February 2009 Archives

白夜

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快晴とまではいかないが、一週間ぶりくらいに日が射した。

最近、夕方になって近所のスーパーへ食材の買い出しに出かけるたびに、日一日と日照時間が長くなっているのを感じる。

昔、夏至の頃にロシアのサンクトペテルブルクに行った時は、白夜で一日中空が白々としていて、ホテルの部屋のカーテンを閉め切っても眠れなくて苦労した。僕が今読んでいる星野道夫さんの本にも、夏のアラスカの白夜の描写がよく出てくる。まあ、そういう地域では、冬になるとほとんど日が射さなくなり、夜が丸一日続くようになってしまうのだが‥‥。

ほどよく日が長くなったり短くなったり、僕らはちょうどいい案配の緯度に住んでいるのだなと思う。

春の雪

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カーテンを開けると、ぼてぼてと雪が降っていた。向かいの家にある満開の白梅の梢で、雀たちが「こんなはずじゃなかった‥‥」とでも言いたげに首をすくめている。

こんな日は、特に用事がなければ外出しなくても仕事をすることができる自分の職業をありがたく思う。まあ、傍から見れば、テキストエディタでメモとも何ともつかぬものをチマチマ打ち込んでることのどこが仕事なんだと思われるかもしれないが。今日のところは、半歩前進、といったところ。

そういえば、前に雪を見たのは、去年のラダックでだった。ラダックの雪は、細かくて、さらさらと乾いていたけれど。

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LEGO社員の名刺。スバラシイ‥‥と手放しで絶賛しかかったが、こんなのを複数の人間からもらったら、机や引き出しがわちゃわちゃしてしまって大変だ(笑)。

まほろば珈琲店

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今週は、まだ一度も太陽を見ていないような気がする。

夕方、ひさしぶりにまほろば珈琲店に行く。ここ最近は、友人である甲斐さんが経営する吉祥寺の三月珈琲工房まで自転車を走らせてコーヒー豆を買うことが多かったが、もともと僕がコーヒーを淹れることに目覚めたのは、その甲斐さんが修業したまほろば珈琲店のコーヒー豆を買ったのがきっかけだった。

今日買ったのは、一番お気に入りのブレンドNo.5。さっそく家に帰ってから、ザッセンハウスのミルで豆を挽き、コーノ式のドリッパーでドリップ。‥‥んー、やっぱりうまい。柔かく、深く、ガツッと飲み応えのある香りとコク。うまく描写できないが、まほろば珈琲店の豆は、オーナーの横井さんが長年積み重ねてきた経験と、それに裏打ちされた思い切りのよさで焙煎されているような気がする。まさにコーヒーの真骨頂。

僕も、あと20年くらい根気よく文章を書き続けていれば、ガツッと読み応えのある文章が書けるようになるだろうか?(笑)

モロヘイヤの歌

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朝、東京リスマチックに発注していた写真展用のパネルが届く。やっぱり、大きい画面で見る写真は迫力があっていい。展示順に床に並べてみて、一人にんまり。

夕方、晩飯の食材を買いにスーパーへ。途中、住宅地の中の一本道で、制服姿の小学一、二年生くらいの男の子が、何かフンフンと歌いながら歩いてくるのに出会った。

「モロヘイ、モロヘイ、モロヘイヤ〜♪ モロヘイ、モロヘイ、モロヘイッヤ〜♪」

モ、モロヘイ‥‥‥ヤ‥‥‥?(°Д°)

ど、どーゆーことだ‥‥モロヘイヤの歌って‥‥俺が日本にいない間に、いったい何が‥‥?

もやもやした気分のまま買い物を終えて家に戻り、さっそくググってみたが、それらしき情報はどこにもない。謎はますます深まるばかり。

誰か、モロヘイヤの歌について知っていたら、教えてください。

変な汗

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雨が降ったり止んだり。今週はしばらくこんな天気が続くらしい。洗濯物がたまっているので、困った。

午後、打ち合わせのため中野へ。見本誌として持っていったラダックの本に目の前でサインをしなければならなくなり、変な汗が出た。あー、ダメだ。この程度で動じないくらいの度胸をつけなければ。

日時はまだ未定だが、5月中旬にとあるイベントで、写真とともにラダックの話をさせていただくことになりそう。詳細が決まったら、またここでもお知らせします。

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フォクトレンダーのCOLOR SKOPAR 20mm F3.5 SLII Aspherical。DXフォーマットだと30mm相当の画角になるパンケーキレンズ。小さきことは素晴らしき哉。D90あたりに装着して、のんびりマニュアルフォーカスで撮り歩きたい。

みそうさぎ

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雨混じりのさえない天気。夕方、銀座のアップルストアで開催されるイラストレーターのたかしまてつをさんのトークショーに行く。

たかしまさんといえば、ほぼ日で連載中の「ブタフィーヌさん」で、すっかり不動の人気を獲得した感がある。来場者も若い女性の姿が目立った。トークショーはなごやかに進み、たかしまさんがMacを使って即興で新キャラを描くライブパフォーマンスへ。来場者から新キャラのテーマを募ったところ、一人の女性が手を挙げて、

「‥‥味噌!」

ハードルたけ〜(笑)。さすがのたかしまさんもちょっと焦って、「味噌のほかに何かありますか?」と聞くと、

「‥‥うさぎ!」

こりゃ大変なことになったと思っていたのだが、たかしまさんはすらすらと筆を進ませ、ほんの数分で新しいキャラを描き上げてしまった。その名も「みそうさぎ」(笑)。たかしまさんのブログにイラストがアップされているので、とくとご覧あれ。

たかしまさんの「僕は絵を描くことが好きなんです」という気持が、力みなく、でもしっかりと伝わってくる、いいトークショーだった。

che.jpgスティーヴン・ソダーバーグがチェ・ゲバラを題材にした映画を、それも二部作で撮ったという話を聞いて思ったのは、それらは今という時代に撮られるべくして撮られた映画だったのかもしれない、ということだった。この、何もかもが行き詰まって無力感が漂う時代に生きている人々が、20世紀を象徴するカリスマであった彼のような存在が現れるのを、心のどこかで待ち望んでいるのだ、と。

チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙」は、ベニチオ・デル・トロがチェを(凄まじいまでの迫真の演技で)演じている映画でありながら、ある意味、ドキュメンタリーに近いアプローチで作り上げられた映画だ。生存者への取材や現存する資料のリサーチには7年間を要し、映画の中で描かれている大小さまざまなエピソードには創作されたものは一つもなく、すべてが証言やリサーチに基づいて丹念に組み立てられたものだという。

そのためか、この二部作にはいわゆる映画的に演出された展開や台詞はあまり登場しない。国連総会で歴史的な熱弁をふるうチェも、行軍中に喘息の発作を起こして弱々しく咳き込むチェも、家族と過ごす最後の夜に妻に膝枕をしてもらっているチェも、カメラは淡々と、しかし生々しく映し出す。観客はまるで銃を手にして一緒にジャングルの中を歩いているように、彼の姿を、言葉を、追い続けることになる。彼を出迎える人々の喝采も、頭上を飛び交う銃弾の戦慄も、悲しい最期の瞬間までも。

僕には、とりわけ印象に残っている場面がある。ボリビアの政府軍の追っ手から逃れるため、疲弊し切ったゲリラの同志たちとともに林の中を行軍している時、喘息の発作で弱り切っていたチェの乗る馬が、突然、歩くのをやめてしまう。空腹で疲れ果て、その場から一歩も動けなくなった馬から降りたチェは、無言のまま、急に怒り狂ったかのように馬の手綱を何度も引っぱり、馬を引きずってでも前に進ませようとする。当時のチェが感じていたであろう思うに任せぬやるせなさ、苛立たしさが、ぎくりとするような形で目の前に差し出された気がした。

チェは、あまりにも強い信念に生きた人だった。世界を変えるためには時に銃の引き金を引かなければならないこともあるというその信念を、僕はどうしても肯定することはできない。けれど、彼は、39歳という短い生涯のほとんどすべてを、文字通り命すら投げ出して見ず知らずの人々のために捧げ尽くした。厳然として存在するその事実には、ある種の畏敬の念すら感じる。

「チェ」というのは、彼の生まれ故郷であるアルゼンチンのスペイン語方言で「やあ」という挨拶の言葉で、それを始終耳にしていたキューバの人々が彼につけたあだ名なのだという。今なお多くの人々に愛され続けている彼に、これ以上ふさわしいあだ名はなかったのかもしれない。

遊び心

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朝のうちに郵便局に出かけて、自分でお送りする分の見本誌の発送手配をする。出版社から送ってもらう分も含めて、みなさんに喜んでもらえるといいのだが。

スーパーで晩飯の食材を買ってから家に戻り、新しい本の全体構成案を練る。こういう作業の時、ともすればきっちりまじめにまとめすぎてしまうのが、僕の悪い癖だ。読者に「おっ?」と思ってもらえるような本を作るには、緻密な構成力だけでなく、遊び心とか、洒落っ気とか、そういうおちゃめな感覚も必要だと思う。自分で本を書くことを面白がることができなければ、ほかの人にその本を面白がってもらえるわけがない。

よーし、もっとアッパラパーな構成にしよう、なーんて(笑)。

見本誌

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午前中降っていた冷たい雨が、午後になって止んだ。

昨日選び終えた写真展用のデータを持って神保町の東京リスマチックへ行き、写真パネルを発注する。二年前の写真展の時も利用したのだが、ここのサービスはきめ細かく多岐に渡っていて、つくづく感心させられる。セルフコピーコーナーで、三人のおばちゃんたちが店中に響き渡るような大声で騒ぎながら何かをコピーしまくっていたのには笑えた。

パネルの発注を終えた後、出版社に顔を出し、今日届いたばかりのラダックの本の見本誌を受け取る。つまるところただの紙の束なのに、まるで赤子を抱きかかえているような気分になる。「感無量」とは、こういう気持のことを言うのだろうか。

帰りにリトスタに寄って、我が子のように愛しい本を眺めながら、晩酌。しみじみうまい酒だった。

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ラダックの風息 空の果てで暮らした日々」が本日よりAmazon.co.jpで予約購入可能に。初版部数は少ないので、発売日に確実に入手したいという方はどうぞ。

写真展の準備

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3月から4月にかけて、ラダックの写真展を開催することになった。今日はそこで展示する写真のセレクトと画質の調整を進める。

会場はいわゆるフォトギャラリーではなく、レストランの店内なので、写真を展示するにはいろいろ制約が多くて難しい面もある。でも、僕が撮る写真は、画面に近づいて食い入るように見つめられるより、友達とおいしいごはんを食べながら「あれ、何だか妙に寒そうな場所の写真が並んでるね〜」と、肩肘張らずに楽しんでもらう方が合っているような気がする。

写真展の詳細については、まもなく正式に告知するので、しばしお待ちを。

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PEACE MARCH for TIBET 2009。あれから一年か‥‥。

村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチの全訳。いろんな意見があるとは思うが、僕は村上さんの行動を支持したい。壁があって、それにぶつかって割れる卵があるのなら、僕も卵の側に立てるような人間でありたいと思う。

心意気

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昼、御茶ノ水で打ち合わせ。インタビュアーをサポートするライターとして依頼を受けた、もう一冊の本のキックオフ・ミーティングだ。この不景気のご時世に、ホテルのレストランでのランチミーティング。「好きなものを注文してください」と言われたので、二番目に安いメニューを注文してしまった(笑)。

「最初の大事な顔合わせですから、お食事でもご一緒して、チームの結束を強めたかったんです」

そう言って笑う編集者さんの言葉に、何というか、心意気を感じた。最近では制作費を削りに削って、喫茶店での打ち合わせでも領収書を切らせないという出版社もあるくらいだが、問題はお金ではなくて、心意気があるかどうかなのだと思う。たとえギャラが安くても、「いい本を作りたいんです! だから力を貸してください!」という編集者さんの熱意が伝われば、僕みたいにかつかつで暮らしてるライターでも一肌脱ごうかという気持になる。熱意や心意気が伝わってこなければ、たとえギャラがよくても、やる気も出ないし、結局いい本も作れない。

今度のメンバーも、いいチームになりそうな予感がする。

玉葱の生命力

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メールを読んだり書いたり送ったりしているうちに、あっさりと一日が終了してしまった。もうちょっと何か生産的なことができなかったものかとも思ったが、少し先に手がけることになる企画のメドもある程度ついたし、今日はこれでいいことにしよう。

そういえば昨日、以前スーパーで買って使いかけのままうっかり忘れていた玉葱の片割れが、野菜置き場でぶわーっと芽を出して大変なことになっていたのを発見した。すごい生命力だ。こうなってしまうと、もう本体に栄養は残っていないのでうまくはないらしいが。

夕方、無性にうどんが食べたくなって、自炊をさぼって、とよくにに行く。店内のBGMがチャゲ&飛鳥のオンパレードだった。うどんとチャゲアス。なぜ。

新しい本

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午後、三鷹で打ち合わせ。先日、わずか一週間で企画が採用された新しい本のキックオフ・ミーティングだ。おいしいコーヒーとブラウニーをいただきつつ、打ち合わせは順調に進む。関係者の方々が目をきらきらさせて思いのたけを口にするのを聞きながら、一人プレッシャーを感じる自分(苦笑)。また、ゼロから本を書くことになる。これから長い戦いが始まるのだ。

帰り際、編集者さんが僕にこう言った。

「山本さんは、もっと書籍のお仕事をされた方がいいですよ」と。

何だか、心の内を見透かされたようで、どきりとした。

そうなのだ。日本に帰ってきて以来、ぽつぽつと雑誌の仕事もやろうとしているのだが、どういうわけかあまり気が乗らない。雑誌の仕事の方がギャラの割もいいし、短期間のうちにお金が入ってくるので生活するにはラクだ。でも、ラダックの本で自分なりにとことん突き詰めた仕事をやり遂げた後だと、雑誌の仕事では、どこかで自分が妥協しているような気がしてきてしまう。伝えたいことの純度が落ちている気がするのだ。

書籍の仕事は、拘束時間は長いし、よほど売れないかぎりは印税も知れてるし、売れなかったら全部自分の責任になる。でも、とことん作り込めば、伝えたいことの純度はとてつもなく高まる。長い間、人々に愛され続ける本になるかもしれないのだ。

自分が伝えたいことをとことん突き詰めて、きちんと形にする。今度の新しい本でもう一度、それをじっくりやり直そう。

「Portfolio」公開

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このブログの開設当初から作ることを決めていながら、なかなか公開できずにいた「Portfolio」のページをついに公開。

実はこのページ、ソースコード自体はずいぶん前に完成していた。ただ、どんな写真を載せようかと考えた時、ラダックの本が校了して、収録する写真が完全に確定してからこちらに載せる写真をあらためて選んだ方がいいと思ったので、ここまでかかってしまった次第。

このページに載せている写真は、本の表紙に使っているものから、「Days in Ladakh」ではあえて公開せずに本に収録したもの、本の構成上しかたなくカットしたものなど、計36点を選んでいる。サムネールをクリックすると大きな写真がLightBoxで表示され、写真の左右をクリックするとスライドショー感覚で進んだり戻ったりできる。「Days in Ladakh」の膨大なアーカイブを遡るのはなかなか大変なので、さっくりと一覧するにはこちらの方がおすすめかもしれない。

これで、自炊した料理の写真以外も撮れるということを証明できたかな?(笑)

名前のない歌

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昨日の夜は、急なお招きで外苑前での飲み会に参加。やんごとなき理由で某誌編集部をやめさせられることになった後輩たちが来ていたので、彼らを励まそうとあれこれ話しかけていたのだが、言ってるそばから自分が悲しくなってきた。願わくば、彼らが今回の苦難をバネにして、いつの日か「あの時クビにされたおかげで、自分らしい道を見出すことができた」と思えるくらいに成長してくれればいいなと思う。

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で、今日は、ゲートシティ大崎で開催された奥華子のライブに行ってきた。いつもは失恋ソングを歌うことが多い彼女だが、今日はバレンタインということで(笑)、明るく前向きな選曲だった。

「今日は‥‥新曲を持ってきました! まだタイトルも決まってなくて、歌詞も変わっちゃうかもしれないんですけど‥‥」

そう言って彼女がグランドピアノを弾きながら歌ったのは、最初の二、三個の音符を聴いただけでぎくりとするほど、美しくて伸びやかな旋律の曲だった。まだ名前のないその歌は、「あなたはたくさんの人に思われ、支えられていることを忘れないでください」と穏やかに語りかけているように聴こえた。広い吹き抜けのある会場はしんと静まりかえり、その後、割れんばかりの拍手が沸き起こった。

あの歌には、どんな名前が付くのだろうか。

想像の中の読者

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午後、竹橋で雑誌の企画会議に出席。

こうした会議に出席したのはずいぶんひさしぶりだが、以前とは自分の中で企画の面白さを測る際の尺度がちょっと変わったような気がする。何というか‥‥読者の姿を結構具体的に想像するようになった。

一人の人が書店に立ち寄って、本棚の前で足を止め、手に取り、ぱらっとめくって、おっと驚いたり、にこっと笑ったりして、それをレジに持っていく。元はといえば、ただの印刷された紙の束なのだから、それにお金を払ってもらうというのは大変なことだ。

どうすれば、その本を手に取ってもらえるか。どうすれば、読み終わったあとでも「買ってよかった!」と思ってもらえるか。そのためには書き手だけでなく、編集者やデザイナー、印刷業者、営業担当など、関わるすべての人がそれぞれありったけの思いを込め、その本を面白くする努力をしなければならない。「出せばいい」「こなせばいい」と思っている人がいたとしたら、それは必ず読者にバレる。月並な結論だけど、手に取ってもらう価値のある本を作るのに、近道やトリックはない。

自分もこれからいろんな本を作ることになるが、少なくとも、想像の中の読者ががっかりした顔をするような本は作らないようにしなければ‥‥と思う。‥‥現実世界の書店で自分の本を手に取っている人がいたら、怖くて見ていられないけど(笑)。

李朝園

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リトスタでおひるを食べた後、寒空の下を南に歩いて、プレオープンを迎えたこいけ菓子店に行く。このへんかな、と思ってショーウインドーのある店の前で立ち止まると、中にはものすごい数の人、人、人。びっくりした。フカザワさんはてんやわんやの様子だったが、元リトスタの清水さんやなじみのお客さんたちが来ていたこともあって、本当にうれしそうだった。大変なのはこれからかもしれないけど、ご近所さんに愛される店になってもらいたいものだ。

そのまま吉祥寺まで歩いて、今日のメインイベント会場の李朝園へ。ラダックの本が校了した件の打ち上げだ。思うに、ここは東京で一番うまい焼肉屋さんではなかろうか。おねーちゃんが景気よく運んできてくれた美しいサシが入った肉に、いやがうえにも上がるテンション。タン塩、上ミノ、特上カルビ、特上リブロース、レバー、そしてギアラ。ビールジョッキ片手に煙にまみれながら肉を頬張る間、僕は笑いが止まらず、連れはあまりのうまさに泣いていた。

いやはや、おいしゅうございました。

放心

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長い長い戦いが終わって、すっかり気が抜けてしまった。今日は本当に、何ひとつしていない。昼に目玉焼とソーセージを食べ、午後はペルー産のコーヒーを淹れ、夜は豚肉とチンゲンサイをオイスターソースで炒めた。生産的な作業といえば、せいぜいそれくらい。

僕は時々、こうして何もせずにぼんやりする日がないと、うまく自分をコントロールできない。今はできることなら、二、三週間、沖縄の離島にでも行って、一日中海を眺めながら、ひたすらぼんやりしていたい。この二年間、山はさんざん見たし(笑)。

でも、新しい本の仕事もあるし、そういうわけにもいかないか‥‥。

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東京・恵比寿のリムアートで、TRUCK FURNITUREの展示会第二弾「TRUCKING TRUCK #2」が開催中。前回もなかなかよかったから、また行きたいなあ。‥‥買えるかどうかはともかく(笑)。

校了

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「いや〜、終わりましたね!」
「終わりましたね‥‥長かった‥‥」
「‥‥まさか、まだ続いたりしないですよね?(笑)」

ラダックの本、本日をもって校了。編集作業はすべて終わった。これからいよいよ印刷が始まり、来週末には刷り上がった見本誌が届く。今の心境は‥‥たとえるなら「The Long and Winding Road」な感じ。

夕方、コーヒー豆を買いに三月珈琲工房まで行くと、フカザワさんに会った。フカザワさんはリトスタから独立して、三鷹の連雀通り沿いでこいけ菓子店というお店を始めるそうだ。2月11日(水祝)にプレオープンするとのこと。

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ニコンがAF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 Gを発表。DXフォーマット向けの標準単焦点レンズがようやく出た。願わくば、16mmか18mmくらいのDXフォーマット向け広角単焦点レンズも出してもらいたいところ。

あろいなたべた

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日比谷に映画を観に行った。前編と後編とに分かれている映画(と書くと何の映画かバレバレだが)なので、レビューは後編を観終わってから書こうと思う。

銀座界隈に出かけた時、いつも困るのはごはんを食べる場所。お高いところばかりでなかなか気楽に入れる店がないのだが、ここ最近は、有楽町駅近くのガード下にあるあろいなたべたという店に行くことが多い。別にとてつもなくうまいというわけではないけど、バンコクの道端の屋台でメシを食った時のことを思い起こさせる、いい意味でテキトーな雰囲気がある(笑)。

タイに限らず、東南アジア各国の料理というのは、こういうテキトーな雰囲気の店でヒョイと出される方が、少なくとも自分にはしっくりくるような気がする。

自炊の弊害

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酒を飲んだ次の日は、二日酔いではないけれど、ぽや〜んとした気分でいるうちに時間が過ぎてしまう。

晩飯は、いつものように自分で作る。自炊をするようになって思うのは、一人で料理していると、ついつい作り過ぎ、食い過ぎてしまうということ。ごはんは一食で普通に二膳は食ってしまうし、今日作った水菜とじゃこのサラダなんて、たっぷり三人前くらいは作ってしまった。おかげでまだ腹がぱんぱんだ。

正直、料理している最中に「ちょっと多いかな」と疑問に思うこともよくあるのだが、「あー。‥‥ま、いいや」と、そのままイキオイで進めてしまうところは、テキトーな性格の現れというか何というか。まあ、いつまでも学生みたいに食いまくれるわけでもないので(笑)、これからは分量を守って、ほどほどに作ろうと思う。

ゴリゾー

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ラダックの本の校正は昨日の夕方に戻したので、今日は比較的のんびり。というか、何だか気が抜けて、ぼんやりしてしまった。今のところは大きな問題もなく、来週の月曜日には予定通り校了できそう。

夜、友人の平松さん遠藤さんと飲み会。西荻窪のゴリゾーというイタリアンの店に行ったのだが、肩肘張らずに気軽に飲み食いできて、料理もシンプルな味付けでおいしかった。特に、鴨の煮込みソースのパスタとタラバガニのトマトソースのパスタにはちょっと感動。今度は魚料理を試してみたくなった。

それにしても、毎回このメンツで飲み会をするたびに思うのだが、この年になって、こんなに気兼ねなく話をしながら一緒に酒を飲める友人がいてくれるというのは、本当にありがたいことだなあと思う。当初は「中央線三十路の会」と銘打って始まったこの集まりも、ふと気づくと、もうすぐその名称がふさわしくなくなる年齢にまでなってしまった。これからは「中央線不惑の会」になるとのこと(笑)。

浜美雪「師匠噺」

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shishobanashi.jpg学生時代、ごく短い期間だったが、「SWITCH」という雑誌で使い走りのバイトをしていたことがある。その当時、編集部に在籍していた浜美雪さんは古今亭志ん朝師匠の特集に真っ向から取り組んでいた。自ら企画し、取材し、原稿を書き、編集もする。その獅子奮迅の仕事ぶりを目の当たりにして、それまで生ぬるい気分で編集者を志していた僕は「編集をやるなら、文章を書くなら、ここまでやらなきゃだめなんだ」ということを思い知らされた。

あれから15年もの歳月が過ぎた。ラダックから戻ってきた僕は、日本にいない間に、浜さんが二冊の本を上梓していたことを知った。「師匠噺」と「笑いの女神たち コメディエンヌXファイル」。どちらも、「笑芸人」の編集者としてお笑いの世界をずっと見つめ続けてきた浜さんにしか書けない、渾身の作品だと思う。

特に「師匠噺」は、12組の落語家の師弟関係についてのインタビュー集なのだが、ただでさえ取材が難しい題材なのに、丹念に調べ上げた材料を丁寧に組み立て、粋と呼べるほど鮮やかな語り口で描いている。取材対象への愛情と、きちんとした信頼関係がなければ、こんな文章は書けない。この年になって、自分はまだまだヒヨッコだということをまたも思い知らされた(苦笑)。

落語家の師弟というのは不思議なものだ。弟子にしてもらうことは概してとても難しいが、いったん弟子入りすると、師匠は弟子を無償で食べさせ、落語家になるための基本を叩き込み、一人前になるまで心を配る。厳しい修業を通じて、師弟の間には親子かそれ以上の情愛が通うようになる。ともすればすさんでしまいがちな今の日本の社会では希有と呼べるほどの、深い人間関係が築かれているのだ。

特に面白いと思ったのは、落語家の師匠は、自分の弟子に対して落語の稽古をつけたがらない人が多いということ。落語家の多くは、自分の師匠以外の落語家から噺を教えてもらっているのだという。それでも弟子はその師匠に似てくるというのだから面白い。師匠のそばに四六時中一緒にいて、その一挙手一投足を目にし続けることで、弟子は落語の稽古以上に大切なものを師匠から学んでいるのかもしれない。

僕は、文章の書き方を誰かに教わったことはない。文章読本を読んだりしたこともない。教わったことがあるとしたら、15年前、浜さんから言われたこの言葉だけだ。

「文章を書くということは、自分が伝えたいことは何なのか、それは自分にとって何なのか、とことん突き詰めることだと思う」

この言葉を忘れずにいたから、僕は今日まで、物書きのはしくれとしてやってこれたような気がする。そういう意味では、浜さんは僕にとっての師匠なのだと思う。

最短記録

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昼、ラダックの本の校正刷りを受け取るため、赤坂へ。表紙のカバーや帯、部分的に本紙校正を出してもらった本文中の写真ページなどをチェック。いい感じ。特に大幅な調整を加えなくても、このままで大丈夫そうだ。

家に帰って、持ち帰った校正をチェックしていると、先週、新しい本の企画をプレゼンした編集者さんから「企画が通りました!」というメールが届く。えー! だって、あれからまだ一週間しか経ってないのに! 編集者さんも「たぶん、最短記録ではないでしょうか(笑)」とのこと。こんなことって、あるんだなあ‥‥。ラダックの本の時でさえ、企画書を送ってから一カ月くらいはかかったのに。

でも正直、ほっとした。この不況の嵐が吹き荒れる中、新規の書籍の企画書を携えて、いったいいくつの出版社を回らなければならなくなるのか‥‥と、戦々恐々としていたから。これで思う存分、企画と執筆に専念できそうだ。

クックパッド

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最近、友達に会うと、誰からも同じようなことを言われるようになった。

「見てますよー、ブログ! がんばってますねー、自炊!」

‥‥そっちか(苦笑)。

自分でも意外なことに、いまだに続いている自炊プロジェクト。日々の徒然を記録するために用意したモブログ「Snap」も、気がつけば自炊報告コーナーと化している(笑)。今の部屋は、外食しに出かけるにはちょっと辺鄙な立地だし、割とちゃんとした台所がついているということもある。でも、自炊が続いている一番の要因は、作り方がわからなくても、ネットでレシピが簡単に手に入るからだ。

ネット上にあるレシピのアーカイブで特にすごいと思うのは、クックパッド。ユーザーが自分で作った料理のレシピや写真を投稿しているサイトなのだが、食材や調理法のキーワードをテキトーに入力して検索するだけで、参考になりそうなレシピがずらずら出てくる。そのデータベースの充実っぷりは恐ろしいほどだ。ほかの人のレシピを参考に作った時はそのレポートを報告する機能もあって、一種のコミュニティとしても異様な(?)盛り上がりを見せている。

雑誌編集者としてWebデザインの世界に長年身を置いていたが、ネットには、まだまだ知らない世界があるのだなあ、と実感する今日この頃。とりあえず、これからチンゲンサイの調理法を調べてみよう。

次の仕事

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まだラダックの本は校了していないが、次の仕事の仕込みもしなければならない。

昼、御茶ノ水で新しい本の企画について打ち合わせ。危惧していたほどスケジュールもきつくなく、何とかなりそう。僕の立ち位置はインタビュアーをサポートするライターという感じなのだが、そういう作業は人並み以上に慣れているし、ラダックの本よりは気が楽だ(笑)。内容的にも面白そうだし、モチベーションが上がってきた。

打ち合わせが終わった後、神田を通って秋葉原まで散歩。ふらっとヨドバシカメラに寄ったら、テレビのロケ中のみのもんたに遭遇した。何を買うつもりなんだろう、みのさん。いっそ、ネットブックでも買えば面白いのに(笑)。

背後にある物語

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新宿のコニカミノルタギャラリーで開催中の長倉洋海さんの写真展「人間交路 シルクロード」に行く。

長倉さんといえば、アフガニスタンの英雄アフマド・シャー・マスードの姿を追い続けたフォトジャーナリストというイメージが強いが、その一方、ライフワークの一つとして2004年からシルクロードの取材に取り組んでいたそうで、昨年「人間交路 シルクロード」という写真集を出版。今回の写真展はその内容が反映されたものだ。

大判のパネルにされた写真の数々は、鮮烈なイメージを放ちながらも、どこか懐かしい既視感があって、乾いた土の匂いがする。特に、子供やおばちゃんなど、現地の人々がふとした瞬間に見せる何気ない表情を捉えている写真がいい。ただその土地に行って、現地の人に向かってカメラを構えてシャッターを押せば同じような写真が撮れるかというと、絶対にそんなことはないはずだ。一枚の写真を撮るまでには、被写体との間で長倉さんならではのやりとりが交わされていたのではないかと思う。写真を見ていると、そんな背後にある物語を想像せずにはいられなかった。

異国に行って、雰囲気のある上手な写真を撮るだけなら、誰でもできる。でも、その背後にある物語を感じさせる写真を撮れる人は、そう多くはないと思う。

About Me

  • Author : yama_taka
  • フリーランスの編集/ライター/フォトグラファー。旅と写真と自転車をこよなく愛する、生まれながらの根無し草。
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  • ラダックなどへの旅の中で撮影した写真のポートフォリオ。
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