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2010年1月 アーカイブ

2010年1月 4日

デチェン・ラモからの伝言

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

この「Days in Ladakh」も、開設してから約三年が経ちました。去年はずっと日本に釘付けだったこともあって、ラダックそのものに関する更新はなかなかできませんでしたが、今年の夏は、再びラダックに行って取材をしてくる予定なので、その現地報告も含めて、またこのブログを更新していければと思っています。

「目指せ! 二冊目のラダックの本!」って感じですね(笑)。

この間の大晦日の夕方、以前チベットに行った時に知り合った女性の方からメールをいただきました。去年、「ラダックの風息」を読んで、実際にラダックに行って、本の舞台の一つになったノルブリンカ・ゲストハウスに泊まっていたのだそうです。

宿のおかみさんのデチェンさんはあいかわらず元気で、僕の話が出ると、「まさか自分の話したことや、家族の会話が本になるなんて思ってなかったから、びっくりした(笑)」と言っていたのだとか。その女性の方曰く、「本で書かれていたとおり、温かくて優しくて、ひょうきんで歌好きのお母さんだった」とのことでした。

その女性の方が、デチェンさんからの伝言を僕に届けてくれました。

「タカ! 大丈夫だよ! ラダック語を忘れちゃダメだよ!」

この伝言を受け取った時、胸の内側に、ラダックの青い空がすーっと広がっていくような気がしました。一年の最後にこの伝言を受け取れたのも、何かの巡り合わせなのかもしれません。

また、あの青い空に会いに行こう。そこから、きっとまた何かが始まる。

2010年1月16日

太陽の光

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冬のラダックでは、最低気温はマイナス30℃、最高気温も氷点下という日々が続きます。そんな苛酷な環境で暮らす人々にとってかけがえのない存在が、太陽の光です。

天気のいい日には、至るところでひなたぼっこをしている人を見かけます。気温が低くても、日が当たるところにいると、びっくりするくらい暖かいのです。ラダックの人々の家にはたいてい、南側に面した大きな窓のあるサンルームのような部屋があるのですが、そこは暖房がいらないくらい暖かいので、昼間のうちはみんなそこでのんびりしています。みんなと一緒にサンルームでごろごろしていると、太陽の光の暖かさ、そして有り難みをひしひしと感じます。

ラダックの中でも、たとえばダー・ハヌー地方の峡谷に点在するいくつかの村では、冬の間は太陽の光が山に遮られて、一日中日が当たらないというところもあるそうです。そんな時期はどうするかというと、川の対岸にある専用のひなたぼっこスペースに移動して過ごすのだとか。逆に言えば、そこまでしないととても耐えられないんですね、この地方の冬の寒さは‥‥。

太陽の光は人の命を繋ぐ存在なのだなあ、としみじみ思います。

2010年1月24日

三年三カ月三日の瞑想

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二年前の冬、イグーという村に滞在していた時のこと。僕は村からさらに北の人里離れた山奥にある、ケスパンと呼ばれる場所を訪れました。

ケスパンの標高はイグーよりさらに高く、4000メートル近くはあったのではないでしょうか。周囲はすっかり白銀に覆われ、僕たちが乗っていた車も途中でタイヤが氷で滑って前に進めなくなり、乗客全員が降りて、後ろからえいやえいやと押したりしながら、なんとか辿り着いたという感じでした。

ケスパンは一種の修行所で、いくつかある平屋建ての建物の一つでは、四人の僧侶が瞑想を行っていました。もちろん建物の中をのぞくことはできませんでしたが、彼らは三年と三カ月と三日、瞑想の修行を続けるのだそうです。吹きすさぶ風の音しか聞こえないこの山奥で、気の遠くなるような時間を瞑想に捧げるというのは、いったいどんな気持がするものなのでしょうか。チベット仏教の僧侶たちの敬虔さ、ひたむきさをあらためて感じた出来事でした。

建物の外では、一人の老僧が、寒さに震える僕たちにチャイをふるまってくれました。

「ほう、あんたはシャクティにいたのかね? どこの家に‥‥? ああ、ツェリン・ナムギャルならよく知っとるよ」

「写真を撮ってもいいですか?」とラダック語で聞くと、老僧は強烈な日射しから目を守るためのサングラスを外して、にっこりと微笑んでくれました。

2010年1月30日

雪の坂道

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二年前の今頃、僕はチャダルを辿って、真冬のザンスカールを旅していました。

地形が影響しているのかもしれませんが、ラダックと比べるとザンスカールはさらに雪が深く、歩いても、歩いても、見渡すかぎりの銀世界。くるぶしの上、時には膝近くまで埋もれる雪の中を歩き続けるのは、恐ろしく疲れます。しかも標高は3000メートル以上。足を一歩踏み出すたびに、ぎゅっと歯を食いしばらなければならないほどでした。

だから、折り返し地点のカルシャで丸一日休憩することができたのは、本当にありがたかった‥‥。正直、身体が文字通りバラバラになりそうなほど疲れきっていたからです。幸運にも、その日は雲一つない晴天で、僕はカルシャの村の人たちの暮らしぶりを、たくさん写真に撮らせてもらうことができました。

屋根の雪かきに精を出す人、氷のように冷たい湧き水で洗濯をする人、もこもこの上着を着て元気に遊ぶ子供たち。こんな雪深い山奥で暮らすというのは大変なことなのだろうなと最初は思っていたのですが、会う人会う人の表情を見ていると、当たり前というか、慣れっこというか、本当に何とも思っていない感じ。まあ、考えてみれば、ザンスカールの人々を、僕みたいに東京暮らしに慣れっこになっている軟弱者と比べるのもおこがましい気がします(笑)。

村の中で、雪が積もってところどころ凍りついている坂道を歩いていた時。へっぴり腰でおっかなびっくり足を運ぶ僕のそばを、一人の少女が両手を広げて勢いよく足を滑らせながら、ぴゅーっ!と風のように坂道を下っていきました。

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