考える時間

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自分が旅を好きな理由について考えていると、たぶん、旅の中で「考える時間」が好きなんじゃないかと思うようになった。

一人である程度長い旅をしていると、何もしない時間というのが結構ある。空港や駅で乗り継ぎを待っている時。何時間もおんぼろバスに揺られながら窓の外を眺めている時。食堂で注文した食事が出てくるのをテーブルに頬杖をついて待っている時。安宿のベッドに寝転んでぼんやり天井を見つめている時‥‥。慣れ親しんだ居心地のいい場所から切り離され、見知らぬ世界に放り込まれると、五感も敏感になってくる。そんな時は否応なく、いろんな考えや言葉がぐるぐると頭の中をめぐるようになる。

ポジティブな考えが浮かんでくるとはかぎらない。むしろ、ネガティブで後ろ向きな考えが浮かんでくることの方が多いような気がする。けれど、そういう不安や焦燥の中で、自分の無力さ、情けなさ、ちっぽけさを思い知ることも、大切な旅の経験の一つだと思うようになった。旅を通じて自分の弱さを確認することで、初めて見えてくることもたくさんあるからだ。

僕の場合、そういう時間の中で考えたことは残さずノートに書きつける。構成とか文体とか、そんなものはどうでもいい。とにかく書く。すると、その混沌の中から浮かび上がってくる言葉がある。「ラダックの風息」の中でも鍵となる言葉のほとんどは、そうして生まれたものだ。

東京でせわしない日常を過ごしているだけだと、やっぱり僕には「考える時間」が足りない。そろそろ、一度リセットするべきなのかなと思う。

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  • Author : yama_taka
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