フェアーグラウンド・アトラクション

大学生の頃、フェアーグラウンド・アトラクションの「The First of a Million Kisses」というアルバムが好きで、数えきれないほど何度もくりかえし聴いていた。当時住んでいた学生寮では、何人もの同級生や先輩が、僕の持っていたCDをダビングして聴いていた。デビューしていきなり、全英チャート1位。そして、たった1枚のオリジナルアルバムを残して、結成から2年で解散。それからずっと後になって、ヴォーカルのエディ・リーダーのソロ公演を聴きに行ったりはしたけれど、フェアーグラウンド・アトラクションというバンド自体は消滅してしまったことは、とうの昔に受け入れていた。それはそうだ。なにせ、34年も前のことだから。

そんな伝説のバンドが、今年になって再結成されるというニュースを聞いた時は、耳を疑った。でも本当らしい。しかも、日本でライブツアーが計画されているという。相方がチケットを手配してくれて、渋谷クラブクアトロでのライブを見に行けることになった。オールスタンディングで超、超満員の場内。平均年齢は、自分と同年代くらいか。みんな、待っていたのだと思う。演奏が始まって、2曲目の「A Smile in a Whisper」のイントロに繋がった時の、場内の歓声といったら……。エディも感極まって、何度も涙を拭っていた。

フェアーグラウンド・アトラクションの魅力は、シンプルさにあるのかなと思う。美しい旋律も、選び抜かれた言葉の歌詞も、素朴な編成の楽器での演奏も、奇を衒わずシンプルだからこそ、それぞれのクオリティが際立ち、聴く者の心に届く。いやー、それにしても……34年後の今になって、「Clare」や「Perfect」でステップを踏みながら歓声を上げたり、「Allelujah」で全身を震わせる感動を感じたりすることができる日が来るとは……。

本当に、幸せな時間だった。ありがとう。

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