せが届いたそうだし。正直、自分の場合は、銀行のATMでのキャッシングくらいしかする気になれない(苦笑)。

カードがいらないというわけではないけれど、それに押しのけられる形で、トラベラーズ・チェックというアナログだけど安全にお金を持ち歩ける手段が消えていくことには、やっぱり不安を感じざるを得ない。二重三重のバックアップを用意できれば、安全性もそうだけど、精神的にもずっと安心して旅ができるだろうし。

まあ、何だかんだで、こと旅に関しては、僕はアナログ志向なんだな。

想像力

夕方、本屋に行ったついでに、駅前の揚げ物定食の店に入る。わかる人にはわかると思うが、そのチェーンの本社ビルの一階に入ってる店。味噌カツ定食を注文。

しばらくすると僕の分が運ばれてきたのだけれど、料理が載ってる黒いトレイが、およそ四分の一くらい、びっちょり濡れている。水滴がついてるというレベルではない。ただの水ならまだいいけど、お茶とかソースとかだったら嫌なので、通りがかった店員さんに聞く。

店員「あっ、これは‥‥水ですね。お取り替えしましょうか?」
僕「いや‥‥水ならいいです」
店員(手に持ってたテーブル拭きを見せて)「お拭きしましょうか?」
僕(かなりドン引きして)「いや、いいです」

何というか‥‥この間書いた、メールに返事を書かない編集者の件もそうだが、結局、想像力の問題なんだろうな、と思う。びっちょり濡れたトレイで料理を出されたら、相手がどう思うか。懇切丁寧にしたためて送られてきたメールを無視したら、送り主がどう思うか。そういうところを想像しようとするだけで、いろんなことがずっとうまく回るようになるのに。

自分自身、いろんな場面でそういう想像力を忘れないようにしようという、戒めも込めて。

体調不良?

昨日、都心での打ち合わせから戻ってきて、駅前で晩飯を食べて帰宅してから、体調がちょっと妙なことになった。

部屋の温度はそんなに低くないはずなのに、悪寒といっていいような寒気がする。腹のあたりに、圧迫感のような重だるさを感じる。熱はないみたいだし、下痢を起こしてるわけでもないが、全体的には、明らかに体調がおかしい。食欲もまったくといっていいほどない。

こういう時にはさっさと寝てしまうのがいいと思って、昨日は珍しく早寝して、そのまま昼頃まで眠り続けた。幸い今日は何も予定がなかったので、部屋でおとなしくしつつ、スープ春雨をすすったり、ほうじ茶をたっぷり作って水分補給したりしていた。

すると、ついさっきから、急に腹が減ってきた(笑)。身体が食事を要求してるということは、もう大丈夫というサインなのだろう。サンドイッチとおにぎりと、あったかいカフェオレを買ってきて、食べ物のありがたみをしみじみ味わう。明日から、またがんばろ。

冬の嵐

朝から荒れ模様の天気。昼から都心に打ち合わせに行かなければならないのに、困ったな‥‥と思ってたら、幸い出かける頃には雨も止んでくれた。東西線が竜巻を警戒して徐行運転だったので、遅刻するかもとちょっと焦ったけど。

今日の打ち合わせは、みっちり二時間、新しい企画の進め方についての話し合い。本づくりの実作業そのものは大変でも楽しくもある時間だけど、それを実現するための助走期間は、とにかくただただ大変で、自分の力ではどうにもできない部分も多くて、精神的にもしんどい。まあでも、それも自分が選んだ道だから。

帰りは東京駅まで歩いて、中央線で。中野を過ぎたあたりで、どんよりとした雲が突然裂けて、眩い光がこぼれ出てきた。冬の嵐は、いつかは過ぎ去る。

人に会うこと

昨日の夜は、綱島のポイントウェザーで、旅音の林さんたちとの旅人飲み会。僕は、あまりにも大人数な飲み会は人見知りがしてしまって正直得意ではないのだが、昨日は少人数でしっぽりと、異国のビールを飲みながらののんびりとした宴。いつもの交遊範囲では話せないような旅のあれこれを話すことができて、とても楽しかった。

そして今日は、昼に三鷹で庄司康治さんとお会いした。デイリーズでおひるをご一緒して、これまた他の人にはまったく通じないような濃い話(たとえば、チャダルの行程上にある洞窟の名前について、とか)をさせていただく。庄司さんはアラスカでの経験も豊富にお持ちなので、この機会にとあれこれ質問させていただいた。お会いするたびに思うのだが、庄司さんの経験値は本当にすごいなあと思う。僕など足元にも及ばない。

ここ数日、気分的にはあまり調子がよくなかったというか、正直かなりしんどい部分もあったのだが、昨日今日とこうした方々にお会いしていろいろ話せたおかげで、だいぶ楽になった気がする。人に会うことは、時にとても力強い後押しを与えてくれる。がんばらねば。