Category: Diary

飴色の悩み

カレーを作る時、タマネギの処遇をどうすべきか、ずっと悩んでいた。

カレーに使うタマネギは、みじん切りにして飴色になるまで炒めるというのが、割と一般的なセオリーだ。時間をかけて炒めて水分とともに辛味成分を飛ばすと、甘味や旨味の成分が引き出されて、カレーにコクを与えるのだという。大ぶりに切ったタマネギのカレーの方が好きな人ももちろんいるだろうけど、実際に自分で作り比べてみると、やっぱりみじん切りにしてある程度時間をかけて炒めたタマネギのカレーの方が、コクがあってうまかった。

問題は、タマネギを飴色になるまで炒めるのに、結構時間がかかるということ。一般には30〜40分かけて炒めろとも言われているけれど、自分の家で一人で食べるためだけのカレーにそんなに時間をかけるのは、はっきり言って相当メンドクサイ。木べらを動かす手も疲れるし。

なので最近は、だいたい15分くらい中弱火でタマネギを炒めて、体積が半分以下になるまで水分が飛んで色が変わったら、肉と野菜を順次入れて炒め、水を注いで煮込みに入ることにした。それで十分、カレーにコクは出るように思うのだけど、どうかな。とりあえず、自分的には満足してるけど。

というわけで、今日の晩ごはんはポークカレー。ごちそうさまでした。

友チョコ

年末に安曇野で、実家の人間たちと過ごしていた時のこと。

姪っ子(中2)がひまつぶしに、自分のiPhone(さすがデジタルネイティブで、親よりも自然に使いこなしてる)に入れている写真を見せてくれた。その中に、きれいにラッピングされたチョコレートがたくさん写っている写真があった。

「これは?」「前のバレンタインデー」「あげたの?」「ううん、もらったやつ」

最近は、女の子同士でチョコをプレゼントし合う「友チョコ」という習慣がすっかり定着して、ごく当たり前のことになっているそうだ。そうなのか‥‥何しろおっさんなので、まったく知らなかった(苦笑)。

「じゃあ、男子にはあげないの?」と聞くと、姪っ子はきょとんとして、こう言った。

「男子にチョコあげるような人は、だいぶ変わり者じゃと思うよ」

‥‥時代の移り変わりを感じる(汗)。いつか、チョコをあげたい男子が現れたら、周りに変わり者だと思われないように、こっそりあげたまえよ。

つまらなくなる街

午後、ぼうぼうに伸びた髪を切ってもらうため、三鷹の南口にある理髪店へ。

駅を抜けて階段を降り、細い道に入ると、左右に並ぶ店が、軒並み閉店してしまっている。このあたりに再開発で高層ビルが建てられるという話は、少し前から聞いてはいたが‥‥。昔ながらの喫茶店やごはん屋さんが、ひっそりと入口を閉じ、閉店のお知らせの貼り紙を貼っている。無念さのにじむその文面を見ていると、何だかやるせなくなる。

三鷹だけでなく、中央線沿線のあちこちで、似たような再開発が次々に行われていると聞く。再開発を十把ひとからげに悪いと決めつけるつもりは毛頭ないけれど、どこもかしこも、つるんときれいな外観のビルに、どこかで見たような小洒落たテナントが並んでいる街は‥‥つまらないんじゃないかな、やっぱり。少なくとも、個人的には。

本当の意味で、街を面白く、居心地よくするのは、大仰な都市開発とかではなく、一人ひとりの小さな営みなんじゃないかと、僕は思う。

平々凡々

風の強い、荒れ模様の天気。終日、部屋で仕事。来週末のトークイベントに備え、出演者の方々の写真のスライド制作に取り組む。とにかくみなさんの写真が素晴らしい。お客さんの反応が楽しみだ。

昨日の夜、寸胴に豚汁を大量に仕込んだので、それから三食続けて、豚汁とごはん。意外と飽きないというか、一日経つと味がなじんでうまい。

昨日書いたエントリーが、どこでどう広まったのか、このブログにしては異様な数のページビューを集めている。そんなに大勢の人にご足労いただいて何だか申し訳ないのだが、普段はこんな風に、三食続けて豚汁食べたとか(苦笑)、その程度の話しか書いていない。いち零細ライターが日々適当に書いているだけのブログなので、その辺ご理解いただければと思う。

明日からも、平々凡々、淡々と生きていく。

嘘まみれの人生

先日、同業者の知人から「Twitterのフォロワーが20万人いるという海外ライターの人から、会って情報交換したいと言われたのだが、どうすればいいと思うか」という相談を受けた。

フォロワーが20万人というと芸能人でもかなり有名な人のレベルだが、その人のアカウントを見ても、そういう名前のトラベルライターに心当たりはない。Twitterにも、そこからリンクされているブログ(ちなみにアメブロ)にも、具体的な仕事歴は何も掲載されていない。

その人のブログやTwitterには、海外で撮ってきた街角や高級ホテルの写真がふんだんに掲載されているが、特に内容のないコメントが数行添えられているだけ。場所と時系列もまちまちで、手持ちのストック写真を使いまわしてるのだろうが、どういう意図で更新し続けているのかわからない。ちなみにフォロワーが20万人いるというこの人、フォロー相手も20万人いる(苦笑)。

あまりにも怪しすぎるので、その人の実名でググってみたら、案の定だった。アメブロの旅行ジャンルでトップクラスの人気ブログの内容を、その自称海外ライター(ていうか「海外ライター」って何?)がそのままパクって自分のブログに使っているという、第三者による検証記事がヒットしたのだ。この調子だと、その人のブログやTwitterの内容すべてにも疑念が湧いてくる。知人に接触を試みたのも、フォロワー20万人を見せ球に、何かしらの便宜を図ってもらおうとしたのだろう。

以前も、ソーシャルメディアについて個人的に思うところを書いたことがあるけれど、ソーシャルメディアは結局、今の時代のインフラでしかないのであって、現実を現実以上のものにすることはできないのだと思う。ソーシャルメディア上で有名になる人がいるのは、その人自身にそうなるべき資質や魅力が備わっていたからだ。中身がカラッポで他人のコンテンツをかすめ取るしか能のない人が、どれだけフォロワー集めに汲々としたところで、魅力的な人間になれるわけがない。

そんな嘘まみれの人生を生きて、何が楽しいのかな。20万人のフォロワーの中に、彼が本当に心を許せる人は、いったい何人いるのだろう。フォロワー集めなんて何の意味もないくだらないことに精を出すのをやめて、もっと当たり前の、嘘をつかない人生を生きてみてほしいと思う。