リコー GR DIGITAL IV

僕が旅先で写真を撮る楽しさを初めて知ったのは、リコーのGR1というカメラだった。それがデジタルとなったGR DIGITALも、2005年に発売された初代をずっと愛用してきた。ただ、さすがに七年前のコンデジとなると、普段使いはともかく、仕事のサブカメラとしては画素数や画作りの面でかなり厳しい。ほかのメーカーのカメラもいくつか検討したのだが、手にした時にしっくりくるホールディングや操作感、写りの好みを考え合わせた結果、「やっぱりGRだな」という結論に達して、GR DIGITAL IVを手に入れることにした。

初代から数えて四代目となるGR DIGITAL IVは、当初のコンセプトがずっとキープされていて、大きさやデザイン、操作系はほとんど同じ。ちょっと出かける時など、カバンに突っ込んで持ち歩くにはうってつけのカメラだ。開放F1.9で換算28mm相当のGRレンズや1000万画素のセンサーは先代のGR DIGITAL IIIと同じ仕様だが、ローパスフィルターの薄型化や画像処理エンジンの改良により、こんな小さなカメラで撮ったとはとても思えないほど、素晴らしい解像感を得られる。初代のGR DIGITALでは時々「おや?」と首をかしげることもあった画作りも、GR DIGITAL IVでは文句のつけようがないほど安定したショットを得られるようになった。このカメラで撮影した写真は、一つ前のエントリーの「奥多摩散策」を参照してほしい。

実際に撮影してみてまず感じたのは、オートフォーカスの速さ。パッシブAFセンサーとコントラストAFを組み合わせた新しいAFシステムの効果は強烈で、ほとんど一瞬で合焦する。シャッターボタン全押しのフルプレススナップも、距離指定をオートに設定できるようになったので、ぶっちゃけ、どう撮ってもほぼ確実にフォーカスを合わせられる。手ブレ補正機能が搭載されたこともあって、どんな状況でも、撮りたいと思った時に迷わずズバッと撮れる「瞬発力」が強化された印象だ。初代から細かな改良と熟成を重ねてきた操作系も使いやすくて、その気になれば、レバーやボタンの機能割り当てや画作りのパラメータの変更など、マニアックすぎるのではと思えるくらいのカスタマイズを施すこともできる。

換算28mm相当という単焦点レンズは、スナップショットには最適の画角だけど、もちろん万能というわけではなく、それなりにクセはある。ただ、「このカメラのレンズは、この距離だとこういう写り方をする」という感覚を身体で覚えてしまえば、そのクセを活かすフレーミングを考えるようになり、自分の足で距離感を微調整し、シャッターチャンスを逃さなくなる。そうやってレンズの特徴を活かすことが、GR DIGITAL IVによる撮影の面白さだと思う。

こういう、ちっこいけどよく写るカメラを一つだけ持って、小さめのリュックに本と洗面道具と着替えを詰めて、どこかの国をふらふらと旅してみたい。たぶんGR DIGITAL IVは、そういう時に一番力を発揮してくれるカメラなのではないかと思う。

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