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自分は何者なのかは、自分で決める

昨日の午後、新宿で「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。史上最高のロック・バンドの一つであるクイーンと、そのリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生涯について描かれた映画。最初から最後まで、文字通り、シビれるような展開だった。彼らがどんなバンドで、どんな軌跡を辿ってきたのか、ある程度知っていたつもりだったけど、そのクリエイティビティと情熱、そしてフレディの孤独の闇の深さに、あらためていろいろ考えさせられた。

物語の終盤、ある決意を固めたフレディが、バンドのメンバーたちに向かって、こう言い放つ場面がある。

「I decide who I am.(自分が何者なのかは、自分で決める)」

ああ、そうだよな、と思う。

世の中の人々の多くは、自分がまだ何者でもないことに思い悩む時期がある、と思う。僕自身、二十代の頃はそうだった。物書きになりたくても認めてもらえず、編集者になりたくても望む仕事をもらえず……。でも、「自分はこの仕事をやるんだ」と腹をくくって、しがみつき、もがきながら、少しずつ、少しずつ、積み重ねていって……ふと顔を上げて、ふりかえると、僕は、うっすらと、おぼろげながらも、何者かになっていた。物書きとしても、編集者としても、写真家としても、まだまだはしくれ程度の存在でしかないけれど。

自分が何者であるのかは、他人に決めてもらうことではない。かといって、自分で名札を書いて胸に貼り付ければ、なりたい自分になれるわけでもない。世間的な肩書きや社会的地位には、本当の意味での価値は何もない。自分自身で選んだ目標に、挑み続け、やり遂げることでしか、何者かになれる道はない。

生き方を、自分で選び取る。自分が何者なのかは、自分で決めるのだ。

脳をとっぷり浸す日

昨日は昼から、渋谷へ。まず、Bunkamura ザ・ミュージアムで一昨日から始まったソール・ライター展に行く。一年半ほど前に彼についての映画を観て以来、この写真展も心待ちにしていたのだが、期待に違わぬ、素晴らしい内容だった。実際にじっくりと拝見させてもらった彼の作品群についての感想は、また別の折にでも書こうと思う。

夕方からは、同じくBunkamuraのオーチャード・ホールで開催された、畠山美由紀さんのデビュー15周年記念ライブ。6名のゲストが入れ替わりながら登場するという、本当に贅沢な内容。圧倒的な演奏と、台本通りにいかないMCがたまらない(笑)。歌と音楽に対する愛情が、ぎゅうっと詰まった3時間だった。

丸一日、眼から、耳から、良質なインプットを注ぎ込んで、滋養の海に脳をとっぷり浸すことができた。こういう日は、時折必要だなあ、と思う。

夏がひたひたと

昼、歩いて吉祥寺へ。キチレコソニック2017の会場で、たかしまてつをさんたちのバンド、東京ハイボールズのミニライブを拝聴。楽しかった〜。会場にいた人たち全員が、本当に楽しそうだった。

連休に入って、みんな帰省したり遠出したりしてるのかと思いきや、吉祥寺の街は思いのほか、人が多くて、どこの店も大混雑。週明けの月火の平日、暦通りに仕事があって、この週末は普通に都内で過ごしてる人が多いのかもしれない。

運良く入って座れた武蔵野珈琲店で、今季初のアイスコーヒーをすすっていると、窓の外で、いきなりのどしゃぶり。で、すぐに何事もなかったかのように止んだ。ついこの間、やっと春になったかと思ったら、もう夏がひたひたと近づいているようだ。

ラジオのCMに思う

自宅にいる時、書き仕事でテンパってなければ、たいていラジオをかけ流しにしている。水曜の夜と、日曜の午後から夕方にかけては、InterFM。それ以外の時間帯は各局の番組内容に応じて気まぐれに、という感じだった。

でも最近は、上に挙げたInterFMの番組以外の大半の時間帯、Worldwide FMを聴くようになった。昨年9月にジャイルス・ピーターソンが中心になって立ち上げたインターネットラジオ局で、存在は前から知っていたのだが、先日iPhoneアプリがリリースされて、AirPlay経由で自宅のステレオで高音質で聴けるようになってからは、もう、こればっかり。まったく何の不満もない。合間にCMも入らないし。

CMといえば、巷のラジオ局では、「過払い金請求の無料相談」と「聞き流すだけの英会話教材」のCMが、なぜ、あんなにも存在感を発揮しているのだろう。統計を取ってるわけじゃないので、本数が多いかどうかまでは知らない。ただ、心地よい音楽の合間に急に突っ込まれる、あの唐突な異物感は、わざと演出してのものなのだろうか。のんびり気持ちよく散歩してる時に、突然、がくっ、と石ころにつまずいたみたいな気分になるのだが。

というわけで、今も聴いてるのは、Worldwide FM。いい。ほんとにいい。

BeatsX

去年の暮れに携帯をiPhone 7 Plusに機種変したのを機に、イヤフォンも新調することにした。ここ2年ほど使っていたBeats Tour v.2がだいぶくたびれてたのと、iPhone 7 Plusでは3.5 mmオーディオプラグ端子が廃止されたので(Lightningとオーディオプラグの変換アダプタは本当にダサい‥‥)。今度はアップルの開発した無線接続用チップ、W1チップを搭載したワイヤレスイヤフォンにしようと考えた。純正のAirPodsは僕の耳の形に合わない(フィット感がゆるくて、スルスル動いてしまう)。Powerbeats3 Wirelessはイヤーフックが眼鏡と干渉してしまう。なので、僕にとってはBeatsX、一択。予定より発売が遅れてじりじりしたが、3月上旬に無事ゲットし、しばらく使ってみたので、使用感などをまとめてみようと思う。

BeatsXiPhone 7 Plusとの接続は簡単。iPhoneをロック解除状態にし、その近くでBeatsXの電源ボタンを押し続けると、2、3秒でiPhoneの画面に接続を促すダイアログが表示されるので、それをタップ。耳につけている状態なら、接続した時には接続音が、BeatsXの電源を切った時には接続解除音が聴こえる。

製品には数種類のイヤーチップと、耳たぶにはめて安定させるウイングチップが同梱されている。個人的には、ウイングチップを使う方がかっちり安定した状態を維持できるので好みだ。カナル型イヤフォンにはケーブルに何かが触れるとタッチノイズが耳に大きく響くという弱点があるが、当たり前だがワイヤレスイヤフォンなので、ケーブルも短く、ノイズを拾う頻度は少ない。首の周りに巻くネックバンドの部分からはあまりノイズは拾わない。耳につけたまま歩いていると、歩く時の振動が鈍く響きはするが、それほど気にはならない。

音質は、これまでのBeats by Dr.Dreの個性的な味付けの音とは違って、かなりマイルドというか、元の音に忠実な再生を目指している印象の音。アップル純正のイヤフォンに近い味付けのように思うが、それよりも低音や高音はずっとクリアに聴こえる。Beats Tour v.2よりボリュームを1押し分アップして、ちょうどいいくらい。個人的には、長い時間聴いていてもあまり疲れない、聴きやすい音だなと感じている。

バッテリー持続時間は8時間と言われているが、だいたいそんなものだろう。ただ、聴き終わったら電源ボタンをオフにする習慣にしておかないと、うっかり外出先でオフにし忘れたら計算外に消耗してしまう。充電はLightning〜USB-A充電ケーブルでパソコンなどにつなぐのだが、割とあっという間に充電できる(完了すれば電源ボタンのLEDが赤から白に変わる)。僕の場合、自宅にiPhoneを電源アダプタで充電しながら置いておく置き場を作っているのだが、最近は外出先から戻ってきたら、まずそこでBeatsXをさくっと充電し、終わったらケーブルをiPhoneに繋ぎ替えておくようにしている。

付属のキャリングケースはシリコン製で、収納する時にはネックバンドをくるっと1回巻き、イヤフォンに繋がる細いケーブルを畳んでケースに押し込む。ケースの外側には埃やゴミが付着しやすいのだが、気になったら、ケースだけを水でさっと洗えばOK。一瞬できれいになる。

僕がBeatsXを使うのは、外出して電車で移動する時がほとんどなのだが、実際にしばらく使い続けてみて、これはもう戻れないなと感じた。iPhone本体とイヤフォンがケーブルでつながっていないということが、これほど気楽で自由だとは。混雑してる電車内でも、乗り換えで移動する時も、ケーブルをひっかけて断線させたり、iPhoneを吹っ飛ばしたりする心配はない。電源の確保が難しい海外の旅先とかでガンガン使うにはちょっと心もとないが(まあそんな場所に頻繁に行く僕が悪いのだが、苦笑)、日常生活の中で使う時、ワイヤレスであることで享受できる自由というのは、本当に大きい。音質云々より、その自由が、BeatsXの一番のメリットだと思う。