「テルマ&ルイーズ」

30年以上前に公開されたリドリー・スコット監督の「テルマ&ルイーズ」が、監督自身の監修によって4Kレストアされた。未見だったこの映画を昨日観に行ったのだが……いやー、最高。不朽の名作と言われるだけのことはある。めちゃめちゃ面白かった。

横暴な夫に虐げられている専業主婦のテルマと、場末のレストランで給仕として働くルイーズ。ある週末、二人はオープンカーに乗って旅行に出かけるのだが、思いもよらない災難が次から次へとふりかかり、気がつけば警察に指名手配までされて、はるか彼方のメキシコを目指して逃げ続けるはめになってしまう。その逃避行を経るうちに、二人は……。

運が悪すぎる災難の連続で追い詰められているのに、逆にテルマとルイーズは、逃避行の旅を通じて、がんじがらめの日々から解き放たれ、自由と、本来の自分たちらしさを獲得していく。そのプロセスが、何とも言えず痛快で。物語に登場する男たちの大半が、固定観念に凝り固まったろくでもない連中ばかりだったのと対照的だった。ブラッド・ピット演じるJDの、あまりにもどうしようもない底なしのクズっぷりは、逆に面白くもあったけれど。

僕たちが生きている世界は、昔も今も、複雑で憂鬱で理不尽な現実に満ち満ちているけれど、テルマとルイーズを乗せたフォード・サンダーバードは、そんな世界を軽やかに飛び越えていく。彼女たちの物語が、これからの世界を生きる女性たちの希望になりますように。

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