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歌舞伎揚とぼんち揚

僕には、主に晩酌の時間を軸に、時折何の脈絡もないマイブームが訪れる。今のマイブームは、歌舞伎揚である。

僕がよく食べているのは、天乃屋(というか歌舞伎揚という商品を作っているのがこの会社)のぷち歌舞伎揚、食べきりサイズ。スーパーやコンビニなど、割とどこでも手に入る。味はまあ、何というか、歌舞伎揚なのだが(笑)、最近これをつまみにビールを飲むのが、妙にしっくりくる。カロリー的にやばいであろうことは承知の上で。

でも、岡山に住んでいた子供の頃は、歌舞伎揚は見たこともなく、代わりに食べていたのはぼんち揚だった。調べてみると、関東は歌舞伎揚、関西はぼんち揚が、それぞれ圧倒的なシェアを占めているそうだ。どちらも形はかなり似ているけれど、食べ比べてみると、微妙な味の違いはあるらしい。

そんなわけで、今宵も高カロリーなつまみでビールを飲んでしまった。さすがにやばいなこれは。

旅と写真とビールの夜

昨日の夜は、下北沢の書店B&Bで、「撮り・旅!」でもお世話になったブータン写真家の関健作さんとのトークイベントに出演させてもらった。諸事情で募集期間が実質2週間ほどしかなかったにもかかわらず、とんとんと順調に予約が入り、当日は完全に大入満員。お店が特別に仕入れたネパールのムスタンビールも完売し、関さんと僕の本もたくさん売れたらしい。ありがたいことだ。

僕にとっては、今年2月に一度やったことのある会場だし、お相手はトークの達人の関さんだし、客席の雰囲気や反応も最初からよかったしで、大丈夫大丈夫と自分で自分に言い聞かせていたのだけれど‥‥やっぱり緊張した(苦笑)。日曜の夜にわざわざお金を払って足を運んでくれた人たちを、自分の話と写真で楽しませなければならないのだから、簡単なわけがない。でも、イベントの後、うっすら上気した頰で会場を出ていくお客さんたちを見送っていると、やってよかったな、としみじみ思った。

昨日来てくれた方の一人が、イベントの感想をツイートしてくださっているのをたまたま拝見したのだが、「二人の写真は、撮影のために訪れた写真家の視点というより、ものすごく写真のうまい現地の人が撮っているようだ」と書かれていたのが、僕には何だかとてもうれしかったし、自分でも腑に落ちた。たぶん、僕や関さんの写真は、彼の地での被写体との距離が、とても近いのだと思う。物理的な距離というより、気持ちの距離が。

こてんぱんに疲れたけど、ほっとしたし、またがんばろう、と思えた一夜だった。

安上がりな幸せ

酒が好きか嫌いかと聞かれれば、好きな方だと思うし、酒に強いか弱いかと聞かれれば、それなりに強い方だと思う。二十代の頃に比べれば酒量は減ったけど、淡々と飲み続けるだけなら、5時間でも6時間でも飲める。

じゃあ、酔っ払うのは好きかというと、正直、それはあんまり好きじゃない。

もともと、飲んでもほとんどテンションも性格も変わらないたち(だから学生の頃の飲み会では主に介抱役)というのもあるが、酔っ払ってストレスを発散するという飲み方は、どうも苦手なのだ。飲むなら、おいしいお酒をおいしくいただきたいなあと。だから、飲んだ翌日に二日酔いになったという記憶は、ここ数年まったくない。

毎日、風呂上りに350mlのサッポロ黒ラベルをひと缶、ぷしゅっとやれれば、僕は幸せだ。安上がりな幸せ(笑)。

夏至の冷酒

今までにも何度か書いたことがあるけれど、外がまだ明るいうちから飲む酒というのは、実にうまい。

今日は、夕方と呼ぶにはまだ早い時間から、吉祥寺にあるそば屋に入った。きりっと冷えた、手取川のあらばしりをちびちび飲みながら、シメサバと出汁巻き卵をつつく。ダメな大人のうしろめたさが、酒のうまさを五割増しにしてくれる。その後に食べた山芋のせいろもたまらない。店を出る時も、外はまだ明るかった。そうか、今日は夏至か。

夜は夜で、今、カニカマを肴にビールを飲んでいる。ほんとにダメな大人だ。

居酒屋の記憶

たまに、無性に居酒屋に行きたくなることがある。

気の合う友達二、三人と、けっしてチェーン系ではない、場末の地味な居酒屋へ。瓶入りのサッポロラガーに、小さめのコップ。肴は焼き鳥の塩ナンコツ、川エビの唐揚げ、それから煮込みとか。そんな感じで際限もなく、ゆるゆる、だらだらと飲み続けたい。

そんなことを想像していたら、はたと気づいた。それって、大学に進学して東京に出てきた時に連れていかれた、学生寮の近所の居酒屋のメニューそのままじゃないか。酒を飲みはじめた頃に刷り込まれた記憶は、その後もずっと飲み方に影響するのかもしれない。

ネットで調べてみたら、当時連れていかれた居酒屋は、もう、なくなってしまったようだった。