世界一のクリスマスツリー

午前中から夕方まで、八王子で取材。帰りにココイチでスープカレーを食べ、家まで戻ってくる頃には、すっかり日が暮れていた。

近所にあるキリスト教系の幼稚園のベランダが、この時期恒例の電飾で彩られている。この建物は教会でもあるので、電飾もおとなしく、品のようなものがある。同じ電飾でも、三鷹駅北口ロータリーで年末灯される電飾は、正直言ってあまり品がない。青や白のLEDを大木の枝にむやみに絡めつけていて、人間の身勝手さを感じてしまう。

神戸港に先日持ち込まれたという、「世界一のクリスマスツリー」とやらのことを思う。氷見の山から根ごと引っこ抜かれ、はるばる神戸まで運ばれ、震災の鎮魂とかいう被災者の感情をもろに逆撫でする惹句を後付けでまぶされ、クリスマスの後は切り刻まれて神社の鳥居にされる予定という、世界一のクリスマスツリーのことを。

そもそも、何が世界一なのかもよくわからない。高さなら、国内外にもっと大きな、しかも自生しているツリーがあるという。子供たちが願い事を書いたオーナメントをくくりつけた数で世界一ともいうが、つけたそばから風で割れてバラバラ落っこちて、ろくに回収もされていないという。あのプロジェクトに関わっている人間たちの愚かさという点では間違いなく世界一だが、それではそんな愚かな人間たちに無理やりツリーに仕立てられたあげく鳥居にされてしまう、樹齢150年のあすなろの木(かどうかも実ははっきりしない)が可哀想だ。

世界一、無残な、クリスマスツリー、なのだろうな。

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