ひさしぶりに、相方との二人旅。二泊三日で、函館に行ってきた。相方はずいぶん遠い昔に訪れたことがあるもののあまり記憶にないそうで、僕は初訪問。完全なる観光客気分で、北の港町を満喫してきた。
東京から函館までの移動は、飛行機で。早朝に家を出発し、羽田から午前中の便に乗り、函館まで約一時間。函館空港からバスで函館駅まで出て、予約してあった駅近のホテルに到着したのは、昼を少し過ぎた頃だった。あっという間だ。
ホテルの隣には函館朝市があり、その敷地内に、きくよ食堂という、海鮮丼がおいしいことで有名なお店がある。函館での最初の食事はここで、三色お好み丼をいただいた。僕が選んだ具はカニ、ウニ、イクラ。口に頬張ると、何というかもう、うっとりしてしまう。それぞれの食材が新鮮そのもので、めちゃくちゃ旨い。
海沿いを歩いて、金森赤レンガ倉庫のあたりを過ぎると、函館山の麓にさしかかり、坂道が多くなる。どれも結構な激坂だ。こうした坂の佇まいも、函館らしい風景の一つだと思う。
函館ハリストス正教会。こぢんまりとした、白と淡いブルーの建物で、内側も見学させてもらったが、奥の聖所との間にあるイコノスタス(聖障)が見事。あと、この教会では、お祈りの前後にめちゃめちゃ景気良く鐘を打ち鳴らすことで有名で、「ガンガン寺」とも呼ばれているそうだ。実際にその鐘の連打を耳にした時は、びっくりして笑ってしまった。
明治・大正の頃に作られた黒漆喰の建物をリノベして営業している、茶房ひし伊を訪問。天井の高い店内も、しっとりと落ち着いた雰囲気。真っ白な断面の爽やかな風味のロールケーキとコーヒーをいただいた。
全部で17店舗あるという、函館を象徴するご当地バーガーショップ、ラッキーピエロ。一度見たら忘れられないド派手さで、あらゆるおすすめ情報を足し算で積み重ねている押しの強さだが、下品な印象はまったくなく、いいぞもっとやれと応援したくなる。函館滞在中、最後の食事は函館駅近くのラッキーピエロでいただいたのだが、店内はものすごく賑わっていたし、看板メニューのチャイニーズチキンバーガーは、味もボリュームもすごかった。
到着初日、ロープウェイで、函館山の山頂に登った。青空の下、細長い半島に連なる函館の街並を堪能。函館を観光で訪れる人の多くは、山頂からの夜景を見るために日没の時間帯にここを訪れるそうだが、混雑もすごいそうだし、今の時期だとかなり遅い時刻になってしまって、夕食との兼ね合いが難しくなりそうだったので、夜景を見るのはやめにした。昼の間でも、十分過ぎるくらい良い眺めだった。
あちこちぶらついた後、金森赤レンガ倉庫のあたりに戻ってきた。波止場に停泊していた観光遊覧船、ブルームーン。
初日の夕食は、金森赤レンガ倉庫にある、函館ビヤホールへ。まずは、サッポロクラシックの大ジョッキ。
函館ビヤホールは、イカ丸ごとのバター鉄板焼きなど、料理もダイナミックで旨かった。ホールスタッフとして、インド人らしき男性たちが大勢働いていて、心の中で密かに、頑張れ……!と思った。
滞在二日目は、五稜郭へ。五稜郭タワーの最上階から見ると、本当に見事な星形。ほんの百五十年ほど前、この地で繰り広げられた箱館戦争のことを想う。最近では、漫画『ゴールデンカムイ』のクライマックスの舞台や、『名探偵コナン』のアニメ映画の舞台として認知している人も多いと思うが。相方は予想以上に五稜郭にハマって、歴史の説明を熱心に読み込んでいた。
五稜郭の中に再建された箱館奉行所の周囲を、ぶらぶら散歩。朝から薄曇りだったが、少し青空が見えた。気持のいい風が、松の梢を揺らしながら吹き抜けていく。
函館で必ず行ってみたかったお店、六花亭五稜郭店へ。開店直前に到着したので、ほとんど待つことなく、カフェに入ることができた。
六花亭五稜郭店でいただいたもの、その1。レアチーズのフロマージュブラン。中には大納言小豆。めちゃめちゃ旨い。
六花亭五稜郭店でいただいたもの、その2。マルセイアイスサンド。あのバターサンドの進化形のような味。これも超絶旨かった。
函館の街での移動は、路面電車がものすごく便利だった。交通系ICカードがあれば、気軽に利用できる。路線もわかりやすいし、運行本数も結構多いし、乗務員の方も親切で感じがいい。何より、路面をガタゴトとのんびり移動する時の風情がよかった。
二日目の夕食は、函館の地ビール、はこだてビールの醸造所に併設されたビアホールで。背の高いグラスに注がれたヴァイツェンが旨い。フードも、海鮮の具材が景気良く入った塩焼きそばなど、堪能させてもらった。二日連続で、しこたまビールを飲んだなあ……。
というわけで、本当にド定番の観光名所巡りと食べ歩きしかしていない、二泊三日の函館の旅だったのだが、予想以上に楽しくておいしくて、すっかり満喫させてもらった。良い街だ、函館……。東京から飛行機で一時間で来れてしまう距離だし、いつかまた、別の季節に訪れてみたいな、と思った。