軋む世界

気がつけば、今日から7月。2020年の半分が終わってしまった。すっかり失われてしまった、という感触に近い。

米国やブラジル、インドなど、いまだに多くの国々が、コロナ禍に喘いでいる。日本というか、東京もそうだ。都知事選の投票日を過ぎたとたん、東京の1日の感染者数が3桁に増えてもまったく驚かない。旅行者が普通に海外と行き来できるようになるのは、来年以降になるだろう。東京五輪? そんなの、無理に決まっている。

米国では、Black Lives Matterの怒りの炎が燃え盛っている。ラダックでは、中国軍とインド軍が針金を巻いた鉄パイプで殴り合っていて、どちらがトリガーを引いてもおかしくはない。香港は、国家安全法によって完全に押し潰されようとしている。

自分の身の回りでも、遠く離れた国々でも、世界が、ぎしぎしと軋みを上げ、ひび割れ、砕けそうになっているのを感じる。人間の冷静さと良心で、それらをつなぎ止めることはできるのだろうか。たとえできなくても、やれることを、やるしかないのだろうけど。

嵐が過ぎ去るまで、ただ耐えるだけでは、ダメなのかもしれない、と思う。

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ジョン・マクフィー『アラスカ原野行』読了。だいぶ前に買っていたものを、ようやく読み終えた。本文2段組、450ページの大著で、1970年代のアラスカとそこで生きる人々の横顔が、雄大な自然の描写とともに丁寧に書き綴られている。環境保護と開発、先住民と白人の移住者、原野での生活を希求する者たちの葛藤。きれいごとだけでは描ききれない、当時のアラスカのリアルが詰まった、貴重な記録。

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