Category: Diary

牧畜民とカツサンドと時計職人

昨日はなかなか霧雨が止まなかったが、午後から出かけた。

まず、吉祥寺のキチムで始まった「ヤクとミルクと女たち チベット牧畜民のくらし展」へ。チベット・アムド地方の遊牧民の人々の暮らしぶりが丁寧に紹介されていて、ラダックのチャンタンの遊牧民との共通点や違いを考えながら拝見させてもらった。展示のあちこちに細かな工夫がなされていて、主催者の方々の思い入れが伝わってきた。見れてよかった。

夕方までに渋谷に移動し、またしてもユーロライブの南インド映画祭へ。夜の部のチケットを買い、時間が来るまで、宇田川町のマメヒコでカツサンドとジンジャーソーダをいただきながら、じっくり読書。これもまた、とてもいい時間だった。

で、この日観た映画はタミル語映画の「24」。タイムマシンを発明してしまった科学者とその双子の兄弟、そして科学者の息子である時計職人を、スーリヤという俳優が一人で演じ分けるという、すごい配役。その演じ分けにまったく違和感がなかったのもすごかった。例によってツッコミどころは数あれど(笑)、二転三転する物語はよく練られていたし、細かな伏線が綺麗に回収されていくのも気持よかった。しかしまあ、時計職人って、何でもできるんだなあ(笑)。

すっかり一日遊んでしまったので、今日からしばらく真面目に働きます。はい。

春の丹沢表尾根


今日はちょっとがんばって早起きして、丹沢表尾根を歩いてきた。小田急線で秦野まで行き、ヤビツ峠行きのバスに乗り、峠から二ノ塔、三ノ塔、鳥尾山、行者岳、そして塔ノ岳。気温は高かったと思うが、尾根に出ると思いのほか風が涼しくて、暑さはさほど感じなかった。春霞の向こうにずっと、富士山の白い頂が浮かんでいるように見えていた。


山桜、だろうか。標高の高い場所にはまだ少し咲き残っていた。

今日は最初の登りを意図的に速いペースで登ってみたのだが、あまり長続きはしなくて、尾根伝いに登ったり下ったりする頃にはだいぶペースが落ちてしまった。部屋でちょっと筋トレとかしてるだけでは、身体全体(筋肉だけでなく内臓とかも含めて)の体力や持久力はなかなか維持できないのだと、あらためて実感。とはいえ、今日ある程度追い込めたので、次からはぐっと楽になると思う。

映画、二連チャン

昨日は渋谷で、映画を立て続けに2本観た。

最初に観たのは、南インド映画祭で公開されているタミル語映画「テリ スパーク」。小さな娘と二人暮らしの気弱そうな父親は、かつては凄腕の警官で、娘を守るために過去の仇敵と戦う、というストーリー。アクションは過激なまでに派手だし、ダンスシーンは華やかだし、南インドの娯楽映画としては申し分ない出来。ただ個人的には、仇敵たちへの仕打ちの仕方があまりにも直截的すぎる気がして、ほんのもうちょっと、ひと工夫できていればさらによかったかも、と思った。

次に観たのは、エドワード・ヤンの「台北ストーリー」。1980年代、急速に変貌しつつあった台北の街で、それぞれの人生に行き詰まりを感じていた人々が、どうにもできずにあがくうちに、さらに行き詰まり、思いもよらない(あるいは予期された)結末に行き着く。悲しく、やるせない物語。しかし映像は本当に美しい。ほんのささやかな場面でも、完成された写真作品のように丁寧に気を配って撮っているのがわかる。

昼から夜まで映画漬けの、幸せな一日だった。座りすぎで尻が痛いけど(笑)。

つかの間の連休気分

慌ただしかった(去年に比べればずっと楽だったが)4月に取材した分の原稿もすべて書き終えて推敲して納品し、世間並みの連休気分を、ほんのつかの間、味わっている。ゆっくり寝て起きて、ごはんを作って、コーヒーをすすりながら、本を読んだり、ブログを書いたり、ぼーっとしたり。何もしてないと言われればそれまでだが、僕にとっては貴重な「ぼーっとする時間」だったりする。

週末はまた映画を観に行くし、週明けすぐの月曜日は天気がもちそうなので、ひさしぶりに丹沢表尾根を縦走してこようかなと思っている。まあでも、それくらいまでかな、連休気分でいられるのは。その後はまた、ぽつぽつと依頼が入ってくるだろうし、それより何より、6月末からのインド取材の下準備をしなければならない。今年の取材はかなり細々としたリサーチ取材なので、準備がとても重要になるからだ。

……まだ、ほとんどと言っていいほど、手をつけていないんだけど。昨日の夜、そのことで、夢でうなされた(苦笑)。

脳をとっぷり浸す日

昨日は昼から、渋谷へ。まず、Bunkamura ザ・ミュージアムで一昨日から始まったソール・ライター展に行く。一年半ほど前に彼についての映画を観て以来、この写真展も心待ちにしていたのだが、期待に違わぬ、素晴らしい内容だった。実際にじっくりと拝見させてもらった彼の作品群についての感想は、また別の折にでも書こうと思う。

夕方からは、同じくBunkamuraのオーチャード・ホールで開催された、畠山美由紀さんのデビュー15周年記念ライブ。6名のゲストが入れ替わりながら登場するという、本当に贅沢な内容。圧倒的な演奏と、台本通りにいかないMCがたまらない(笑)。歌と音楽に対する愛情が、ぎゅうっと詰まった3時間だった。

丸一日、眼から、耳から、良質なインプットを注ぎ込んで、滋養の海に脳をとっぷり浸すことができた。こういう日は、時折必要だなあ、と思う。