Bicycle
The Brompton M3L Raw Lacquer (2006) : 8 Speeds Custom Made
ブロンプトンは、英国人のアンドリュー・リッチーが考案したフォールディング・バイク。その基本設計は1986年に生産が開始されてからほとんど変わっておらず、ヨーロッパだけでなく日本でも根強い人気を集めている。16インチのタイヤを装着したその愛らしいスタイルとは裏腹に、走行性能は並のママチャリを凌ぐ。また、驚くほど手早くコンパクトに折り畳むことができるので、通勤など、輪行を伴う街乗りに非常に適している自転車だ。
僕がこのブロンプトンを購入したのは2006年2月のこと。モデルはM3Lという、3段変速で電装系もリアキャリアも付属していないシンプルなモデルだ。以来、あちこち改造したりパーツを取り替えたりしているうちに、行き着くところまで行ってしまったような気がする(笑)。
ブロンプトンが他のフォールディング・バイクと一線を画しているのは、この折り畳んだ状態の美しさにあると思う。フレームとハンドルの固定ネジを外して畳むだけで、コンパクトな箱型になって自立するのだ。この状態で各部がカチッとロックされているため、フレームをつかんで持ち上げてもバラけることがない。チェーンが内側に来る設計になっているので、油汚れを気にする必要もないのだ。
ブロンプトンにはスタンドがなく、駐輪させる時は後輪をクルッと前に送って、リアキャリアについている4基のホイールを接地させる。ツーリング中にこの状態で停めていると、通りがかった人からは「あれ? 壊れちゃったんですか?」とよく訊かれる(笑)。
このブロンプトンのカラーリングは、2006年のモデルからM3Lにラインナップされているロウカラーという塗装。クロモリの地金にクリアラッカー塗装を施したもので、金色に見える溶接部分など、他のカラーにはない独特の味がある。
駆動系は、和田サイクルで改造を依頼。ノーマルの3段変速から、シマノのNEXUSインター8をインストールして8段変速にしている。リアエンドの幅を広げ、後輪は専用のSUN製の36Hダブルウォールリムに換えて組み直し。この改造によって、特にロングライド時は劇的に乗りやすくなった。
シフターは、インター8用のグリップシフターではなく、シマノデュラエースのバーエンドシフトレバーをアタッチメントで装着し、サムシフターとして使っている。見た目はグリップシフターよりも断然カッコイイが、変速時のアタリがないため、慣れるまでちょっと大変だ。グリップはTRUNKでオーダーしたハンドメイドのオイルドレザー製グリップに交換している。
サドルはブルックスがブロンプトン用に製造したレザーサドルに換装。個人差があるのかもしれないが、僕の場合は別に尻も痛くならない。サドルやグリップのレザー化は見た目の印象がかなり変わるので、手軽でおすすめのカスタマイズだ。
純正のペダルは少々踏みづらいので、MKSのプロムナードEzyに換装。シンプルな形で足がすべることもない。ワンタッチで着脱できるので、折り畳んで輪行する時にも邪魔にならない。
フロントキャリアブロック、通称「ブロ鼻」は、専用のバッグを取り付けるためのアタッチメント。バッグの着脱は簡単で、ハンドルにも干渉しないため、荷物の積載量がグンと上がる。ここにクロスパニアバッグを装着しても、なぜか野暮ったくならないのがブロンプトンの不思議なところ。
ノーマルのM3Lにはリアキャリアがついていないが、装着すると駐輪時の安定性がかなり向上する。リアキャリアには純正のイージーホイールを装着。折り畳んで輪行する時、駅の構内をコロコロ転がして運ぶことができる。
‥‥と、ここまであちこち改造してしまうと、残る改造ポイントは、前輪にハブダイナモをインストールして、前後にライトを取り付けるくらいしかないが、僕はあまり夜間に乗ることがないので、電装系を組み込む計画は今のところない。ちなみに、純正のダイナモとライトは乗っているうちに接触不良で故障することが多いので、ライトが必要な人は、M3Lなどをベースにハブダイナモとライトを後付けした方がいいかもしれない。
見た目に似合わずキビキビとよく走り、さっと折り畳めば電車や飛行機にも持ち込める。乗れば乗るほどそのスマートさに感心してしまう。ブロンプトンは、フォールディング・バイクの機能美の一つの頂点と言えるのではないかと思う。

