Category: Diary

旅から旅へ

10月のタイ取材を終え、2016年はもう、旅の予定は入らないと思う(たぶん)。沖縄、ブータン、ラダック、アラスカ、タイ……結局、今年は3カ月弱ほどの時間を、旅の空の下で過ごしたことになる。去年よりは1カ月くらい短いが、それでもまあ、大概長い。

ついこの間まで、来年の旅の予定は何一つ決まってなかったのだが、ここにきて、急にいろいろ入りつつある。ラダックはまた行くだろうし……ザンスカール? スピティ? それ以外の場所も? アラスカも訪れておきたいし……。今年よりも旅に費やす日々が長くなってしまいそうな雲行き。

旅をすること自体が目的ではないけれど、いつのまにか、そうやって仕事をする立ち位置の人間になってしまったのかな。旅から旅へ。またせわしない日々が続くのだろうけど、がんばります。

スマホの画面を割らない方法

別にたいしたことではないのだが、僕は今まで、スマホの画面を割ったことがない。2008年にiPhone 3Gを買って、それからほぼ2年おきにiPhoneを機種変して使い続けているけど、一度も修理に出していない。

なぜスマホの画面を割ってしまうのをずっと回避できているかというと、単純に、画面を割ってしまいそうな使い方を極力避けているから。ざっと箇条書きで挙げてみると、こんな感じ。

・スマホは服のポケットではなく、必ずカバンに入れる。カバンの中でも、フラップやジッパー付きの安全なポケットを定位置にして、常にそこに入れるようにする。
・街の中でスマホを操作する時は、必ず立ち止まって、両手を使う。歩きながらスマホの画面をいじったりしない。
・滑りやすいボディのスマホの場合は、レザーケースなどを装着して、うっかりツルッと落とさないようにする。

挙げてみると本当に単純なことばかりだけど、カバンにスマホの定位置を作ることと、街の中で使う時は必ず立ち止まって両手を使うことを心がけるだけで、画面割れのリスクはかなり抑えられると思う。

そういう自分は、ついこの間、iPhone 7 Plusに機種変したばかり。うっかり壊さないように、気をつけねば……。

レッドネック

僕はもともと色白なたちだが、しばらく日に当たっていればそれなりに日焼けする。普通の人とちょっと違うのは、一年のうちで一番日焼けしているのが、今、11月初旬の時期ということだ。げにおそろしきは10月のタイ取材である。

もちろん、夏の間にインドやラダックにいる時も、強烈な日差しでそれなりに日焼けはする。特にトレッキングに行くとてきめんだが、それでも手足は長袖の服を着ているので、そこまで焼けない。しかし、タイではほぼ1カ月、Tシャツと短パン。夏休みが終わって2学期の始業式に来た小学生並みに日焼けする。足先にはサンダルのストラップの模様がくっきりと残ってしまうほどだ。

元が色白なだけに色が白く戻るのも早いのだが、それでもしつこく残るというか、年中日焼けで黒いままの部分がある。それは首筋、後頭部。ここはもう、日焼け止めやら何やら塗ったとしても、防ぎようがない。

ところで、米国の大統領選関連のニュースを見ていて最近知ったのだが、米国では、強烈な日差しの野外で肉体労働をしていて首筋が赤く日焼けした労働者階級の貧しい白人の人たちを、「レッドネック」という侮蔑的な呼称で呼ぶ層がいるのだそうだ。僕自身も世間的には見下されている部類に入るとは思うが(苦笑)、米国のそういうところは、やっぱり好きになれない。しかしまあ、大統領選、どうなるんだろ。

目指せツアコン

来月上旬、資格取得のための講習と試験を受けることになった。目的は、「総合旅程管理主任者」という資格の取得。要するに、ツアーコンダクターである。

ガイドと違うのは、ツアコンは飛行機やホテルのチェックイン、食事や宿泊など、旅程に関わる要素を管理する仕事という点だ。僕自身はそうした添乗業務をメインで担っているわけではないのだが、それでもこの資格を取る必要に迫られている理由は……インド(やっぱり)。インドのビジネスビザをスムーズに取得するためには、この「総合旅程管理主任者」の資格が必要になってしまったのだ。

インドへの渡航回数の多さや滞在期間の長さ、微妙な場所にもちょこちょこ行くことを考えると、ここらで、今後長きにわたってスムーズかつ磐石にビジネスビザを取得し続けられる体制にしておきたい。そのための布石である。

講習は3日間。1日の講習の最後にはその履修範囲の試験がある。……落ちたらどうしよう(汗)。がんばらねば。

似た者同士

ひさしぶりに、腕時計を買った。

僕は昔から、外出時に腕時計をほぼ必ずつけるたちで、以前はスウォッチやG-SHOCK、ここしばらくは高度計のついたプロトレックを愛用している。今回買ったのは、そういう安くて実用性重視のものではなく、もちろん宝飾品みたいに高価なブランド品でもない(そんなのつけてたら、それだけで気疲れする)。かといって、Apple Watchみたいに今風で多機能なものでもない。時刻と日付だけ表示する、機械式、自動巻きの腕時計だ。

ハミルトンというメーカーのラインナップにあるこの腕時計は、長い上に表記がまちまちで、正式名称がよくわからない名前を持っている。パッと見はとても地味で普通なのだが、よくよく見ると、ケースが左右非対称で、右側のふくらみに竜頭が二つ埋まっている。そのうちの一つは、内側にあるベゼルの目盛りを回転させるための竜頭という、誰がいつ何に使うのかもよくわからない機能。1970年代の英国空軍で使われていた時計が原型らしい。機構のシンプルなクオーツと違って、機械式の腕時計は、高級ブランドでなくてもそれなりの値段がする。この時計も、定価だとちょっと躊躇するような値段だったのだが、ネットで検索すると6割くらいの値段で手に入ることがわかったので、思い切って買うことにした。

今になって機械式の腕時計を初めて買ったのには、いくつか理由がある。フォーマルとまでいかなくても、ある程度きちんとした服装でも、リラックスした服装でも、どちらでもつけられるような時計が一つあると便利だということ。しばらく前からデジタル表示の時計ばかり使っていたので、長針と短針と秒針が回る時計を懐かしく、かつ新鮮に感じていたこと。あとは……自分を取り巻く時間の早い流れに左右されないようなものが、何か一つ、ほしかったのかもしれない。

その腕時計は、昨日の夜、宅配便で届いた。黒の革ベルトを腕に巻いて留めてみると、あつらえたように、ぴたりとはまった。小刻みに震えながら回る秒針。耳を近づけると、ほんのかすかに、チチチチチ、と歯車たちが回る音が聞こえる。

僕は、すっかりこの時計が気に入ってしまった。愛着というより、親近感という感情に近い。何だか似た者同士だな、と思ってしまったのだ。

ぱっと見フツーで、でも実はヘンなところもあって、ブランド品みたいな価値はなく、かといって高性能でも多機能でもなく、ぜんまいを巻かないとすぐ止まってしまうヘナチョコさ。ただ愚直に、不器用に、時刻と日付を示し続けるだけの存在。まるで自分みたいだなあ、と。

似た者同士、これからも、末長く、よろしく。