昨日のトークイベントは、「旅を撮る。旅を書く。旅を生きる。」というテーマを掲げることにしたのだが、その中で「自分にとって、旅とは何か?」という問いかけについて考えていた時、思ったことをつらつらと。
僕にとっての旅は、自分が一番自分らしくいられる時間。そして、自分のちっぽけさを思い知らされる時間。どこかに旅に出るたびに、自分がいかに何も知らないか、何もできないかということを、嫌というほど突きつけられる。
世間には、「放浪しようぜ!」とか「旅に出ちゃえば?」とか、旅をすることがまるで何か特別な人間になれる行為であるかのように吹聴している人もいる。でも、旅をすること自体は、別にすごくもかっこよくもない。時間と予算と健康な身体とパスポートがあれば、誰にでもできることだ。アジア横断しようが、世界一周しようが、インドの山奥に何年も住み着こうが、それで何かを成し遂げたわけではないし、誰かのために尽くしたわけでもない。
旅の時間の中では、いいこともあれば、悪いこともある。そこで何を感じ、受け取るか。そこから自分が何をするか。漠然と旅をするだけでなく、そこまで考えていって初めて、その旅がかけがえのない時間になる。たぶん、すぐには答えは見つからない。僕自身も未だに消化しきれていない。でも、これからもずっと、考え続けていこうと思う。写真を撮ったり、文章を書いたりするのは、そうして考えたことを人に伝えていくための手段だ。
たぶん、それが僕にとっての旅。