違いを生むもの

同じ銘柄のビールを置いているのに、「あれうまそうだなあ、おいしいなあ」と感じる飲み屋もあれば、「別に飲みたいとも思わないなあ、飲んでみたけど、こんなもんか」と感じてしまう飲み屋もある。同じ本を置いているのに、「これよさそうだなあ、買おうかな」と感じる本屋もあれば、「何かピンとこないなあ、買わなくてもいいか」と感じてしまう本屋もある。

同じ場所で同じ風景や人を撮っているのに、「いい写真だなあ、ぐっとくるなあ」と感じる写真もあれば、「こう撮りゃいいんだろと狙ってる感あるなあ」と感じてしまう写真もある。同じ相手に取材して同じテーマの話を書いているのに、「面白い話だなあ、読み返したいな」と感じる文章もあれば、「書いてる人、自分に酔ってるだけなんじゃないかな」と感じてしまう文章もある。

お店にしろ、写真とか文章とか、ほかのさまざまなことにしろ、素材にあたる部分が同じでも、届け手によって明らかな違いが生じることは、よくある。その違いは、それぞれの届け手の技量の差によるものだけではない気がする。丁寧さとか、根気強さとか、まっすぐな気持とか……そういうまごころのようなものも、確かに作用している、と僕は思う。

丁寧で一生懸命でも、実力が伴っていなければクオリティに問題が出るし、テクニックや経験は十分にあっても、誠実さが伴っていなければ信頼関係は生まれない。技量とまごころは表裏一体で、それぞれを磨き上げ続けてこそ、誰かに喜んでもらえるものを届けられるようになるのかもしれない。

ふと思ったことを、つらつらと書き連ねてみた。

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