映画「命ある限り」のラダック関連ミニ解説

2013年春に日本で公開されているインド映画の一つ、「命ある限り」(JAB TAK HAI JAAN)を観てきました。個人的には、細かいことを四の五の言わずとも、娯楽映画として純粋に楽しめた作品でした。上映中、場内のあちこちからすすり泣きも聞こえていたくらいです。

インド映画の巨匠ヤシュ・チョプラ監督の遺作となったこの作品は、ロンドンとラダックとカシミールを舞台として撮影されています。作品自体のレビューは他の人にお任せするとして、このブログでは、一部の人(笑)が気になる、ラダックでの撮影にまつわる部分でのミニ解説を書いておこうと思います。ネタバレは特にないのですが、映画を観る前には読みたくないという方は後回しにしてくださいね。

●街の中での爆弾処理シーン
ラダックに行ったことがある人ならたぶん誰でもわかると思いますが、映画の冒頭で、シャールク・カーン演じる主人公サマルが街の中で発見された爆弾を処理するシーンは、レーのメインバザールのど真ん中で撮影されています。具体的には、メインバザールの目抜き通りの北端の角にあるモスク、ジャマー・マスジット前の広場です。一応補足しておきますが、僕が知るかぎり、レーで爆弾騒ぎがあったという話は今まで一度も聞いたことがないので、とりあえずご安心を。

●サマルがバイクで荒野を疾走するシーン
ラダック内のいくつかの場所で撮影されたシーンを組み合わせているようですが、画面中央奥から一直線に続く道を走っている印象的なシーンは、レーの西、インダス川とザンスカール側の合流地点の少し手前にある、通称マグネット・ヒルという山がある場所です。ここはロケーションがいいので、映画やミュージックビデオ、CMなどの撮影でよく使われています。サマルが乗っている武骨なバイクはロイヤル・エンフィールドといって、インドの若者の間では根強い人気があり、ラダックをバイクで訪れる人の大半がこれに乗っています。

●サマルが湖のほとりで野営するシーン
この湖畔での野営シーンは、ラダック東部のパンゴン・ツォで撮影されています。映画「きっと、うまくいく」(3 Idiots)で一躍有名になった、標高4500メートルの高地にある巨大な湖です。さっきバイクで走ってた場所とは真逆ですが、パンゴン・ツォまでの道程は険しい峠越えの山道が大半ですし、仕方ないですよね。たぶん、パンゴン・ツォの北西端のビュースポットのあたりだと思うのですが、エンドロールの写真などを見ると、もう少し南の方でも撮影されているかもしれません。

●アキラが湖に飛び込むシーン
アヌシュカ・シャルマ演じるアキラが湖に飛び込むシーンですが、「アジア映画巡礼」に掲載されている彼女のインタビューでも明らかになっているように、実際は別の場所のプールで撮影した映像を合成したそうです。そりゃ無理ですよね、標高4500メートルの場所にある湖に飛び込むなんて(笑)。彼女が飛び込む前に水着姿で立っている、湖の中にある岩礁も、実際には存在しないと思います。

●アキラたちが滞在している僧院のシーン
アキラたちディスカバリー・チャンネルのスタッフが滞在している僧院は、ティクセ・ゴンパです。境内や屋根の上、宿坊、ふもとからの映像など、いろんな場面が撮影されています。ティクセはこういった撮影には非常に寛容なゴンパで、今までにも映画やドキュメンタリー、ミュージックビデオなどの撮影が何度も行われています。アキラさん、ゴンパの部屋の中では靴を脱いだ方がいいですよ(笑)。

●どこからがラダック? どこからがカシミール?
アキラが撮影のためにサマルに同行するようになってからは、ラダック西部の峠、ゾジ・ラより西のカシミール側で主に撮影されているようです。ラダック側とカシミール側の見分け方は割と簡単で、地面が乾いた土気色なのがラダック側、比較的緑に覆われているのがカシミール側と考えれば間違いないと思います。アキラが村で歌い踊るシーンでは、村人たちは明らかにムスリムの服装でしたね。アキラが小舟の上で歌うシーンは、スリナガルのダル湖での撮影。何度か登場する橋での爆弾処理シーンは、スリナガル側と思われる長い鉄橋もあれば、ラダック側と思われる鉄橋もありましたが、ああいう橋はインダス川沿いにたくさんあるので、どの場所の橋かまでは判別できませんでした。

‥‥と、こんなところでしょうか。たぶん、ほとんどの人にとっては不要な情報だと思いますが(笑)、これを機にラダックに行ってみようかなとお考えの方は、ご参考までに。

ちなみに僕は、アキラ派です!(笑)

2件のコメント

ボリウッド映画大好きのmikiと申します。
はじめまして。
「命あるかぎり」「きっと、うまくいく」で立て続けにラダックの素晴らしい景色(特にパンゴンツォ)に
魅せられて、ここに行きたい!!と強く思い、9月のレー行きの飛行機を取りました。
ラダックのことを色々調べていてこちらのブログにたどり着きました。
まさに山本さんがおっしゃっている「一部の人」です(笑)
私がとても知りたかったロケ地情報、ありがとうございます!!
パンゴンツォが今回の一番のメインですが、教えて頂いたバザールやマグネットヒル、
鉄橋、ランチョスクール等もできるだけ見たいと思っています。
小舟で踊る「ダル湖」も綺麗でしたね。ここはスリナガルなのですね。
もし他にも何かこの2つの映画のロケ地情報がありましたら、教えて頂けるととても嬉しいです。
ちなみに、私もアキラ派です!!
彼女のいじらしさには、胸が熱くなりました。
彼女が歌い踊る「Jiya Re」は、躍動感があって、元気をもらえるとても大好きな曲です。
これを聞くとつい一緒に踊りだしたくなります。
いよいよトークショー、明日ですね。
参加させていただきます。(予約済です)
ラダックの色んなお話、お聞きできるのをとても楽しみにしています。
miki

>mikiさん
はじめまして。コメントありがとうございます。映画を観てラダック旅行を決められたとのこと、いいですね(笑)。ロケ地については、ラダック内ではこのブログで紹介している情報以外には把握してませんが、「きっと、うまくいく」ではシムラーやマナリでも複数の箇所でロケをしていて、「3 idiots location」などといったキーワードで検索すると、その辺の情報もヒットします。ご参考までに。

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