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ラダックツアーとトークイベントのお知らせ

いきなりですが、お知らせを2つほど。

今年の夏、8月17日(月)から23日(日)頃にかけて、ラダックで催される現地発着ツアーのガイドを務めさせていただくことになりました。日本の旅行会社GNHトラベル&サービスと、サチさんが経営するラダックの現地旅行会社Hidden Himalayaとの共同企画ツアーです。詳細はこちらのサイトにて。

もう1つ、そのツアーの紹介もうっすら兼ねた形で、5月24日(日)の夜に下北沢の書店B&Bにて、ブータン写真家の関健作さんとのトークイベントを開催することになりました。関さんと僕がなぜ異国の地に向かったのか、そこで何に出会い、何を感じ、何が変わったのか、その根っこの部分から掘り起こすようなトークができればと思っています。イベントの申し込みはこちらのサイトにて。

どちらも、もしご都合の合う方がいれば、よろしくお願いします。

タフでなければ

昨日の午後は、小林尚礼さんのお誘いで、「地球の歩き方 ブータン」の制作に初版からずっと携わり続けている編集者、高橋洋さんのトークイベントに行ってきた。

高橋さんの長女の娘さんは二歳の時に非常に患者数の少ない遺伝系の難病を発症されて、以来ずっと自宅の一室で、身動き一つできない状態での療養を続けられている。当初、娘さんの余命は長くても七歳くらいまでと言われていたそうだが、先日、二十歳の成人式を迎えられたそうだ。これまでの間、高橋さんと奥様、そして周囲の人々が、娘さんのためにどれほどの努力を積み重ねてこられたのか、想像を絶する。

高橋さん自身も数年前に胃癌を宣告されて手術を受けた経験があるそうだが、「地震にたとえると、二歳の娘に下された難病の宣告が震度7か8だったとすれば、僕に下された胃癌の宣告は、せいぜい震度3か4くらい。全然たいしたことなかったです」と、こともなげに話されていた。

娘さんの看護や取材を通じてのブータンとの関わりは、高橋さん自身の人生観にも大きく影響したそうだ。自分には世界中を大きく変えるようなことはできないかもしれないけれど、一人ひとりがそれぞれ自分にできることを一つひとつ積み重ねていけば、世界はもっとよくなるのではないか、とも。

終了後にご挨拶させていただいた高橋さんは、話し好きで飄々としていて、穏やかな印象の人だった。トークで淡々と話されていたような苛烈な人生を送ってきた方には、とても見えなかった。タフでなければ、生きていけない。優しくなければ、生きている資格がない。マーロウのあの有名な台詞を、その時ふと思い出した。

関健作「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」

関健作「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」写真家の関健作さんと先日開催したモンベル渋谷店でのトークイベントの日は、関さん初の著書「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」の発売日でもあった。発売までの紆余曲折をそこはかとなく聞いていたし、刷り上がりがイベント当日に間に合うかどうかも心配していたのだが、間に合ってよかった。イベント会場でも、大勢のお客さんが嬉しそうにこの本を買い求めていた。

関さんは青年海外協力隊の体育教師として、ブータン東部の辺境の地、タシヤンツェで三年間を過ごした。160ページの小ぶりなこの本には、関さんのその三年間の経験が、たくさんの写真とともにぎゅっと凝縮されている。日本とはあまりにもかけ離れた文化と価値観に戸惑い悪戦苦闘するうちに、関さん自身も、教え子の子供たちも、少しずつ変化していく。うまくいったことも、そうでなかったことも、関さんらしい真っ正直な文章で綴られているので、とても好感が持てた。

学生時代、陸上競技ひと筋で生きてきた関さんが挫折を味わい、新しい生き方を模索している時に、こういう形でブータンと関われたのは、とても幸せなことだったのではないかと思う。自分一人で完結する願望や満足のためではなく、その先につながる誰かのために何ができるのかを考えて生きるということ。ブータンから戻ってきた関さんが、写真家としてブータンと向き合う道を選んだ理由も、この本を読むと腑に落ちる。僕自身、かつて陸上競技で大きな挫折を経験したり、ラダックと関わって価値観や生き方が変わったりもしたから、共感できる部分もたくさんあった。

この本は、関さんにとってのひと区切りであると同時に、最初の一歩でもある。写真も、言葉も、これからもっともっと積み重ねられるはず。その先につながる誰かのために、これからもブータンと向き合い続けてほしいと思う。

羽田空港からブータンへ

午後、原宿で打ち合わせ。とりあえず、当面の懸案事項がクリアされたので、わかりやすい形で仕事を受けられるようになった。これで、すっきりした気分で年を越せそう。

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昨夜、知人から教えてもらったのだが、来年五月から、羽田空港からの深夜便でブータンに行けるようになるらしい。羽田を22時に出発し、翌朝6時にバンコク着。そこでドゥルクエアに乗り換えて、10時にはパロに到着。会社勤めの人でも、金曜夜に仕事が終わった後に飛べば、土曜の午前中にはブータンに着くのだ。これはかなりすごい。糸井重里さんもほぼ日で反応してるし。

旅の楽しみ方は人それぞれだし、ブータンには一日200ドルの公定料金というルールもあるので、その枠をめいっぱい使って豪遊するという人もいるかもしれない。でも個人的には、せっかくブータンに行くのなら、かの地で暮らす人々のありのままの暮らしに触れてほしいなと思う。たとえば、風の旅行社ではブータンでのホームステイを含むプログラムを催行しているので、興味のある方は問い合わせてみてもいいかも。

まあでも、やっぱり、一日200ドルは高いなあ‥‥(苦笑)。