昨日の夜は、下北沢の本屋B&Bで、友人の平松謙三さんとのトークイベント。会場も配信も盛況で、トークもなごやかな雰囲気のうちに終えることができた。お客さんからの反応も予想以上によくて、本もよく売れた。関係者の方々にも喜んでもらえたようで、ありがたいことだなあと思う。
八月末にインドから帰国して、九月に『旅は旨くて、時々苦い』を発売した前後からずっと続いていた、刊行記念フェア、トークイベント、カルチャースクールでの講座、ラジオ出演など、人前に出る仕事のラッシュが、これでようやく一段落した。これからしばらくは、次に作る本の作業に頭を切り替えて臨むことができそうだ。そんなに差し迫ってではないにせよ、締切的なものももちろんあるので、いつまでも遊んでるわけにはいかないが、焦ってもきっとうまくいかないだろうし、じっくり考えながら再始動していこうと思う。
年が明けて少し経ったら、取材でまたしばらく日本を離れることも決まったし。無理しないように、がんばります。
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アンドルス・キヴィラフク『蛇の言葉を話した男』読了。森のあらゆる動物を統べる「蛇の言葉」を話すことのできた最後の人間、レーメットの物語。奔放なイマジネーションで描き出される物語は、血と暴力と孤独と絶望に満ち満ちているが、エストニアの歴史と社会のありようを投影しているであろう皮肉とおかしみも、そこかしこに込められている。レーメットの人生には、サラマンドルの最後の守人の役割を受け継ぐこと以外に、どんな意味があったのだろうか。森の人々と動物の世界が滅びていくさまは、僕たちが生きている地球上すべての世界の行末を、暗示しているようにも思えた。