Tag: Travel

長い付き合い

昼の間、家でタイ関連のゲラチェック。夕方までに一区切りつけて、新宿へ。ラダックの研究をしている文化人類学者の友人、宮坂さんと会う。ひさしぶりに入った陶玄房で、寒ブリの炙り刺や、あん肝ポン酢和え、牛もつと豆腐の味噌煮込などをつつきつつ、よもやま話というか、ほぼ誰にもわからないラダックのマニアックな話で盛り上がる。

宮坂さんとは、かれこれ七年もの付き合いになる。仕事や住んでいる場所の関係で、会うのはほんのたまにだけど、ラダックという大事なものを互いに共有しているという点でも、代え難い友人だ(と僕は勝手に思っている)。考えてみたら、宮坂さんが紹介してくれなかったら、僕はレーのノルブリンカ・ゲストハウスと出会うこともなかったし、僕がラダックで過ごした日々もまったく違ったものになっていただろう。本当に感謝してもしきれないとあらためて思う。

宮坂さんは来年の春から、愛知県にある大学で教鞭を取ることになった。住む場所はさらに離れてしまうけど、そのうち、日本かラダックでまた会えるといいな。

何かを確かめたくて

夕方から外出。三鷹のアウトドアショップ、ハイカーズ・デポ主催の、アラスカをテーマにしたスライドトークイベントに参加。

スピーカーの村石太郎さんは、アラスカのブルックス・レンジに惚れ込んで、十数年前から通い詰めている方。アラスカの原野を歩くことの難しさと楽しさをたっぷり聞くことができて、楽しかったし、いろいろ参考になった(結構根掘り葉掘り質問もしてしまった)。トークの前後に設けられた参加者同士のフリートークタイムは、人見知りの身にはかなりきつかったけど(苦笑)。

今回の話を聞いていて思ったのは、僕個人は、トレッキングにしろ、登山にしろ、カヤックやパックラフトにしろ、自然の中に身を投じる行為自体に惹かれているわけではないということ。ラダックの時からそうだけど、その先に歩いていくことでしか目にできないもの、確かめられないものがあると思うから、そうしているだけなのだ。旅とか写真とかに携わってる人は、多かれ少なかれ、何かを確かめたくて、それぞれのフィールドをひた走っているのだと思う。

僕がこれから確かめたいと思っているものは、何なのだろう。

旅の深さ

午後、新宿のコニカミノルタプラザへ。写真家の竹沢うるまさんの写真展「Indigenous」の会場で開催されるスライドトークイベントを見に行く。

竹沢さんの写真は以前からいろんな媒体で見かけてすごいなあと思っていたし、今回の展示も素晴らしかったのだが、スライドトークで三年間にわたる旅についての話を実際に聞いて、あらためて腑に落ちることも多かった。自分が旅をする理由、自分が旅の中で追い求めていくものに、ずっと真摯に向き合ってきた人でなければ話せない言葉だし、撮れない写真だと思う。

旅で訪れた国の数とか、費やした日数とか移動した距離とか、そういうことを自慢したがる人が世の中には少なからずいるけれど、そんな数字自体には、はっきり言って何の価値もない。その旅の中で、どれだけ目の前の世界と、そして自分自身に真剣に向き合えるか。それがその人の旅の深さを決める。竹沢さんはきっと、とても深い旅を経てきた人なのだと思う。

僕もがんばらねば、だな。

Keen Owyhee

owyhee東南アジアやインドなど、暑い国へと旅する時、履いていく靴にサンダルを選ぶ人は多いと思う。僕自身、この秋のタイ取材ではサンダルを選ぶことにしたのだが、購入の際にはいくつかのポイントがあった。

まず、単につっかけるタイプではなく、足首の下までホールドできて脱ぎ履きが簡単なもの。ソールは長時間の歩行に耐えるしっかりしたもの。少々踏まれたりぶつけたりしても大丈夫なように、つま先とかかとがある程度保護されているもの。こうした条件をふまえて選んでいくと、キーンのOwyhee(オワヒーと読むらしい)に行き当たった。

で、タイで四週間、このOwyheeを履き倒してきたわけだが、結論から言うと、大当たり。ワンタッチで締めたり緩めたりできるクイックドローコードで脱ぎ履きは簡単だし、しっかり締めれば普通のアウトドアシューズと同じ感覚でガシガシ歩ける。毎日何時間も歩き回っても、靴擦れはまったくなし。つま先とかかとがむき出しではなく保護されているので、人混みの中でも踏まれるのをあまり気にせず歩けたのも助かった。帰国時などちょっと寒い時は薄手のソックスを履いたのだが、パッと見は普通の靴みたいに違和感がない。

ある程度旅慣れている人ならわかると思うが、旅先で靴が原因のトラブルに遭遇すると、結構大変だ。靴擦れになったり爪を痛めたりすると歩きにくくてたまらないし、踏まれたりしたケガが化膿するとさらにきつい。足元が気になって旅が楽しめないなんて、もったいない以外の何物でもない。そういう意味では、このOwyheeは暑い国への旅にはうってつけの一足だと思う。

友達の数

この記事を読んでみて、友達の数ということについて、つらつらと。

僕は基本的に、他の人とのコミュニケーションがそんなに苦手な人間ではないと思う。でなければ、初対面の人へのインタビュー取材の仕事なんてできるわけがない(笑)。ただ、人付き合い、友達付き合いがいいかと言われると、正直そんなに活発な人間ではないだろう。たとえば、飲み会など何かの場に誘われたら普通に顔を出すが、自ら何か発案して周囲に声をかけるなんてことはめったにない、とか。友達と呼ばせてもらえるような人は少しはいると思うけど、その人たちとも、そんなにしょっちゅう顔を合わせてるわけではないし。結論としては、友達は少なく、友達付き合いもあまりよくない人間、ということになるのかな。

件の記事によると、世間では最近、友達の数や交友関係の広さがその人の価値を決めると思われるような風潮があるそうだ。でも、気が進まなければ無理して誰かとつるむ必要はないと思うし、そんなことで人の価値が決まるとも思えない。本当の友達というのは、たとえば普段そんなに顔を合わせてなかったとしても、何かあった時にすっと手を差し伸べてくれる人のことだと思う。

誰かとつるんでないと不安でしょうがないという人は、しばらくどこかの国へ一人旅でもしてきたらいいじゃないかと思う。現地からのLINEやTwitterは禁止ということにして。そうすれば、一人で過ごす時間にも価値があることがわかるんじゃないだろうか。