「世界の村で発見! こんなところに日本人5」について指摘しておきたいこと

2011年10月9日(日)にテレビ朝日系列で放送された番組「世界の村で発見! こんなところに日本人5」の中で、以前このブログでもご紹介した上甲紗智さんとご主人のツェワン・ヤンペルさんが紹介されました。僕も帰省中のの実家で「おー、サチさんだ。ヤンペルさんだ。ナムカかわいいな〜」と言いながら(笑)テレビを見ていました。自分が親しくさせていただいている方々がああいう形でテレビに映るのは、何だか不思議な気持がしますね。

ただ、この番組内でのラダックの紹介のされ方については、ラダックについて予備知識のない方には誤解されかねない部分がいくつかありました。Twitterの方でも五月雨式にツイートしたのですが、番組を見た後にこのブログを発見された方もいらっしゃるかもしれないので、それらの点をこのエントリーで改めてまとめておこうと思います。

・デリーからレーへは飛行機でも行ける
番組内では、タレントの平山あやさんがデリーからマナリまでバスで、マナリからレーまでジープで、足かけ二日以上かけて移動されていましたが、実際には、デリーからレーまでは、毎日早朝に数便の飛行機が往復しています。フライト時間は1時間。番組としては、タレントさんが大変な思いをして陸路で移動する様子を撮ることで、レーが僻地にあることを演出したかったのだと思いますが、空路もあることを最後まで明らかにしなかったために、「レーへは陸路で行くしかないのか」と誤解した視聴者はかなり多かったのではないでしょうか。

・レーは「村」ではなく「街」である
デリーから飛行機で行けることでもわかるように、レーは「村」ではなく「街」と呼べるほど大きいのです。街の人口は、周辺部を入れると3万人以上はいるでしょう。番組タイトルに合わせざるを得なかったのかもしれませんが。

・ラダックには日本人女性が二人住んでいる
番組内では「ヒマラヤ山脈の秘境の村レーに住むたった一人の日本人女性」というテロップが流れていましたが、ラダックには現在、二人の日本人女性の方がお住まいになっています。レーの上甲紗智さんと、ティクセの寺下裕子さんです。テロップでは「ラダックに住む」ではなく「レーに住む」となっていたので、まるっきり間違いではないのですが、この書き方だと「レーがあるラダックには日本人女性が一人だけ住んでいるのか」とほとんどの視聴者は誤解してしまうと思います。

・「一妻多夫制」はラダックではもう行われていない
番組内でちょっと執拗なほどに強調されていたラダックの「一妻多夫制」についてですが、この制度は戦後まもなくインドの法律で禁止されて、現在は「一夫一妻制」となっています。しかし、番組内ではそのことについての説明が一切なかったため、「ラダック人は今も一妻多夫制なのか」と誤解した視聴者がほとんどだったのではないでしょうか。

以上、いくつか指摘させていただきましたが、この番組の制作スタッフの方々は、番組を面白く盛り上げようと頑張られていた一方で、ラダックという土地や人々自体に対するリサーチとリスペクトは、ちょっと不足されていたのかな、と思わずにはいられませんでした。

特に「一妻多夫制」の件については、その後ネット上でも、そのことを面白おかしく揶揄している例を数多く見かけました。ラダック人も普通は、「自分には父親が二人いる」などとわざわざ自分から人に言ったりはしません。外部の人間がそれを聞けば奇異に思うことがわかっているからです。番組内ではヤンペルさんの親御さんが例に挙げられていましたが、それが結果的に視聴者に面白おかしく受け止められてしまったことは、彼の友人としてあまりいい気持はしませんでした。その点では、せっかくラダックを取り上げた番組だったのに残念だったな、と感じています。

2件のコメント

おっしゃる通りです。9月に16名のグループでラダックを訪れたのですが、その時、サチさんのご一家にすごくお世話になりました。
番組自体は楽しく拝見させて頂いたのですが、ツッコミどころ満載と言うか、視聴者に誤解を与える演出がなされ、そのことに対するフォローがなかったのが、ちょっと残念に感じました。特に一妻多夫制ばかりを強調する作りはどうかと。
でもまあ、テレビってこんなもんなのかな。サチさんたちが素敵にうつってたのは嬉しかったです。

はじめまして。たまたま縁あってこのblogにたどりつきました。
私もこの番組、おかしいな?番組のやらせかな?と思いながら見ていました。
盛り上げるために、多少の演出は必要なんでしょうけれど、すっきりしない気分でした。
けど、ここを読んで、ちょっとすっきりしました。

石田久二 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です