March 2009 Archives

二日酔い

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ものすごくひさしぶりに、二日酔いになった。

昨日は午後から三鷹での第二回取材があり、その後はうどんでも食べて帰ろうかと思っていたのだが、なんだかんだで飲みに行くことになり、吟之介という居酒屋へ。そんなにバカスカ飲んだつもりはなかったのに、店を出る頃にはすっかり千鳥足で、ほうほうのていでどうにか家に辿り着いた。

それでも今日は特に頭が痛かったり気持悪かったりということはなかったのだが、とにかく身体から全然アルコールが抜けない。ずーっと微妙に酔っぱらってるような感じ。身体はだるいし、頭もさっぱり回らないので、結局夕方頃まで寝て過ごすことに。やれやれ。

それでも、人はまた酒を飲んでしまうのだな‥‥。

サイン

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最近、ラダックの本にサインをさせていただく機会が多くなった。

正直言って、まさか自分がこんなに頻繁にサインをするようになるとは想像もしていなかった。もともと僕は字がヘタで、ほかの人に直筆を見られることにあまり自信がない。それなのに、わざわざ読者の方が買ってくださった本の白紙の部分に、ペンで自分の名前を書かなければならないのだ。最初の頃は緊張のあまり、自分の名前なのに字を間違えそうになった(苦笑)。

途方に暮れたあげく、「サイン コツ」というキーワードでググったりして(笑)、「そうか、慎重になりすぎずに、ささっと流すように書くくらいでいいのか」というようなことを学習し、それ以来、書く前には一つ深呼吸をして集中してから、さらさらっと書くように心がけている。でも、やっぱり字がヘタだというコンプレックスは消えなくて、「もっと、バーンと大きく書いてくださいよ!」と笑われながら、隅っこにちんまりと書かせていただいている。すみません(笑)。

ほんと、字が上手な人がうらやましい。

ちなみに僕は、以前Web連載でお世話になった松本零士さんにいただいたサイン色紙を持っている。その色紙には、「宇宙海賊キャプテンハーロック」のトチローが、「〆切に遅れてすみません」と謝っているイラストが描かれている(笑)。レアといえばレアかもしれない。

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森友治さんの「ダカフェ日記」の続編、「続ダカフェ日記」が出るらしい。それに合わせて東京で開催される写真展「ダカフェ日記の小さな写真展」の会場は、なんと三鷹のデイリーズ! 今、時代は三鷹なのだろうか(笑)。

長いメッセージ

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ジュレーラダックが創立五周年を迎えたということで、そのお祝いのイベントに顔を出す。会場では僕の本も販売してくれていて、サインをさせていただいているうちに、あっという間に10冊完売。ありがたいことだなあと思う。

イベントは、ISEC制作のドキュメンタリーの上映や、ネパール出身の歌手、ボビンさんのミニライブ、スタッフの加治さんがこの冬に体験したチャダル・トレックの報告などで、なかなか楽しく盛り上がった。最後に、ジュレーラダックの五年間の活動を振り返るムービーで、エンドロールに関係者からのお祝いの一言メッセージが表示されるのを見ていると、一人だけやけに長いメッセージが表示されはじめた。

「あれ、ケタレだね」「絶対ケタレだよ」

やっぱり、ケタレだった(笑)。

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新宿駅などで使用されていたあのガムテープ文字の作り方が、「ガムテープで文字を書こう!  話題の新書体「修悦体」をマスターして」という本になって刊行されるらしい。ひさびさに「この本は買う!」と直感的に思わされた一冊。世の中、面白い企画はまだまだ眠っているのだな。

準備と熱意

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本を上梓してからというもの、「本を出せるなんて、山本さんはツイてますね」「そういう星を持ってるんですね」というようなことをよく言われる。

確かに、出会いには恵まれていると思う。でも僕には、これまでの編集者としての経験の中で培った、相手に企画を理解してもらう際の自分なりのロジックがある。それは何かというと‥‥。

・やっておくべき準備をきちんとしておくこと。
・自分の熱意をしっかり相手に伝えること。

これだけ。なんだ〜、と思われるかもしれない。が、こういう当たり前のことこそが、実は重要なのではないかと思う。

去年、ラダックの本の企画を出版社に持ち込んだ時、僕は、練りに練った企画書と、一万枚以上の中から選んだ写真のスライドショーを編集者さんに見せながら、二時間以上もプレゼンを続けた。編集者さんはきっと「暑苦しい奴だな」と思ったに違いないが(笑)、それくらいの熱い思いを込めなければ、何かを成し遂げようとする時、人の心を動かして協力してもらうことなんてできないのではないだろうか。

人が力を貸してくれないと嘆く前に、自分自身の準備や熱意がおざなりなものになっていないかどうか、省みておく価値はあると思う。

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PIEで展示されているニコンF3ウエムラスペシャルモデル。こんなカメラをニコンに作ってもらえるようなフォトグラファーになりたいものだ‥‥無理か(笑)。

国立商店職人が作るオイルドレザーブリーフに15インチモデルが登場。これでもうMacBook Proを選ばない理由がなくなってしまった。

手帳絵展

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午後、吉祥寺での打ち合わせ(これも書く仕事でも撮る仕事でもない)を済ませたあと、小ざさの最中を手土産に(笑)、水道橋で開催中の「たかしまてつを 手帳絵展」に行く。

この展覧会は、たかしまさんがちょっとした待ち時間などに自身のほぼ日手帳のページに描いていたイラストの数々を展示したもの。会場が、たかしまさん行きつけの美容室の待合室というのもユニークだ(髪をカットしなくても展覧会だけ見ることも可能)。ステンドグラスとU字型のテーブルが印象的な待合室に、A6サイズの手帳のページに描かれたイラストがずらりと展示されている。

ほぼ日での人気連載「ブタフィーヌさん」とはまた少し違ったタッチのイラストは、ラフでありながら味わいがあって、一つひとつ見ているだけで、ほのぼの、うきうきしてくる。何より、ほぼ日手帳のページにそのままイラストが描かれているのがいい。ページに印刷された日付や方眼や「毎日の言葉」がイラストと微妙に絡んで、独特の雰囲気を醸し出しているのだ。スキャンデータではなく、手帳をバラして額装したページをそのまま見られるから、原画だけが持つ質感を感じ取ることもできる。

こんな風に、毎日、呼吸をするように絵を描くことができたなら、どんなに楽しいことだろう。そう思わずにはいられない。僕は絵を描くのは無理だけど、せめて、呼吸をするように写真を撮ったり、文章を書いたりできるようにはなりたい。かすかな願望だが。

書評

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午後、三鷹で打ち合わせ。書く仕事でも、撮る仕事でもないのだが、これも本を上梓した者の務めと思って、がんばらねば‥‥。

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本日付の朝日新聞東京版の「BOOK TIMES」というページに、ラダックの本の書評が掲載された。僕は先週末の時点で編集者さんから「載りますよ」と聞かされていたので特に驚かなかったのだが、あちらこちらの知人から「朝日に出てますよ!」という報告のメールをいただいた。なんだかんだで、新聞に書評が載るというのは、影響力があることなのだなあと思う。

書評自体については、まあ‥‥「日本の若者」というほど若くはないけどね(笑)。

ラダックの本が紹介されている「BOOK TIMES」は、大阪版では4月3日(金)の夕刊に、アサヒ・コムには4月2日(木)に掲載されるとのこと。

敬遠

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今日はゆっくり昨日の取材のノートを見直そうと思っていたのだが、ワールド・ベースボール・クラシック決勝戦をうっかり見始めたせいで、それどころではなくなってしまった。

確かに、手に汗握る試合だった。突き離す日本、追いすがる韓国。同点に追いつかれてもつれ込んだ十回表、ツーアウト、ランナー二、三塁。打者はイチロー。WBCでは不振だったとはいえ、この日はすでに三安打。普通なら敬遠して満塁にし、守りやすくするところだ。

ところが、韓国の林昌勇はイチローを敬遠しようとしない。その結果、真ん中付近に入った甘い球をセンター前に弾き返されてしまう。途轍もないプレッシャーがかかっていたこの場面で大仕事をやってのけたイチローは確かにすごいが、ここで勝負を選んだ韓国ベンチの采配は、どうにも不可解だった。

試合後のインタビューで、韓国の金寅植監督は「ボール球を主体に投げて、状況がよくなければ歩かせてもいいというサインを捕手に送ったが、それが投手に伝わっていなかったようだ」と語り、「はっきりとした敬遠の指示をしなかったのが敗因だ」と認めた。では、なぜ明確な敬遠の指示をしなかったのか?

たぶん韓国ベンチは、敬遠したくてもできなかったのだ。宿敵日本の野球の象徴的存在であるイチローを韓国の人々は必要以上に敵視しているふしがある。そんなイチローをこの土壇場で敬遠して逃げてしまったら、国民に何を言われるかわからない。ほかの選手ならともかく、イチローからは逃げたくても逃げられない。強すぎる愛国心ゆえのプレッシャーが、ベンチの判断を誤らせたのだと思う。

ま、個人的には、日本が優勝してうれしいというより、また韓国の選手たちがマウンドに国旗を立てるなどという対戦相手への敬意を欠いた幼稚な振る舞いをするところを見ずにすんでほっとしたというのが、正直なところ。

言葉の海

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午後、三鷹での第一回取材。取材相手をなまじよく知っているだけに、油断するとお互いダラダラしてしまいかねない。収録場所まで歩きながら、集中、集中、と自分に言い聞かせてテンションを高める。

今日の収録には三時間ほどかけたが、まずまずうまくいった。もう少し細かい情報を掘り起こした方がいい部分もあったものの、それは次回にでもフォローできる。家に帰って取材ノートを見返しながら、自分の中にある流れをざっくりと整理する。この、あふれるほどの言葉を、どうやって選り分け、伝えるべき言葉に紡いでいくか。かすんで見えないほど遥か彼方の対岸に向かって漕ぎ出す前のような、茫洋とした気分にさせられる。

また、言葉の海にどっぷりと浸る日々が始まった。

右ストレート

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明日から始める取材の準備は、ほぼ終わった。週に一回のペースで何週間か続く、長丁場の取材になる。

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夕方、三鷹駅の階段を歩いて降りていると、一人のおっさんが階段を駆け上がってくるのに出くわした。おっさんは僕とすれ違いざま、突然何を思ったか、

「シュッ!」

と呼気を吐き出しながら、誰もいない前方に向かって右のパンチを繰り出した。なっ?! なぜ、今ここで右ストレート? 何か嫌なことであったのか? 逆にうきうきだったのか?

まあ、どう見てもボクサーには見えなかった。

居場所

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昨夜は、写真展開催中のリトスタを夕方から貸切にして、お世話になった方々をお招きして、ささやかながら出版記念パーティーのようなものを開催させていただいた。

開始前は「まあ、規模のでかい飲み会みたいなもんだろう」とたかをくくっていたのだが、いざ始まってみると、文字通りのきりきり舞い。ご来場を確認し、会費をいただき、領収書を書き、合間にラダックの本にサインをしてさしあげたり、かかってきた電話の応対をしたり‥‥。最初の乾杯をしたあとも、みなさんにご挨拶するためにひたすら店内を巡回していたので、どんな料理が出ていたのかもよく憶えてない(笑)。‥‥あんなにテンパったのって、いつ以来だろう?

でも、今回来ていただいた方々のあたたかな思いは、慌ただしい中でも本当にひしひしと伝わってきた。それだけではない。書店でラダックの本を購入してくださった方や、遠路はるばる写真展を見に来てくださった方からも、メールや手紙などを通じて、感想とともに励ましの言葉をいただいている。そうした思いの一つ一つが、僕にとっては何物にも代え難い、大切なものだ。

一冊の本が、ラダックに、そして日本に、僕の居場所を与えてくれた。

みなさん、ありがとうございます。これからも、一冊、一冊、いい本を作れるようにがんばります。

Bose in-ear headphones

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in_ear_headphone.JPG去年からiPhoneを使っているのだが、付属している純正のイヤホンがどうも耳に合わない。音がペラペラなのはまあ我慢するとしても、つけているうちに耳の中で微妙にずれてしまう。もともと通話はほとんどしないので、イヤホンのマイク機能はなくても構わないと判断して、新しいイヤホンを買うことにした。

最初はShureなどのカナル型イヤホンにしようと思ったものの、あの耳栓のごとき物体を耳の穴の奥に押し込むというのは、なんとなく生理的に受け付けない。そこで候補に挙がったのが、Bose in-ear headphonesだ。耳の奥まで押し込まなくてもいいインイヤー型で、以前より若干改良されて価格も下がっている。店頭で試聴してみてもなかなかいい印象だったので、思い切って購入してみることにした。

ネット上でのユーザーレビューを見ると、このBose in-ear headphonesの評価は面白いくらい真っ二つに分かれている。イヤホンの音の評価というのは、本当に人の好みによって左右される場合が多いが、このイヤホンの場合は耳に装着する際の加減にも影響されているような気がする。耳の穴にぎゅっと押し込んでしまうとダメなのだ。耳たぶのくぼみに、ひょっとこの面のような形をしたシリコン製イヤーパッドを載せて、ひょっとこの口に相当する部分がゆるく耳の穴に差し込まれているくらいでちょうどいい。無理に押し込むと、音がくぐもってしまう。

個人的に音質の評価をあえてさせてもらうとすれば、「余裕のある音づくり」といった印象だろうか。高音域は不自然にキンキンと響くこともなく、中音域はしっかりと音像を結び、低音域はこんなにも音が潜んでいたのかと思うほど豊かに響く。どこにも無理をしているところがない。どんなジャンルの音楽を聴くかにもよるだろうが、少なくとも僕にはとてもしっくりとくる。

ただ、イマイチ気に入らないのは、イヤホンのコードが黒と白のツートンカラーになっている点。これ、ちょっとやり過ぎなんじゃないか? 外でつけていると目立ち過ぎる(笑)。

年下の友人

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朝、関西在住の年下の友人、田口君からメール。卒業旅行で小笠原諸島に行った帰りで東京に滞在しているので、会えませんかとの由。僕も今日はヒマだったので、写真展開催中のリトスタで一緒におひるを食べることにする。

田口君は、「ラダックで暮らす」ということがどんなものかを身を以て理解している、数少ない日本人の一人だ。大学の修士論文に必要な調査のため、彼は2007年の秋から冬にかけての半年間、レー近郊のパルカという小さな村で暮らしていた。滞在先の家が見つかるまでの間、彼は僕がいたゲストハウスに泊まっていたので、自然と仲良くなったのだ。

田口君と会ったのは半年ぶりくらいだったが、あいかわらず明るくて剽軽で、話をしているだけで素直な心根が伝わってくる、いい奴だ。この春から関西にある旅行代理店で働くという彼は、「うちでもラダックのツアーを企画しますよ!」と張り切っていた。その意気、その意気。

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クシシュトフ・キェシロフスキ監督特集上映「キェシロフスキ・プリズム」が6月20日からユーロスペースで開催。観たい作品が多すぎるが、全部観られるわけでもない‥‥悩ましい‥‥。

レモングラス

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化粧水が切れたので、昨日、吉祥寺で新しいのを買った。

僕が使っているのは、松山油脂のリーフ&ボタニクスというシリーズのフェイスウォーター。つけると肌がしっとりするし、オレンジの自然な香りが気に入っていたのだが、最近ラインナップがリニューアルされたらしく、同じものがなくなってしまっていた。代わりに、ラベンダー、ゼラニウム、レモングラスという三種類の香りのフェイスウォーターが棚に並んでいる。テスターもなかったので、思案の末、同じ柑橘系だからという理由でレモングラスのフェイスウォーターを購入。

家に戻って、さっそくテスト。つけ心地はさっぱりしているし、匂いも悪くない。‥‥悪くないのだが、この匂いは‥‥えっと、どこかで‥‥。

そうだ、タイ料理屋の匂いだ。

木蓮

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いくつか買いたいものがあったので、吉祥寺まで歩いて出かける。暖かくていい日和。ひさびさに着た薄手のジャケットが心地いい。

途中、一軒の家の庭で、木蓮が満開になっていた。白くふわっとした花弁が、青空を背景に甘い匂いを放ちながら、今にもこぼれ落ちそうに咲いている。春に咲く花の中で、僕は木蓮が一番好きだ。桜の花よりも、何というかこう、見た瞬間に胸がぎゅっと締めつけられるような気持にさせられる。

木蓮の花の盛りは本当に短くて、満開になったと思ったら、あっという間にぼたぼたと散りはじめてしまう。茶色く変色した花びらがわちゃーっと散らばる地面の惨状が、玉に傷といえばそうかもしれない。

散歩の効用

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日ごとに寒さも緩んで、散歩するのにいい季節になってきた。

部屋で仕事をしていて煮詰まった時、僕はよく散歩に出かける。目的地は本屋だったり、コンビニだったり、その時その時の気まぐれで。両手をポケットに突っ込んで、のんびり、ぷらぷらと歩く。するとどういうわけか、ふとした拍子に、ぽこっ、と言葉やアイデアが浮かんだりするのだ。

たぶん、右、左、右、左、と足を動かしている時の軽い突き上げのリズムが、脳にいい感じの刺激を与えているのではないかと思う。机の前で椅子に身体を預けて頭を抱えているより、散歩をしている時の方がよっぽどいいアイデアが浮かぶ。これが自転車に乗っている時だと、車や歩行者に気を遣わなければならないので、あまり考えごとができない。

ただ、僕の場合、散歩中でももわもわと妄想にかまけすぎて、ともすると道路標識や電柱にぶつかりそうになるので要注意(笑)。

午後、渋谷で開催されたチベット・ピースマーチに顔を出す。直前まであいにくの雨模様だったが、デモが始まる頃にはぴたっと止んだ。不思議なことに、こうしたチベット絡みのイベントの時は、たいてい雨の方が避けていってくれる。

今日集まったのは、主催者発表で300人ほど。宮下公園を出発し、渋谷駅前から宮益坂を上り、青山通りを経て、表参道を闊歩。結構な長丁場で、再び宮下公園に戻ってくるまでに二時間近くかかった。人目につくという意味では、今までになくうまくいったピースマーチだったと思う。

‥‥が、ここであえて苦言を呈しておきたい。

今年のピースマーチは、3月7日の六本木、3月14日の渋谷、と異なる主催団体によって実施された。7日の方は法王事務所(チベットハウス)の公認で、14日の方はそうでなかったらしい。分裂して開催されることになった原因は、主催団体やチベットハウスとの間での意見の相違やコミュニケーション不足によるものだという。

彼らの間の溝がどれくらい深いものだったかは知る由もないが、僕のような外部の人間からすれば、「この大事な時に何やってんだよ!」とげんなりしたくもなる。理由はどうあれ、傍目には「チベットの人々を助ける」という大義に比べると本当にくだらないいざこざを起こしているようにしか見えないからだ。一般の人は、いったいどの支援団体を信頼すればいいのかすらわからないだろう。

特定の支援団体に属さなくても、ずっと昔から地道にチベットを支援してきた人たちは、本当にたくさんいる。そういう人々がうんざりして離れてしまわないように、チベットハウスや各支援団体には、今一度自身を見つめ直してほしい。そして、どうすればより効果的な活動ができるか、より多くの支援が得られるか、しっかりと考え直してほしい。

ブルートレイン

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テレビを見ていると、春のダイヤ改正で廃止となるブルートレインの最終列車のニュースが流れていた。

思い返してみれば、僕はブルートレインというものに乗ったことがなかった。日本国内を旅したことはあまり多くないし、東京から関西方面に行く時も、金に余裕がある時は新幹線で、余裕がない時は深夜高速バスで、ということが多かった。廃止になってしまうのなら、一度くらいはブルートレインに乗っておけばよかった、と少し後悔。

海外を旅していた時は、もういやというほど寝台列車に乗ったものだったが‥‥いや、待てよ? よく考えてみると、まともな寝台列車はシベリア鉄道のほかに中国とインドで二、三度乗ったくらいで、それ以外は、夜行列車の座席に坐ったまま寝ていたような気がする‥‥。

‥‥いや、さらによく考えると、夜行列車すら乗ったことはそんなに多くなくて、一番多いのは、ごく普通のローカルバスでの移動だったかもしれない‥‥。

結論。とりあえず、バスにはもう、一生分くらい乗った。

手紙

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風はまだ冷たいが、梅はすっかり満開だし、木蓮の蕾もほころびはじめた。

今月下旬から始まる長期取材の下調べをした後、少し長めの手紙を書く。ラダックの本に添えて送るためのものだ。最近、こうして本と一緒に送るための手紙を書く機会が増えた。遠い昔にお世話になった人への、ほんのささやかな恩返し。その返事をいただくたび、胸の奥の小さなつかえが、少しずつ取れていくような気がしている。

考えてみれば、ラダックの本そのものが、たくさんの人々に宛てた手紙なのかもしれない。

狼狽

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午後、散髪に行ったついでに写真展開催中のリトスタに顔を出す。昼の勤務時間を終えてまかないを堪能中のホール係の女の子たちと話をしていると、お客さんの女性の一人が、ラダックの本をお買い上げに。

「山本さん! ほら、ご挨拶してサインでもしてあげたら?」
「なっ! む‥‥無理!」

インタビュアーとしては百戦錬磨のこのワタクシが、ひさびさに人前で狼狽した(苦笑)。

どうにかこうにかご挨拶して、サインをご希望だったのでしてさしあげて、お見送りして、ふー、とひと息。あー、こんなハードルが待ち構えているとは思わなかった。

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夕方、新しいスニーカーを買いに新宿へ。が、お目当てのスニーカーはどれも品切れで、代わりに何を血迷ったか、買う予定のなかったシャツを買ってしまった。狼狽が尾を引いていたらしい。

三鷹シンジケート

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昨日は、リトスタでの写真展で展示するパネルの搬入と設置。二年前に写真展をやった時の要領をなんとなく覚えていたからか、一時間半ほどで作業終了。思っていたよりも手間取らなかった。

で、その後はリトスタの二人に連れられて、彼らが「三鷹シンジケート」と呼ぶ(笑)、お店の常連さんたちの飲み会に参加。場所はひさびさに円らく三鷹荘。刺身や炭火焼を肴に調子に乗ってビールをクイクイ飲み、降り出した雨の中を午前三時頃に帰宅。

おかげで今日は、夕方頃までなんとなく頭が重かった。

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‥‥そんなわけで、写真展「ラダックの風息 儚い夏、凍てつく冬」、今日から始まっています。よろしくお願いします。

約束の場所

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ラダックの風息 空の果てで暮らした日々」には、いわゆる「あとがき」に相当する文章がない。本文がとても綺麗な形ですとんと終わっているのと、正直ページ数が許容範囲ギリギリだったので(苦笑)、載せないことにしたのだ。でも、もし「あとがき」を書くならこんな文章を載せよう、というアイデアは持っていたので、ここで紹介させてもらうことにする。特にネタバレなどはないが、本を全部読み終わったあとで読みたいという方もいると思うので、以下は畳んでおく。

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トネリコ

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この間まで高山なおみさんの「諸国空想料理店」を読んでいたせいか、KuuKuuのDNAを継ぐ料理が無性に食べたくなって、国立のニチニチへ。ところが、開店から10分後くらいに着いたのに、すでに満席。予約しておけばよかった‥‥とがっくりしたが、こうなったらダメもとと、国分寺のトネリコへ行ってみる。幸運にも、今度はギリギリ滑り込むことができた。

何はともあれ、まずは南風荘ビールで乾杯。あとは、サーモンのカルパッチョ、カキとドライトマトのオイル漬け、蒸し鶏とキャベツのサラダ、スーチカ(塩豚)、根菜のピクルス、トルコ風肉団子、タイ風焼きビーフン‥‥とひたすら食いまくる。あー、うまい。この店の料理は、見た目以上に味にも華がある。

ビールはたいして飲んでいないのに、料理の味にほんのり酔ったような気分になった。

ジュンク堂書店

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吹き降るような雨。用がなければ家に閉じこもっていたい天気だが、今日はラダックの本の発売日。何だかんだで気になるので、書店めぐりをしてくることにした。

初版部数が少ないので、当面、まとまった冊数が入荷するのは大型書店が主になりそうだ。ブックファーストや紀伊国屋書店では、旅行書コーナーなどに7、8冊まとめて表紙を見せて置かれていた。だが、一番驚いた(というか面食らった)のは、新宿のジュンク堂書店だ。

文芸書などが販売されている7階へのエスカレーターを上がってすぐのところに、おすすめの本の表紙を正面に向けてディスプレイしている棚がある。ふとそこに目をやると、沢木耕太郎さんの「旅する力―深夜特急ノート」や藤原新也さんの新装版「メメント・モリ」の隣で、あの花の民の男の子がちゃっかりと居座って、行き交う人々に笑顔をふりまいているではないか。お、お前、なんて大胆な‥‥(笑)。

ジュンク堂書店といえば、旅行書だけでも膨大な数の店頭在庫を擁している店なのだが、その中から、よりにもよって僕の本を抜擢してもらえるとは‥‥。書店員さんには本当に頭の下がる思いがする。

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改装のため仮店舗で営業していた和田サイクルの新店舗がオープン。妙にピカピカできれいな感じだが、まあ、またすぐに以前の自転車カオス状態に戻ることだろう(笑)。

ラダックの風息 空の果てで暮らした日々ラダックの風息(かざいき) 空の果てで暮らした日々
文・写真:山本高樹
価格:本体1600円+税
発行:ブルース・インターアクションズ
A5判240ページ(カラー63ページ)
ISBN978-4-86020-302-3

2007年から2008年にかけてラダックで暮らした日々のことについて綴った本が、このたび発売となりました。全編書き下ろしの文章のほか、ブログでは未公開だった写真を多数掲載。ラダックの人々の暮らしやチベット仏教についてのコラム、地図や旅行情報、ラダック語会話のページも充実。ラダックに興味のある方、ぜひご一読下さい。

フライヤー

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まだ寒いが、昨日よりはだいぶ暖かくなった。雨が降り出す前にスーパーに出かけて食糧の買い出し。パスタとパスタソースが本日限りの大安売りだったので、大量に仕入れる。

夕方、出版社からラダックの本と写真展のフライヤー(チラシ)が届く。フライヤーといっても、ぺらぺらの安っぽいものではなく、ポストカードサイズのしっかりした紙のもので、表側にはあの花の民の男の子、裏側には綺麗にレイアウトされた本と写真展の情報が印刷されている。「フライヤーはサービスで」といってデザインしてくださったデザイナーさんに感謝。正直、タダで配っちゃうのがもったいないくらいだ‥‥そしたらフライヤーの意味がないけど(笑)。

このフライヤー、写真展の会場となるリトスタのほか、吉祥寺のまめ蔵など、各所に置いていただく予定なので、もし見かけたらすかさずゲットしてください(笑)。

top_yama_taka_ex09.jpg

インド北部、標高3500メートルの地にある隠れ里、ラダック。一冊の本を書く、ただそれだけのために、僕はこの空の果てとでも呼べる地で暮らしてみることにしました。

足かけ一年半に及ぶそのかけがえのない日々の中で撮影された写真は、膨大な数に上ります。それらの中から厳選した作品を、会期の前半は「冬」、後半は「夏」をテーマにして展開する写真展を開催します。

凍れる河チャダルを往く旅、峻険な山の懐に抱かれて生きる人々、仮面の僧侶たちの華麗な舞い。鮮烈で、でもどこか懐かしい、ラダックの真の姿をご覧ください。

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山本高樹 写真展「ラダックの風息 儚い夏、凍てつく冬」

期間:2009年3月10日(火)〜5月8日(金)

会場:リトルスターレストラン http://www.little-star.ws/
東京都三鷹市下連雀3-33-6 三京ユニオンビル3F
TEL&FAX 0422-45-3331
JR三鷹駅南口より徒歩3分(アクセスマップ

時間:11:30〜24:00(土日祝12:00開店/日祝23:00閉店)

定休:月曜日(臨時休業や貸切の日もあるため、お店のサイトをご参照ください)

料金:無料(会場が飲食店なので、1品以上のオーダーをお願いします)

輪郭

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午後、三鷹で新しい本の企画打ち合わせ。前回の打ち合わせ以来、茫漠としてつかみきれていなかった本の輪郭が、おぼろげながら見えてきたような気がする。同時に、これは面白い本になる、という手応えのようなものも感じた。まあ、面白くなるもならないも、すべては自分のウデ次第というのが恐ろしいところだが‥‥(苦笑)。

夜は吉祥寺に移動して、アムリタ食堂で軽く飲み会。おいしいビールとタイ料理でほろ酔いかげんだったのに、外に出たとたん、吹きすさぶ風のあまりの冷たさにすっかり酔いが醒めてしまった。もう三月だというのに、何だこの寒さは。

きびや

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何かさらっとうまいものが食べたくなったので、ひさしぶりに三鷹のそば屋の名店、きびやに行く。開店直後に中に入ってほどなく、店内はほぼ満席に。この店がオープンしたのはそんなに昔のことではないはずだが、地元の人々の間ではすっかり定番の店となっているようだ。

まずはそば焼酎のそば湯割りを飲みつつ、箸の先でそば焼味噌をチョイチョイとつまむ。揚げたてのれんこんの海老しんじょ、黄金色の厚焼き玉子を心ゆくまで堪能し、メインディッシュはもちろん、冬の間しか食べられないつけ鴨そば。ピンと角の立ったきれいなそばを、鴨の脂がたっぷり溶け出したつけ汁に浸していただく。‥‥はー。ため息が出るほどうまい。目の前のそばが刻一刻となくなっていくのが名残惜しい。最後はつけ汁をそば湯で割ってすすりながら、心地よい余韻に浸らせてもらった。

そばが食べられる国、日本に生まれてよかったとつくづく思う。

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  • Author : yama_taka
  • フリーランスの編集/ライター/フォトグラファー。旅と写真と自転車をこよなく愛する、生まれながらの根無し草。
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  • ラダックなどへの旅の中で撮影した写真のポートフォリオ。
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