Category: Diary

優しくない街

昼から都心に出かける。早稲田にあるCat’s Cradleという旅のブックカフェ(よい感じのお店)でおひるを食べた後、かもめブックスにも寄ろうと思い、東西線に一駅乗って、神楽坂へ。

神楽坂駅は、中野方面に向かう列車が地下2階、西船橋方面に向かう列車が地下3階に停まる構造になっている。僕が地下3階で列車を降りた時、階段のところで四人の駅員さんたちが集まって何やら話し合っていた。車椅子の人用の階段昇降機に何か問題があるようだ。上に上がると、車椅子の方を含めた何人かが待っている。

と、僕の背後から階段を上がってきた駅員さんが、その人たちに何やら説明を始めた。「ここでは無理なんで、すみませんが二駅移動してもらって‥‥」どうやら、高田馬場まで移動してから逆方向の列車に乗ってほしいということのようだ。

突発的なメカニカルトラブルなら仕方ないのかな‥‥と思う反面、駅員さんが四人も揃っているのに、車椅子の方一人を1フロア移動させてあげることさえできないのだろうか、とも思う。そういう規則なのかもしれないけれど‥‥。

夕方、帰りに乗った中央線では、明らかに足に問題を抱えている年輩の男性がしんどそうにつり革に寄っかかっているのに、周囲では誰も席を立って譲ろうとしなかった。席に座ってうつむいているのは、まだ若い女性たちばかりだった。

優しくない街だ、東京は。

カメラバッグ沼

この間のノルウェー取材で、カメラバッグの上ぶたを留めるプラスチックのバックルが、一つ割れてしまった。

使っていたのは、ロープロのマグナム200AWというショルダーバッグ。たしか2010年頃に導入したのだが、主にラダックくんだりで酷使し続けてきたので、ブラックだったはずの外装は日に焼けてグレーのようになり、各部のジッパーも動きが渋くなってきていた。とりあえず割れたバックルはアウトドアショップで買ったスペアパーツに交換してみたが、致命的なことになる前に、そろそろ退役させた方がいいのかな、と思っている。

で、これから何年か先までの仕事を見越してカメラバッグを選ぶとなると、結構悩ましい。とりあえず、去年のアラスカのように大きめの望遠レンズを持っていく必要のある取材では、今あるGW-PROショルダーバッグを使うことにしている。ただ、毎年行っているタイなどのように機材が少なくてもいい取材には、大きくて重すぎるので、もっと小ぶりで、でもそれなりに頑丈で、できれば小型ラップトップの収納スペースがあると‥‥となると、ショルダーバッグではなかなかこれといったものがないのだ。となると、いっそマンフロットのMB PL 3N1-25あたりのバックパックにした方がいいのかしらん‥‥ということになるのだが、未だ踏み切れず‥‥。

写真を始めると、「レンズ沼」ということがよく言われるけど、「カメラバッグ沼」の深さも、相当なものだと思う。

ゆっくりしてれば?

インドでの仕事が出発直前にキャンセルになった影響で、今週と来週はスケジュールにぽっかり穴が空いている。今日も一日、昨日の取材の原稿を手直ししたり、ノルウェー取材の請求書や経費の整理をしたりしていたのだが、それらもだいたい片付いてしまったので、ヒマというか手持ち無沙汰というか、ともすると不安にかられそうな状況ではある。

こんな時、ラダックにいる親しい人たちなら、僕に何て言うだろう、と考える。

「へー。仕事なくなったんだ。じゃあ、ゆっくりしてれば? 散歩して、どこかでお茶でも飲んできなよ」

‥‥こんなところだろうな(笑)。そもそも、あっちで暮らしてた時は、たとえ何かいらつきかねないようなことがあっても、そんなにせかせかした気分にはなれなかったのだ。すべてがゆったりと、なすがままに流れていた時間。

そうだね。本でも読んで、ゆっくり過ごすよ。

つながりを保つもの

昼、取材のため外出。中央線で八王子まで行き、そこから横浜線に乗り換えて、矢部という駅へ。ひさしぶりに、大学案件の取材。

本来なら今はインドにいるはずだったので、仕事関係の方々には2月の段階でその旨を伝えて、取材などの依頼はあらかじめお断りしておいた。今の時期、特に大学案件は忙しいはずなのに、こっちの都合で2週間留守にするというので、ずいぶん迷惑をかけたはずだ。

それなのに、インド取材がキャンセルになった後、そのことをメールで知らせると、大学案件の主任さんは「そんな時に乗っかるのは恐縮なところですが、取材、ありますよ!」とすぐに返事を送ってきてくれた。つながりというのはありがたいものだなあ、とこんな時だからこそ思う。

そういう仕事のつながりも、ほったらかしにしていたら、いつかは錆びてちぎれてしまう。それを保つものは、たとえ地味でも質のいい仕事を、一つひとつ、丁寧に積み重ねていくことでしかない。

メモに頼る

最近、自分の記憶力に、まるで自信が持てない。もう、ずいぶんいい歳こいたおっさんだからというのもあるが、それにしても心もとないので、最近はすっかりメモに頼っている。もらいものの大きなブロックメモの紙に、ことあるごとにメモして、目につく場所に置いているのだ。

近所のスーパーに食材の買い出しに行く時は、買わなきゃならないものを全部メモ。翌朝生ゴミを出さなきゃならない時はメモを枕元に。取材の予定がある時は、何時に家を出て何時の列車に乗り、どこで乗り換えるかまで前日のうちにメモして、財布と鍵の横に。仕事が立て込んできたらTO DOリストをメモして、デスクライトの下に。今や、物理的な紙のメモを置いとかないと、不安にかられてしまうのだ。

それにしても、ボンクラになったもんだなあ、と我ながら思う。だって、何かをグーグルで調べようとして、キーワードを入力しようとしたら、何を調べようとしてたか思い出せないくらいなんだもの。やばい(苦笑)。