慌ただしい日

昼、赤坂でラダック関連企画の本の担当編集者さんと打ち合わせ。今後の進め方やお互いの認識が再確認できて、有意義だった。現時点での自分にとって最優先すべき仕事だから、頑張りたいと思う。

午後は神保町で、別の出版社の編集者さんと打ち合わせ。明日の午後に僕が担当するインタビュー取材についてだったのだが、それとは別に、僕自身も取材されることになってしまった。だ、大丈夫だろうか‥‥(汗)。

打ち合わせの後、同じ神保町で「うきわねこ」原画展を見る。絵本も素晴らしかったけど、やっぱり原画は、感じられる「気配」が違う。牧野さん入魂の作品の数々、堪能させてもらった。

夜は新宿のブルックリンパーラーで、文化人類学者の宮坂清さんにひさびさに会う。ノルブリンカ・ゲストハウスの人たちから預かってきたプレゼントを渡した後、ラダックやその他いろんなことに話を咲かせた。こうして何の気兼ねもなく話ができる人がいてくれるというのは、ありがたいことだなあと思う。

ともあれ、今日は慌ただしい日だった。そして、明日の取材の準備はまだ終わっていない(汗)。

時間の優しさ

週末を利用して、岡山の実家に帰省していた。僕が帰国するまで待ってもらっていた、父の納骨式のために。

納骨式は、昨日の朝のうちに行った。うちの家系の墓は、実家からすぐのところにある。雲一つないうららかな空を見上げながら、みんなで墓地まで歩いていく。墓地で待っていてくれた業者さんが、墓石の一部を外し、父の骨壺を中に収め、再び墓石を元に戻す。新しい花を挿し、水をかけ、ビールとおつまみを供え、線香を上げる。それでおしまい。父は、無宗教での弔いを望んでいたから。

父が逝った直後に比べると、母と妹はずいぶんしゃんとして、元気になっていた。誰も彼も、父のいない日常を少しずつ受け入れつつある。実家の中には、まだ至るところに父の気配が——ぎっしりと積み上げられた本や、几帳面に整理された文房具や、使い古された安楽椅子が——あるけれど、その気配も、時が経つにつれ、少しずつ薄れていくのかもしれない。それが、時間の残酷さであり、優しさでもあるのだろう。

夜道を歩く

昨日の夜は、西荻窪ののらぼうで飲み会。炙り鯖や秋刀魚の土鍋ごはんなど、おいしい料理を思うぞんぶんいただく。ビバ魚介類。で、すっかり満足して店を出て、駅まで歩いていったら、中央線が人身事故で止まっていた。

ま、西荻窪から三鷹までたった二駅だし、歩いちゃえ、と五日市街道を歩き出す。思っていたより蒸し暑くて、コットンセーターの下にじんわり汗をかいた。吉祥寺にさしかかったあたりで、ハバナムーンで一人飲みしようかとも思ったが、一応自重して(笑)マクドナルドでコーヒーを飲んでひと休み。再び歩き出すと、同じ方向に向かって歩いている背広姿の人が結構たくさんいるのが見える。仕事で疲れてるだろうに大変だなあ、としばし同情。

途中で小雨にも降られたが、0時になる前には三鷹の自宅に着いた。腹ごなしにはいい運動になったような気がする。

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お知らせその1。このブログのPortfolioのページに、今年ラダックで撮影した写真を9枚追加しました。よかったらご覧ください。

お知らせその2。明日から父の納骨式のために岡山の実家に帰省するので、二日ほどブログの更新をお休みします。東京に戻るのは10日夜の予定です。

スティーブ・ジョブズ逝去

朝、いつものように仕事机のMacBook Proを立ち上げたら、スティーブ・ジョブズが亡くなったというニュースヘッドラインが目に入った。

ここ数年、彼の健康状態が思わしくなかったのは激痩せした見た目からも明らかだったし、今年八月にアップルのCEOを退任すると発表されてからは、その日が来るのも遠くないのかもしれない、とある程度覚悟はしていた。しかし、まだ56歳。逝くには早すぎる。

彼と彼が創り出した製品について個人的に思うところは、以前「Stay hungry. Stay foolish.」というエントリーにも書いたことがある。もし、学生時代に出版社でアルバイトをした時にMacintoshに触れていなかったら、その後の僕の人生は、今とはずいぶん違うものになっていただろう。だから、スティーブ・ジョブズには本当に感謝している。

「満足するな。常識を捨てよ」。自分もそうありたい、と思う。謹んでご冥福をお祈りします。

湿気にやられる

今日は朝から、本降りの雨。部屋に籠って、ラダックで取材したデータをパソコンに入力する作業をする。‥‥が、雨が運んできた湿気のせいだろうか。どうにもこうにも、身体がだるい。

考えてみれば無理もない。何もかもがカラカラに乾き切っているラダックでひと夏を過ごした後に、いきなりじっとり湿った天気の中に放り込まれたのだから、その落差に身体がついていけないのだろう。

まあ、ラダックの気候にも困った部分はある。あまりに乾燥しているせいで唇はすぐガサガサにひび割れてしまうし、爪はちょっとぶつけただけであっさり欠けてしまうし、肌の過剰な日焼けはどんな日焼け止めクリームでも防ぎきれない。冬は冬で、さらにものすごく大変だし。ラダックみたいなところで暮らすなんて想像できない、という人も少なからずいるに違いない。

僕自身、ラダックにいる間に「きついなあ」と思う時はある。でも、いざ日本に戻ってきてみると、やっぱりあの乾いた空気が、照りつける日射しが懐かしい。少なくとも、この湿気むんむんの場所よりは、なんとなくしっくりくる。