底の見えない国

昨日の夜は、友人の森川さん夫妻のお宅で開催された新年会に伺ってきた。デリー在住歴七年というお二人主催の宴だけあって、料理はびっくりするほど本格的なインド料理。おうちごはんでタンドーリチキンが出てくるとは思わなかった(笑)。参加者も旅やインドにゆかりのある方々ばかりで、たいそうマニアックな話で盛り上がった。

話していて思ったのは、インドという国は、日本人の感覚からすると本当にどうしようもないテキトーでいい加減な面があったりするのに、それでもどこか憎めないというか、それすらも魅力のようになってしまうということ。その一方で、度肝を抜かれるような美しさや崇高さを持ち合わせてる面もあったりして、つくづく底の見えない国だなあ、と。

何だかんだと言いながら、結局、そのうちまた行ってしまうんだろうな、インド。

編集者とライターの目線

昨日の夜は新宿で、知人の団体主催の電子書籍関連のイベントに参加。こういう同業者が集まる会に顔を出したのは、割とひさしぶりかもしれない。

終了後の飲み会の席で、こんなことを訊かれた。本を作る時、ライターとしての目線と、編集者としての目線は、どこで切り替えているのか? と。

僕の場合、書いてる間は常にライター目線だと思う。原稿が仕上がってゲラとして目の前に出てきた時、初めて編集者モードに切り替えて、突き放した目線で本として仕上げていく。だったら、原稿を書く前に構想を練ったり、途中で構成を検討したり、書き上げた原稿を推敲する時は編集者目線ではないのかと言われると、僕はそういうのも含めて常に同じ感覚で検討している。一冊の本としての完成形をまずきっちりイメージして、そこに向かって作り込んでいくのだが、ほとんどの場合、書きはじめる前に構成は固まっていて、ものによっては台割まで決め込むこともある。それはライターより編集者の目線に近い、と指摘されるなら、そうなのかもしれないけど。

どちらかというと、制作の各段階で俯瞰して全体を見渡したり、細部の精度にこだわったりといった切り替えの方が、一人で本づくりをする際には重要になると思う。うまくいってると思い込むと、往々にして失敗の原因になるから。

うどんにハマる

凝り性というほどではないと思うのだが、僕は一度何かを気に入ると、割ととことんハマるタイプ。で、最近ハマってるのが、自分の家で作るうどん。麺から打つわけではないが(笑)。

もともとうどんは好きだったけど、家で食べる機会はあまりなかった。乾麺は茹でるのに時間がかかるし、食感も生麺の方が個人的には好み。でも、生麺はあまり日もちしないのでは‥‥というイメージがあった。ところが、(ほんとに今さらながら)最近知ったのだが、生麺タイプのうどんでも、半月くらい日もちするものが結構あるのだ。シマダヤあたりだと、1パック3玉入りで100円くらい。安っ。熱湯で3分茹でればOKだし、味もなかなか悪くない。

そんなわけで、件の3玉100円のうどんは、うちの冷蔵庫に常備されるようになった。二日に一度、おひるはうどん。作るのはもっぱら、かまたま。うどんを茹でてざるで湯切りしたら、溶き卵をほぐしておいた丼にうどんを入れてよくからめ、刻みネギを散らし、醤油を回しがけるだけ。あとは、その日の気分で納豆やキムチをトッピングしたり。

何しろ単純でうまいので、なかなか飽きる気配がない。しばらくはうどんにハマり続けそう。

「ウェブ配色 決める! チカラ 問題を解決する色彩とコミュニケーション」

「ウェブ配色 決める! チカラ 問題を解決する色彩とコミュニケーション」ウェブ配色 決める! チカラ 問題を解決する色彩とコミュニケーション
文:坂本邦夫
価格:2415円(税込)
発行:ワークスコーポレーション
A5判224ページ(カラー216ページ)
ISBN978-4862671394

編集の実作業の一部を担当した書籍がまもなく発売になります。Webデザインにおいて重要な要素となる「配色」について、単なるセオリーだけでなく、制作時のさまざまな場面で必要なコミュニケーションによる問題解決のノウハウも紹介しています。以前、僕が企画・編集を担当した「これは「効く!」Web文章作成&編集術 逆引きハンドブック」のフォーマットの流れを汲む、Web制作に役立つ一冊です。

才能と職能

「一人で、書いて、撮って、編集して、一冊の本を作れるというのは、あなたの才能ですよ」という意味のことを、最近、何人かの人から言われた。

たぶん、僕の場合、持ち合わせているのは「才能」ではない。本づくりの仕事に携わるようになってから、必要に応じて身につけてきた「職能」だ。それは、そこそこの水準には達しているかもしれないけれど、個々の分野で燦然と輝きを放つトップクラスの「才能」には追いつけない、という限界も感じている。自分の「職能」の限界は、ずいぶん前から、自分でもびっくりするくらい素直に認めている。

ただ、個々の分野で煌めく「才能」を持っている人たちが、それを世の中に向けてうまく発揮することができずに、道半ばであきらめていくのも、僕は何度も見てきた。彼らには、いったい何が欠けていたのだろう。ほんのちょっとした巡り合わせか、運か‥‥。あるいは、いてもたってもいられないほどの、何かを「伝えたい」という思いか。

今までも、これからも、僕は地べたを這いずるように、じりじりと前に進んでいこうと思う。目指す先に「伝えたい」と思えるものがあると信じて。