July 2009 Archives

カメラに求めるもの

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昨日、ニコンからD300Sという新型のカメラが発表されたのだが、そのカメラの話題で周囲とやりとりしている時、僕がカメラに求めるものは、どうもほかの人とはちょっと違うということに気づいた。

画質はいいに越したことはないが、そんなに高画素でなくてもいい。ファインダーはできるだけ広くて見やすい方がいい。ナントカ撮影モードとかの余計な機能はいらない。必要なのは、信頼性。何万回使っても壊れないシャッターユニット、雨や土埃を(そんなに)気にせずに使える防塵防滴仕様のボディ。零下30度でも動作保証してもらえるなら言うことなし。

‥‥自分で書いていて「お前、どんだけ苛酷な場所に行くつもりだ?」という気がしてきた。まさか、自分がこんなにエクストリーム志向になってしまうとは。

清水白桃

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昨日、岡山の実家から清水白桃が送られてきた。

桃の産地である岡山でも、清水白桃は最高級の品種。収穫期間は7月下旬頃からのわずか10日間ほどだけ。熟した清水白桃はものすごくデリケートで、あまりの柔らかさに手で握るだけで傷んでしまうほど。そんな桃が、丁寧にスポンジにくるまれて、どーんと箱詰めで届いたのだ。友人たちにいくつかお裾分けしたものの、冷蔵庫にはまだ大玉の桃がずらりという状態。

よーく冷やした清水白桃の薄皮を丁寧にむき、包丁でざっくざっくと大きめに切り、フォークで刺して、あんぐと頬張る。‥‥なんかもう、あまりのうまさに笑い出したくなる。甘く上品な香り。とろけるようになめらかな果肉。じゅわっとあふれる果汁‥‥。反則だ。これは反則だ。

間違いなく、宇宙で一番うまい果物だと思う。

モモエのくちびる

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以前、ある出版社に提案していた書籍企画が、社内企画会議で正式に承認されたとの朗報が届く。今日はその出版社に行って、今後の進め方についての打ち合わせ。今回の企画では編集者という立ち位置だが、けっして楽な道程ではなさそう。まあでも、いい本を作れるように、精一杯頑張るしかない。

打ち合わせが終わった後、ひさびさに新しいスニーカーを買った。ニューバランスのM576というモデル。実は、素材違いの同じモデルを6、7年くらい前に買ってずっと愛用していたのだが、ヒール部分のプラスチックのパーツが経年劣化でぱっくり割れてしまい、引退させざるを得なくなったのだ。

他のメーカーのスニーカーも検討したものの、やっぱりニューバランスの履き心地のよさは何物にも代え難い。昔、ニューバランスのフラッグシップモデルのM1300というスニーカーは、まるで足に吸い付くような履き心地が「モモエのくちびる」と形容されたそうだ。その快適さは、M576にもしっかり受け継がれていると思う。

‥‥それにしても、モモエって誰だ? 山口百恵?(笑)

タルチョ

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夕方、近所のインド・ネパールレストランの前を通りがかった時、頭上にタルチョがはためいていることに気がついた。

タルチョというのは、チベット仏教徒が家の屋上や寺院、峠、橋などに張り渡す祈りの旗。青、白、赤、緑、黄の五色の旗に、経文を刷ったものだ。そうか、この店の人はチベット仏教徒だったのか‥‥。

まあ、東京都武蔵野市の路上にタルチョがはためいていることを、ひとかけらの違和感も感じることなく受け入れている自分は、もはや普通ではないのかもしれない(笑)。

手を重ねる

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午後、編集者さんを交えてのリトスタ本の打ち合わせ。本文原稿の方向性の確認や、追加撮影が必要な写真、カットイラスト、帯コピー、そして今後のスケジュールまで(汗)、いろいろ入念に話し合った。

打ち合わせを終えた後、僕が冗談半分で右手を差し出すと、みんながその上に手を重ねてきたので、「エイエイオー」みたいなかけ声を上げた。何となく、やる気が出てきた(笑)。人間、単純なものだ。

たくさんの人々と、一つのものを作り上げる。遥か彼方のラダックで、たった一人でノートにひたすら言葉を綴っていた時とは、全然違う種類の作業だなあと思う。

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GR DIGITAL IIIが発表された。レンズをF1.9にして、CCDをむやみに高画素化せずに高感度対応にしたのは評価できる。くれるというならもらうけど(笑)、急いで買い替えとまではいかないかな‥‥。

ドレミの歌

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吉祥寺で展示していたラダックの写真パネルを撤収するため、朝から出かける。作業自体はすぐに終わったので、駅前の喫茶店で朝飯を食べ、パネルを抱えて電車で帰路につく。

三鷹駅の改札を出て、エスカレーターを降りていると、背後で突然、一人の男の子が「ドレミの歌」を歌いはじめた。

「どーはどーなつーのどー、れーはれもんのれー、みーは‥‥」

きっと、覚えたてなのだろう。ハイテンションで歌は続く。

「らーはらっぱのらー、しーあわせのうたー、さーうたいましょー‥‥」

‥‥と、ここで終わるのかと思いきや、

「どみみ、みそそ、れふぁふぁ、らしし、どみみ、みそそ‥‥」

そ、そうか。歌詞がないところも歌うのか。そういえば、自分もそこまで歌ってたっけ‥‥。

たぶん十数年ぶりに聴いたので、ある意味、新鮮だった。

Twitter

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最近、Twitterが流行っているらしい。

Twitterは、140字の制限内でつぶやきのような短文を更新していく「独り言共有サイト」みたいなもの。僕はこのサービスが始まって間もない時にアカウントを登録して、以来ちょくちょく使っている。2007年当時、ラダックからTwitterを更新していた人間は、世界広しといえども僕くらいのものだろう(笑)。

最近使っていて思うのは、このサービスはiPhoneで利用するのが一番面白いんじゃないかということ。どこかに出かけたりした時にリアルタイムでつぶやき中継をするのは結構楽しいし、iPhoneのTwitter用アプリも使いやすいものが出ているので、外出先でのひまつぶしにはある意味うってつけだ。

ちなみに僕のつぶやきは、全体に公開はしておらず、一部の知人だけが見られるようにしている。なぜなら、僕はTwitterでは毒を吐きまくってるから(苦笑)。僕にとっては、近しい人々にオンラインで愚痴をこぼせる貴重な場でもあるので、これからチェックしたいと思ってくれていた方、ご勘弁下さい。

雑誌で僕が書いた記事を読んだ人に、「山本さんの文章は、さらっと読みやすいですね」と言われることがある。もちろん、そうほめてもらえるのはうれしいし、悪い気はしないのだが、反面、ちょっと複雑な気持にもなる。きっとこの人は、僕が何の苦労もなく、最初からすらすらと「さらっと読みやすい文章」を書ける人間だと思っているのだろうな、と。

出版の世界に飛び込んだばかりの頃の僕の文章は、今思うと、本当にひどいものだった。技術的に未熟なだけでなく、感情を抑制することもせず、言いたいことをそのままぶちまけ、見せかけだけのレトリックに走り‥‥要するに、僕のねじくれた性格そのままの(笑)、独りよがりの文章だった。自分のブログに書くならともかく、文章自体を商品として買ってもらえるレベルには、程遠いものだった。

そうかといって、文章の書き方を教えてくれる人なんて、周囲には誰もいない。だから、自分で自分を鍛えるしかない。一本々々が真剣勝負の取材の場で、何度も試行錯誤をくりかえしながら、僕は僕なりの文章の書き方を探し続けた。構成、文体、リズム、言い回し、語尾‥‥。それこそ、読点一つの打ちどころにまでこだわって。

ありとあらゆる文章を書いた。超売れっ子のアートディレクターにインタビューしたこともあれば、ISDNとADSLと光ファイバの比較記事なんてものを書いたこともある。丹誠込めて仕上げた文章をボロカスにけなされるなんてざらだったし、編集者から何の連絡もないまま勝手に原稿をいじくられ、メチャクチャの別物にされてしまったこともある。そんな屈辱にも耐えながら、何百回もの場数を踏んでつかみ取ったのが、今の僕の文章だ。

誰にでもわかりやすい「さらっと読みやすい文章」。それを書くために、僕や同業のライターたちがどれだけの修練を積み、構成に悩み、工夫を凝らし、たった一行に神経をすり減らしているか。別に、いちいちそれをひけらかそうとは思わないし、読者が知る必要もないことなのかもしれない。でもそのために、ライターという職業そのものが「文章書くなんて、誰でもできるんじゃない?」と思われてしまうのは、寂しいことだなと思う。

頭痛

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あー。頭が痛い。

僕は割と頭痛になることが多く、バファリンは家に常備している。今朝もすかさず服用したのだが、ひどくはならないものの、断続的にぐわーんとくる感じが治まらない。ズキズキというのでも、キリキリというのでもなく、何というか、前頭葉と側頭葉と後頭葉がバラバラに分解しそうな‥‥。

‥‥そう、こんな感じ(苦笑)。

日食

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終日、部屋で仕事。

今日は日食だと聞いていたので、そのちょっと前くらいに昼飯とスーパーでの買い物がてら外出したのだが、空はぺったり白い雲に覆われ、はたして今は日食で暗いのか、それとも単に雲が厚くなっただけなのか、さっぱりわからない状態。まあ、今日はテレビでもWebでもさんざんすごい日食の映像を見せられたので、もうしばらくはいいやという感じ(笑)。

テレビで見た中でも一番驚いたのが、小笠原諸島沖の船上で撮影された映像。皆既日食に突入した時、周囲360度の水平線付近の空が、すべて夕焼けのような色に染まっていたのだ。考えてみれば確かにそうなるのも当然なのだが、あれにはさすがにびっくりした。

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世界ウイグル会議の総裁、ラビア・カーディルさんが来日して、7月30日(木)に講演会を行うとのこと。都合がつけば行ってみたいが、あいにく〆切間近だからな‥‥。

二人前

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自炊をするようになって、一度の食事で食べる量が増えたような気がする。

というのも、何かおかずを作る時、材料を一人分だけ用意するというのは意外と難しいのだ。野菜にしろ肉にしろ、二人分のおかずを作るくらいの量を用意した方が、うまく使い切ることができる。

だったら、一人分だけ食べて、残りは冷蔵庫で保存すればよさそうなものだが、料理が完成すると何か妙にテンションが上がってしまって(笑)、そのままイキオイで全部食べてしまうこともしばしば。結局、自制心と計画性がないだけか‥‥。

それにしても、これまでの長い一人暮らし生活を振り返ると、相当めちゃくちゃな食生活を送ってきているはずなのだが、学生時代から体型がまったく変わらないというのは、我ながら不思議でしょうがない。

夢の中で

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ラダックに戻って、ラダック人の知り合いたちと、ラダック語でワイワイ談笑している夢を見た。

これはきっと、最近になって周囲の友人たちが続々と「ラダックに行ってきます!」と僕に宣言しているのが影響しているのに違いない。そういえば、風の旅行社さんからも「今年はラダックツアーの申し込みが好調です」という話を聞いた。もしかすると、その中の何人かは僕の本がきっかけになっているのかもしれない。書いた本人は、今年の夏は東京に釘付けになっているというのに‥‥(苦笑)。

それにしても、夢の中でも、自分がまだラダック語をカタコトでしゃべれていたのは意外だった。相手の話がうまく聞き取れない時は、あいかわらずみんなにからかわれていたけど(笑)。

自分の本なのに

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ついさっきまで、今、世間は連休中なのだということにまったく気づいていなかった。

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ラダックの本が発売されてから四カ月以上経って、店頭での扱いもだいぶ控えめな感じになってきたが、それでも未だに「買いました」「読みました」というお知らせをメールなどでよくいただく。ありがたいことだなあ、と思う。

実は、僕は「本」という形になった後のあの本を、最初から最後まで読み通したことがない。自分で書いた本なのに‥‥(苦笑)。まあ、執筆時には全文暗唱できるんじゃないかと思えるくらい一言々々を吟味したし、写真選びでは夜も眠れないほど悩んだし、校正時には穴の空くほどゲラを睨みつけたしで、本を手に取ってぱらぱらめくるだけで、何だかすっかり満足してしまうのだ(笑)。

もう少し時間が経ったら、今とはまた違った目線であの本を読むことができるだろう。そうしたら、これからのあの土地と自分との関わり方も見えてくるのかもしれない。

雑誌離れ

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気がつくと、もうかれこれ二カ月も本を読んでいない。

今回も例によって、原稿の執筆中は、読んだ本の文体に影響されないように読書を封印している。本棚には手つかずの本が何冊も置かれたまま。仕事が一区切りついたら、全巻揃った新訳「罪と罰」をじっくり読んでみたいのだが、果たしていつになることやら。

その一方で、雑誌にはとんと食指が動かない。夕方、ちょろっと本屋に行ってきたのだが、「買ってみたいな」と思える雑誌は、正直、一冊もなかった。最近はほとんどの雑誌の売上部数が下げ止まらず、広告出稿も激減しているらしいが、それもむべなるかな、という感じ。

結局、面白くなければ、売れないのだ。

リライト

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終日、部屋で原稿を書く。

今やっているのは、リトスタ本の草稿のリライト(書き直し)作業。普通のライターの方の場合、リライトといっても草稿のテキストデータを直接いじって修正を加えていくと思う。が、僕の場合は、草稿を横目で見ながら、文字通り、最初の一文字目からすべての文章を打ち込み直すことにしている。

「アホか!」「効率悪すぎ!」という声がどこからか聞こえてきそうだが(苦笑)、こうして最初から打ち込み直すことで、草稿の弱い部分やバランスの悪い部分が、単に読み込んで推敲する以上に、感覚的につかめるようになる。余計な情報を思い切って削除したり、感情表現が足りない部分を注意深く補強したりするのも、このリライト作業の段階だ。

‥‥とりあえず、脳みそと両手の指が、ものすごく疲れる(笑)。

盗まれた天空の至宝

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終日、部屋で仕事。これからしばらく、修羅場が続く。

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今、「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展という企画展が日本各地を巡回している。これは要するに、「チベットは中国の一部だ」ということを知らしめるために中国政府が仕掛けたプロバガンダ展。その証拠に、チベットが過去60年間に辿った歴史的事実については、まったく触れられていない。

そんな中国政府の思惑にまんまと乗せられている日本各地の美術館も、まあ相当な阿呆だなと思う。憤懣やるかたない方は、こちらのサイトで展開されているアクションに参加してみるのもよろしいかと。

意外な涼しさ

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今日は暑かった。日本は至るところで酷暑日だったらしい。

今のマンションに引っ越してきて初めての夏。こんな暑い日でも、うちの部屋は思いのほか涼しかった。居間の窓は東側に面しているので、朝のうちしか直射日光が当たらない。仕事中もクーラーを少し動かしてからスイッチを切れば、結構長い時間、涼しさが持続する。中庭に面している寝室にはクーラーも何もないけれど、こちらはさらに涼しくて、寝る分には今のところ何の問題もない。

夏になったら寝室用に扇風機を買おうと思っていたのだが、ここにきて、どれだけ寝室で扇風機なしで我慢できるか挑戦してみたくなった(笑)。

本を託す

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午後、リトスタでジュレーラダックの加治さんに会う。彼女がもうすぐラダックに行くというので、僕のラダックの本を、現地でお世話になった人たちに何冊か持っていってもらえることになったのだ。

正直に言うと、うれしさ半分、寂しさ半分(苦笑)。やっぱり、この本は自分自身の手で、お世話になった人たちに一冊ずつ手渡して回りたかった‥‥。でも、今年は仕事が忙しすぎてとてもラダックには行けそうにないし、せめて本だけでも見てもらえれば、と自分自身を納得させることにした。

ラダックのみんなは、喜んでくれるだろうか? ‥‥まあ、みんなまず間違いなく、「日本語なんて読めないよ! 英語版はないの?」と言うんだろうけど(笑)。

弛緩

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リトスタ本のチェック済み草稿の残りがまだ戻ってこないので、今日は何もしないことに決めた。

何もしなくていいと思うと、今まで首筋や肩のあたりに張り詰めていたものが、すーっと緩んで楽になるのを感じる。ソファにもたれてぼんやりと音楽を聴いたり、夕飯にトマトとツナのそうめんを作ってみたり。何もしなくていい。あー、なんて甘美な響き。さて、これからあずきバーでも食べようかな。

明日からのことは、明日の朝、起きてから考えることにしよう。

小さな手

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渋谷C.C.Lemonホールで開催された、奥華子のコンサートに行った。

彼女のホールコンサートに来たのは、約二年半ぶりだ。もうすぐニューアルバム「BIRTHDAY」が発売されるということで、コンサートで歌われた曲の大半はそのアルバムに収録されているものだった。観客に馴染みのない曲ばかりを歌うのはかなりのプレッシャーだったに違いないが、ぽきっと折れてしまいそうなくらいに緊張していた以前のコンサートと比べて、今日の彼女の歌声はとても伸びやかで、自分のやっていることへの確かな自信に溢れていたように思う。曲の合間に何度もペコペコとお辞儀をする謙虚すぎるくらいの謙虚さと、どこがオチなのかわからない不思議なMCはあいかわらずだったが(笑)。

これは彼女自身が言っていたことだが、何かを創り出そうとする時、ポジティブで幸せな気持からだけではなく、時にはネガティブで苦しい気持からも得られるものがある。思い出したくもない苦い記憶とか、自分自身の弱さとか、そういうものを認めることで創り出せるものもあるし、その上で初めて前向きになれることもある。今日のコンサートは、彼女の光と影のコントラストがくっきりと浮き出ていたと思う。

アンコールの直前に客席に現れた彼女は、ちぎれそうなくらいに両手を振りながら、目の前の通路を走り抜けた。ぱちっ、とハイタッチを交わした彼女の手は、びっくりするほど小さかった。

自転車への誘い

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紫陽花の季節も、そろそろ終わりだろうか。

ここのところ、身体がだるくて仕事に集中しきれない状態がズルズル続いていたのだが、今日は何だか身体が軽い。仕事のやる気も旺盛で、昼間のうちからすらすらとはかどった。夕方までに、今週のノルマをどうにか達成することができたので、ホッとする。

すると、その直後に友人のKenzoさんから「吉祥寺のHUBツール・ド・フランスを観戦しませんか」とのお誘いが。‥‥何というグッドタイミング(笑)。

夜の九時頃に吉祥寺まで歩いて行って、冷えたジントニックとフィッシュ&チップスをお伴に、のんびりとツール観戦。透きとおるように美しい初夏のヨーロッパの風景の中を、銀輪の隊列が駆け抜けていく。やっぱり、自転車はいいなあ。

ロードレーサーを手に入れられるのはまだ当分先になりそうだけど、今の仕事が一段落したら、ブロンプトンでどこかへ遠乗りしたくなった。

インターホン

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夕方、スーパーで買い物をした帰り道。

一軒の家の玄関で、ランドセルを背負った女の子が立っていた。手に、どこかで摘んできたらしい小さな花を一輪持っている。女の子はインターホンのボタンを押すと、持っている花をインターホンについているカメラのレンズに近づけた。

「ただいまー! ねー、見える? 花、見える?」

ただそれだけのことだけど、何だか、ほわんと気持が和んだ。

午後、新宿でリトスタ本のデザインの打ち合わせ。冒頭のカラーページ部分の構成を検討したり、必要な素材を確認したり。表紙のデザインについても検討したのだが、アートディレクターの渡邉さんが面白いことを言った。

「わかりやすすぎるデザインだと、読者に見切られてしまいますよ」

僕のような編集者の立場からすると、表紙のデザインには「わかりやすさ」という保険をかけたくなる。売上を直接左右しかねない部分だから、どんな本なのかが確実に読者に伝わるように、万全を期しておきたくなるのだ。でも「わかりやすすぎる」表紙は、平積みされているのを読者が見ても、「ああ、そういう本なんだ」とスパッと見切られてしまって、手に取られなくなるのだという。「あれ? これ何?」という余地を多少残しておく方が、手に取られる確率が高まるのだとか。

なるほどなあ、と思う。本作り、まだまだ奥が深い。

ニコンの矜持

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終日、部屋で仕事。我ながら変化がなさすぎる‥‥。

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ニコン製一眼レフのフラッグシップモデルの開発を長年手がけてきた後藤哲朗さんのインタビュー記事が面白かった。

「(コンパクトデジカメで強い支持を得ている)某社の某カメラは、ニコンの製品が参考にすべきところもあり尊敬している」とか、「某社の某ミラーレス一眼に"Nikon"のロゴが付いていれば自分でも買っている」とか、おおっ(笑)と思う発言がいっぱい。自社製品に関しても、「実はニコンの一眼レフでもっとも簡単に思い通りの写真が撮れるのはD3シリーズなどの上位機種」というのはまさにその通りだし、一方で「D3シリーズはあまりに大きくて重い。大きくて重いと、人はそれを持ち歩こうと思わなくなる」とも発言していて、だったら、D3は無理としても、D300の後継機あたりはもうちょっと小型化してくれないかな‥‥と個人的に期待したくなる。

「写真をあまり撮らず、作品をあまり見ない人が作ったカメラが増えてきた」という後藤さんの指摘は、的を射ていると思う。僕がニコンの一眼レフを好きなのは、写真を撮る道具として、本当に入念に作り込まれているから。グリップの持ちやすさ、ファインダーの見え味、シャッターやダイヤルの感触、露出制御のきめ細かさ。そういった感覚的な部分は、写真を撮ることが好きな人でないと作り込めない。

根っからの写真好きが作るカメラ。単純だけど、それがニコンの矜持だと思う。

追憶のモロヘイヤ

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実家から、畑で穫れた夏野菜が大量に送られてきた。

自炊慣れしてきたからもしれないが、僕の目から見ても「これはうまいだろうなあ」というのが何となくわかる。色が濃くて、がっしり育っていて、中身がぎゅっと詰まっている感じ。スーパーで売られているへにゃっとした野菜とは、明らかに違う。トマト、なす、ピーマン、きゅうり、ズッキーニ、オクラ、モロヘイヤ‥‥。

‥‥モロヘイヤ?

何か忘れてるような気が‥‥。

‥‥あー、モロヘイヤの歌。未だに出自が謎のままだった(笑)。

ウイグルの悲劇

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昨日、中国の新疆ウイグル自治区――というより、中国に占領された東トルキスタンと呼んだ方が正しい――のウルムチで、ウイグル人による大規模なデモが発生。デモに参加した群衆は武装警察と衝突し、百人以上の死者が出たという。

新華社は例によって「海外の独立派組織に煽動されたウイグル人が暴徒化して漢人を襲撃した」とまくしたてているが、新華社が配信している映像に映っているのは、不自然なことに漢人の負傷者ばかり。世界ウイグル会議などからの情報によると、武装警察がウイグル人のデモ隊に対して戦車を突入させたり、無差別発砲を行ったり、電撃棒で殴打したりしたという。現地にいる海外メディアが当局から厳重な取材規制を受けていることを考えれば、どちらのソースがより正確か、おのずとわかる。

デモが起こった直接の原因は、先月末、広東省の工場に出稼ぎに来ていたウイグル人たちが漢人に殺されたことへの抗議だったという。でもその前に、ウイグル人たちの心の中には、漢人への恨みが何十年にもわたって鬱積していたはずだ。僕も学生の頃にあの地域を旅したことがあるが、観光用のワゴン車を運転してくれていたウイグル人の男性にビスケットをすすめると、「チャイニーズの作ったものは食べない」ときっぱり断られた記憶がある。

天安門、チベット、そしてウイグル。いつも何かが起こるたび、血なまぐさいやり方で、力と恐怖で抑え込もうとする。いったい中国は、何度同じ過ちをくりかえすつもりなのだろうか?

弱気

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本の原稿を書いていると、時々、弱気になることがある。

気分が乗って筆が走っている時はいいのだが、ふとした瞬間に、「あれ? これって、本当にちゃんと書けてるのか?」と、自分自身でもわからなくなってしまうのだ。技術的なこと――表記のぶれやリズムの良し悪しなどは客観的にチェックできるけど、その文章が面白いかどうか、伝えたいことが伝わっているかどうか、根本的なところではっきりとした自信が持てなくなる。

一度弱気が顔を出すと、どんどん迷いが出てきて、筆がぱたりと止まってしまう。がんばらなきゃとか、進めなきゃとか、あがいても迷いは消えない。それでも結局、その迷いは自分自身の力で乗り越えていくしかない。

‥‥ほんと、この仕事、人には絶対おすすめしません(苦笑)。

「サマーウォーズ」

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summerwars.jpg
©2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

今年の夏休み、何か一本だけ映画を観るというのなら、迷うことなくこの作品を推す。

2006年に大ヒットした「時をかける少女」の細田守監督が、当時の制作スタッフを再結集させて作ったのが「サマーウォーズ」だ。数日前に完成したばかりのこの映画のブロガー向け試写会が開催されるというので、メールで応募してみたら、何と当選。昨日の取材の帰りに観てくることにした。

トップス閉店

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今日は午前中から取材が入っていたので、朝の七時に起きた。ここのところ、執筆三昧ですっかり夜型になっていたから、起きてはみたものの、まったく頭が回転しない。生活リズムが破壊されていると、こういう時にきついな‥‥。

取材自体は滞りなく終了。諸事情で遅れていた広告系の本の仕事だったので、ようやく始動したことに一安心。編集者さんと遅めのおひるを食べた後、新宿に出て本屋をぶらぶら。

歩き回っているうちにちょっと疲れたので、以前から時々使っていたトップスという喫茶店に行ったら、ビルごと閉店していた‥‥。とりたててうまい店とは思わなかったけど、打ち合わせにも気軽に使えて、ウェイトレスの女の子もみんなかわいかったのに。残念。

別の場所で時間を潰して、夕方から、ある映画のブロガー向け試写会に行く。感想は明日。

いつか通った道

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昨日、ある女性からメールをいただいた。個人で校正の仕事をしているという方だったのだが、驚いたことに、こんなことが書かれていた。

「リトスタ本のお手伝いを(文字通り報酬なしで)させていただけませんでしょうか?」

メールの文面はとても真面目で、以前からリトスタを知っていたこと、日頃校正の仕事をしていてもどこか疑問を感じる部分があったこと、そんな時にリトスタ本のことを知り、「こんなに愛されてできあがる本はない」と感じて、手伝いたいと思ったことなどが書かれていた。

編集者さんに確認しても問題なさそうだったし、熱意を持って協力してくれる人の方がいいに決まっているので、僕は彼女に校正作業をお願いすることにした。もちろん、報酬はちゃんと払う形で。

で、今日の午後、その女性の方とリトスタで会って話をしてきたのだが、メールから想像していた以上に真面目で繊細な印象で、でも一度集中力を発揮したら、きちんと仕事をしてくれそうな人のような気がした。また一人、リトスタ本チームの人員が増えた。

それにしても‥‥僕も彼女くらいの年の頃、まったく同じようなことをしていたのを思い出す。

学生時代のある日、僕は「Switch」という雑誌が編集アシスタントを募集しているのを知り、どうしても編集部に潜り込みたくて、履歴書の自己アピール欄に「ノーギャラでもいいから働かせてください!」と書いて送ったのだ(笑)。あとで聞くと、そのアピールはかなりのインパクトがあったらしく、「こいつ変わってるな。本気か?」と面白がられて、結局採用してもらえることになった。幸い、バイト代ももらうことができた(笑)。

自分がやりたいこと、自分ができること、それを探し続けていた日々。彼女が今立っているのは、僕がいつか通った道なのかもしれないな、と思う。

表紙の引力

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終日、部屋で仕事。

今日はリトスタ本の表紙のデザインラフがいくつか上がってきた。どれもいい感じ。もちろんまだラフの段階なので、完璧な状態ではない。これから先、どの方向性で、どの部分を修正し、デザインを研ぎすましていくか。特に本の表紙は、書店で通りすがりに視界の隅に入っただけでも「おっ!」と思わせる引力を持っていなければ売り場で生き残れないから、なかなか難しいものがある。

読者が一目見ただけでノックアウトされるような、魅力のある表紙にできるといいのだが。ラダックの本を作った時、あの男の子の営業スマイルはものすごい威力だったから(笑)。

About Me

  • Author : yama_taka
  • フリーランスの編集/ライター/フォトグラファー。旅と写真と自転車をこよなく愛する、生まれながらの根無し草。
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  • これまでに執筆を手がけた書籍や雑誌に寄稿した主な記事など。
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  • ラダックなどへの旅の中で撮影した写真のポートフォリオ。
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  • 我が愛車、ブロンプトンM3L RAW シマノインター8改を紹介。
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