旅人の宴

昨日の夜は、綱島のPointweatherでの新年会に参加してきた。酒と料理は各自持ち寄りのポトラック形式。僕はワインを持って行ったのだが、思いのほかみんなワインを持ってきていて、最初から最後まで、いろんなワインを飲んで過ごした。

集まった人たちは、筋金入りの旅人たちばかり。全員分の旅した距離を合わせたら、いったい世界何周分になるんだろう?(笑) みなさんすごく感じのいい方々で、ほかの場所では絶対通じないようなマニアックな旅の話に花を咲かせながら、終電間際まで、ひたすらだらだらと飲んでいた。愉しかったなあ。

参加者のみなさん、どうもありがとうございました。またの機会があれば、ぜひ。

予定のない日

朝起きて、今日は何の予定もない日だ、と気付いた。洗面所で顔を洗いながら、さてどうしよう、と鏡を見たら、思いのほか髪の毛が伸びていたので、散髪に行くことにした。

駅の近くのいつもの店で散髪してもらい、南口の商店街をぶらぶら。ひさしぶりにたかねで和菓子を買う。いちご大福とあんず大福は夜のおやつに。たい焼きも一つ買って、あつあつのを頬張りながら歩く。コーヒー豆がなくなりかけていたので、まほろば珈琲店で補充。デイリーズとハイカーズデポもぶらぶら。

そんなこんなで帰宅して、そのまま一日が過ぎようとしている。企画書づくりをしようかな、とも思ったが、やっぱり今日明日はゆっくり休もう。夜のおやつもあるし。さて、お茶を淹れようかな。

縮まらない距離

午後、自転車で小金井方面へ。チェックを終えた書籍の再校ゲラを、DTP担当の中村さんに引き渡しに行く。

中村さんちの玄関の引き戸が開くと、びっくりしたことに、奥の部屋から、ナロがターッと駆けて出てきた。ここ何回かの訪問で馴染んでくれたのか、それとも単なる何かの勘違いか、わからないけど。

ところが、駆けて出てきたのはいいものの、ナロ的には、思いのほか僕に近寄りすぎてしまったらしい。後ろにぴんと伸びたシッポの毛をぷくっと膨らませ、じりじり、じりじり、と後ずさり(笑)。

ナロとの距離は、まだまだ簡単には縮まらないようだ。

ぶれない軸

昨日、今日と、自宅にほぼカンヅメ状態で仕事。去年の暮れから手がけている書籍の最終的なゲラチェック。一昨日の段階で、版元から校了日を二日前倒ししてほしいというびっくりするような打診を受けたが、関係者各位のおかげで、どうにかそれにも間に合いそう。

今回の仕事は、書籍の編集の実作業(進行管理と原稿整理、校正の取りまとめなど)のみを請け負っていて、企画や構成にはノータッチなので、自分の仕事という手応えは正直それほど感じていない。依頼された部分をきっちり仕上げるという点においては、プロとして手を抜いたりはしていないけれど。

昨日のエントリーの続きみたいな感じだが、よろず屋である僕のところにはいろんな仕事が舞い込んでくる。よっぽど条件や内容が折り合わなかったりしないかぎり、基本的には引き受ける方向で検討する。その点では、変なプライドが邪魔したりはしない。依頼した側がびっくりするくらい(笑)、ホイホイと軽いフットワークで引き受ける。

ただ、僕の中心には、「自分らしい旅を、自分らしい形で本にする」という、ぶれない軸がある。その軸があるから、ほかにどんな仕事が来ても、さくっと手がけられる気持の余裕があるのだと思う。ポリバレントな能力は、ぶれない軸があってこそ、いつか、本当の意味で活かせる場面が出てくるのだとも思う。

まとめると、がんばろ、ということかな。

ポリバレントという価値

昨日の飲み会でも話題になったのだが、紀行文やガイドブックといった旅行書を作る仕事は、つくづく国際情勢に左右される産業だな、と思う。

たとえば今、ラダックが属するインドのジャンムー・カシミール州は、西方のパキスタンとの停戦ライン付近で、両軍の部隊の交戦が続いている。今のところは小規模な武力衝突だが、間違って何かがこじれたら、大きな戦争にならないともかぎらない。そうなると、ラダック自体にその影響が届かなかったとしても、ラダックに関する書籍などの企画の実現は、しばらく困難になるだろう。

カシミールに限らず、ほかの国や地域だって、天災、人災、いつ何が起こるかわからない。仮に何かが起こった時、そのせいで自分の生活が立ち行かなくなってしまったら、かなりまずい。そういう万が一のことも想定した危機管理について、あらためて考えておかなければ、と感じている。

幸か不幸か、僕は純血のトラベルライターではなく、コンピュータやクリエイティブ系の雑誌や書籍の仕事もしているし、インタビューを中心にしたライターの業務もしている。よろず屋と言えばそれまでだが、種々雑多な仕事を通じて蓄積した経験値で、どんな依頼でもそれなりに対応できるという強味はあるかもしれない。

旅について書くことを仕事の主軸にしたいけど、それ以外の仕事を変に選り好みして、間口を狭めたいとは思わない。大切な目標をおろそかにしないという前提で、自分が作ることに意味が見出せる本なら、積極的にチャレンジしたい。

昔、サッカー日本代表の監督だったイビチャ・オシムは、複数のポジションをこなせる選手のことを「ポリバレント」(多価)と呼んでいた。一人の本の作り手として、そういう価値を持てるようになりたいと思う。