ザンスカールへ(1):メンバー&装備
・ンガワン・ドルジェ
ポニーマン、もといドンキーマン。普段はヒンジュ村で農業を営む、謹厳実直な37歳。トレッキングへの参加経験はそれほど多くないものの、手塩にかけて育てたロバたちを自在に操る手腕はさすが。愛するロバたちを気にかけすぎて、写真撮影中の僕を置き去りにすることもしばしば(笑)。
・ンガワン・ドルジェ
ポニーマン、もといドンキーマン。普段はヒンジュ村で農業を営む、謹厳実直な37歳。トレッキングへの参加経験はそれほど多くないものの、手塩にかけて育てたロバたちを自在に操る手腕はさすが。愛するロバたちを気にかけすぎて、写真撮影中の僕を置き去りにすることもしばしば(笑)。
いよいよ、ラダックからザンスカールへと向かうトレッキングの始まりです。初日はラマユルからワンラまでの比較的短い道程。途中、プリンクティ・ラ(ラは峠の意)という緩い峠を越えました。先行する馬の一群が、土煙を立てて下っていきます。
リンシェには2日間滞在したのですが、2日目の午後には、翌日の難関ハヌマ・ラ越えに備えて、リンシェから3時間ほど歩いたところにあるベースキャンプに移動しました。こんな幅30センチほどのトレイルを歩くのは、もはや日常茶飯事。地面がサラサラの砂礫なので、端の柔らかいところを踏み抜かないように気をつけなくてはなりません。
ザンスカールに着いたあと、僕はパドゥムから20キロほど東に行ったところにある、ストンデという村を訪ねました。パドゥムからは、日曜を除く毎日午後に出るザンラ行きのバスを途中下車します。
写真は、村外れの高台にあるストンデ・ゴンパから眺めた村の全景。この麦畑が一面の黄金色に染まっている時に、また来てみたいと思いました。
「ラダックやザンスカールで一番神秘的なゴンパは?」と聞かれたら、僕は迷わず「プクタル・ゴンパ!」と答えます。ザンスカール南東部、車道も通じていない最果ての地にそびえる、美しく、そして不思議なゴンパです。
このゴンパに行くには、パドゥムからレルーという村までジープなどで移動し、そこからプクタルの近くにあるプルネという村まで歩かなければなりません。最短でも往復で丸3日、普通のトレッカーなら5日かかる道程です。僕は今回、パドゥム~レルー間を往復するジープと、レルー~プルネ間でバックパックを運んでもらうポーターを一人雇って、3日で往復しました。しんどかった‥‥。
・パドマ・ドルジェ(中央)
ザンスカール、ツァザル出身の31歳。トレッキングガイドとして10年のキャリアを持ち、特にチャダルの経験は数え切れないほど。刻々と変化する氷の状態を的確に判断し、常に一番安全なルートを僕に示してくれました。去年の夏、ラマユルからパドゥムまでのトレッキングの途上で、別のグループのガイドを務めていた彼と仲良くなり、「僕が旅行代理店を通さずに個人でアレンジするから、一緒にチャダルに行こう!」と誘われたのが、今回の旅の始まりです。
・ロブザン・トゥンドゥプ(右)
ザンスカール、ザンラ出身の36歳。普段は村で農業と大工を営む、経験豊富な筋金入りのポーター。誰よりも大きな荷物を軽々と運び、薪の扱いや料理の手際もさすが。ビリ(インドで一番安い煙草)をスパスパ吸いながら、メンバーの大黒柱としてさまざまな仕事をこなしてくれました。
・ロブザン・ツェリン(左)
ザンスカール、ツァザル出身の23歳。数カ月前に色白ですっげーカワイイ奥さんと結婚したばかり。経験の面では他の2人に及ばないものの、彼の最大の強味は、驚くほどの身軽さと度胸のよさ。行く先々の難所で活路を切り開いてくれただけでなく、旅の途中、彼は一人の人間の命を救いました。
心優しくて勇敢で、くだらない冗談とエロ話が大好きな、本物のチャダルの男たち。彼らと共に旅することができたのは、僕にとって大きな幸運でした。
ザンスカールでは冬になると、外界との交通路にある峠がすべて雪で塞がってしまいます。そんな厳しい冬のさなか、凍結したザンスカール川の上に現れる唯一の道‥‥人々はそれを「チャダル」と呼びます。遠い昔から使われてきたその幻の道を辿ることが、今回の旅の目的です。
僕たちはレーからチリン方面行きのバスに乗り、終点のグル・ドという地点で下車。その日はザンスカール人が経営する茶店に泊まり、これから始まる長旅に備えました。
翌朝、いよいよ出発。左手には、マルカ谷へと続く川の分岐点が見えました。
ニラクに着いた日に降りはじめた雪は激しさを増し、丸2日降り続けました。次の行程には難しいポイントが待ち構えているため、僕たちは村の下手にある小さな石造りの小屋の茶店に泊めてもらって、天候の回復を待つことにしました。
ザンラから丸2日、陸の上の深い雪道を歩き続けた僕たちは、カルシャに到着。休養も兼ねて、ここに2日ほど滞在することにしました。
2日目の朝は、それまでの曇天続きが嘘のような雲ひとつない快晴。澄んだ青空に、雪山が眩しいほどに輝いていました。
二年前の今頃、僕はチャダルを辿って、真冬のザンスカールを旅していました。
地形が影響しているのかもしれませんが、ラダックと比べるとザンスカールはさらに雪が深く、歩いても、歩いても、見渡すかぎりの銀世界。くるぶしの上、時には膝近くまで埋もれる雪の中を歩き続けるのは、恐ろしく疲れます。しかも標高は3000メートル以上。足を一歩踏み出すたびに、ぎゅっと歯を食いしばらなければならないほどでした。
だから、折り返し地点のカルシャで丸一日休憩することができたのは、本当にありがたかった‥‥。正直、身体が文字通りバラバラになりそうなほど疲れきっていたからです。幸運にも、その日は雲一つない晴天で、僕はカルシャの村の人たちの暮らしぶりを、たくさん写真に撮らせてもらうことができました。
屋根の雪かきに精を出す人、氷のように冷たい湧き水で洗濯をする人、もこもこの上着を着て元気に遊ぶ子供たち。こんな雪深い山奥で暮らすというのは大変なことなのだろうなと最初は思っていたのですが、会う人会う人の表情を見ていると、当たり前というか、慣れっこというか、本当に何とも思っていない感じ。まあ、考えてみれば、ザンスカールの人々を、僕みたいに東京暮らしに慣れっこになっている軟弱者と比べるのもおこがましい気がします(笑)。
村の中で、雪が積もってところどころ凍りついている坂道を歩いていた時。へっぴり腰でおっかなびっくり足を運ぶ僕のそばを、一人の少女が両手を広げて勢いよく足を滑らせながら、ぴゅーっ!と風のように坂道を下っていきました。
先日書いたエントリーで、冬のカルシャのことを思い出して、手元にある写真を見返していたんですが、自分でもびっくりするくらい、本当にたくさん撮っていました(笑)。なので、ここで何枚かご紹介。
まずは、屋根の上で雪かきに精を出すおじさん。苦みばしってて、いい雰囲気ですね〜。ゴンチェも渋い。
今回はちょっと奮発して、チャダルを旅した時に撮影した写真のうち、まだ未公開のものを、どーんとご紹介しようと思います。眺めているだけで寒々としてくる光景の数々をご覧ください。
それにしても、寒かったなあ、チャダルは‥‥。
ラダックで各地を回る時のアクセスガイド、今回はザンスカールについて書いてみたいと思います。ザンスカールは、以前よりだいぶ変わったとはいえ、短時間であちこち見て回るにはなかなか大変な場所です。地図はこちらのページをご覧ください。
ちなみに、ザンスカールに入れるのは、基本的に夏の間だけです。冬は、凍結した川の上を行くチャダル・トレックだけで行き来することができます。
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