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祈りと元気と

昼、電車に乗って護国寺へ。来日中のダライ・ラマ法王による東日本大震災の四十九日法要に参加する。

セキュリティチェックを終えて階段を上ると、本堂の前の広い境内は、三千人もの人々でぎっしりと埋まっていた。四基の大型スクリーンに、法王のご様子が映し出される。読経の声を聞きながら、家から持ってきた数珠を手にかけ、しばらくの間、じっと手を合わせて、震災で亡くなった方々や、被災地で不自由な暮らしを余儀なくされている方々のことを想った。

僕が祈ったからといって、苦しんでいる方々が救われるわけではないけれど、自分自身の心に祈りを刻むことで、何か変わるものがあるかもしれない。こういう機会に立ち会うことができて、よかったと思う。

夕方、新宿に移動して、新宿眼科画廊で今日から始まるたかしまてつをさんの個展のオープニングパーティーに行く。たかしまさんの作品は以前からいろんな場所で何度か拝見してきたけど、今回の展示は圧巻。白い壁一面にびっしり貼られているのは、キャンバスやダンボール、手帳のページ、レシート、文庫本のカバーなど、ありとあらゆるものに描かれた絵たち。奥の小部屋には、四枚のふすまにどーんと描かれた、文字通りのふすま絵もあるのだ。

パーティーの間も壁のあちこちをずっと眺めて回っていたのだが、見ていて感じたのは、たかしまさんは本当に、骨の髄まで絵を描くことが好きな人なのだなあ、ということ。見る人に元気を与えられる絵というのはすごいと思う。

祈りと元気とで、心が少し軽くなったような気がした。

うきわねこ

昼、原宿にある知人の編集プロダクションへ。今日から三日間、この事務所に出向いて、編集作業をちょこっと手伝うことになったのだ。どうにもこうにも、にっちもさっちもいかないくらい人手が足りないらしいので。赤ボールペン片手に、しばしの間、ゲラと格闘。考えてみれば、人が作ったゲラをチェックするのはひさしぶりだ。

夕方、外苑前のギャラリーで開催中の牧野千穂さんの個展へ。パステルで描かれた繊細なタッチの原画を間近で眺めることができるのは、やっぱりいいなと思う。これまでに書籍の表紙などで使用された作品も素晴らしかったが、個人的には、現在鋭意制作中という絵本のために描かれた絵が特に気に入った。猫が浮き輪で宙に浮いているのが、何ともたまらない。この絵本、テキストは蜂飼耳さんが手がけられているとのこと。完成が楽しみだ。

ひさしぶりにBook 246をぶらぶらした後、夜は昔の職場の人たちと飲み会。青山にある「おやじ」というホルモン焼の店。店名のように豪放磊落な人が仕切っているのかと思いきや、店主さんは結構繊細な神経の持ち主のようで、注文した肉を出す順番から焼き方まできっちりマネジメントされていた。至極上品なホルモン焼をいただいたという感じ。まあ、僕みたいな人間には、李朝園みたいにテキトーにバンバン頼める方が気楽といえば気楽だけど(笑)。