心を踏みにじる

今日は、チベット暦の一月一日、ロサル。チベット人にとって、ロサルは一年で一番盛大なお祝いの日。近くのゴンパ(僧院)にお参りした後、親戚やご近所さんの家々を訪ねて、飲めや歌えや踊れやのどんちゃん騒ぎが繰り広げられる日‥‥のはずなのだが。

今年のロサルを、心からの笑顔で迎えたチベット人は誰もいない。一年以上前から続くチベット本土での僧侶や一般人の焼身抗議者への弔いと、彼らに対してさらに弾圧を強める中国政府への抗議の意を込めて、チベットの人々はロサルのお祝いを慎んでいる。

滑稽なのを通り越して呆れてしまうのは、そんなチベット人に対して、中国政府が「ロサルを祝え! だが、寺院への参拝はするな!」と強要していること。同胞のために命を散らせた者たちを悼む心。敬虔な信仰を守り続ける心。人として当たり前の権利を持って生きたいと願う心。そういったチベットの人々の心を、中国政府は泥まみれの靴で踏みにじり、唾を吐いている。

そうした現実を、所詮は他人事だから、何かと都合が悪いから、と見て見ぬふりをしている人たちもまた、同じ穴のムジナだ。

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