
「ラダックの風息 空の果てで暮らした日々
」が発売されてから10日ほど経ちました。一般の書店での売れ行きは僕もよく知らないのですが、Amazon.co.jpなどのネット書店では、おかげさまでたくさんの方にご購入いただいているという情報を伺っています。先週から東京・三鷹のリトルスターレストランで始まった写真展「ラダックの風息 儚い夏、凍てつく冬」にも、たくさんの方にご来場いただいているようです。本当にありがとうございます。
今回の本を手にした方に感想を伺うと、ほとんどの人がまず最初に「表紙の写真の子、かわいいね〜!」と口を揃えて言われます。‥‥すみません。狙ってました(笑)。
というのも、ラダックから日本に一時帰国したりしている時、飲み会で会った友人たちに現地で撮ってきた写真を見せていると、みんながみんな、この子の写真を見て「うわっ、なにこれ?!」「ぎゃーかわいい!」という過敏な反応をしていたので、この写真には何かそういう力があるのかもしれない、とずっと思っていたのです。だから、確信犯的にこれを表紙の写真に選びました。
この写真を撮ったのは、ラマユルの仮面舞踊の祭り、ユンドゥン・カブギェの会場でのことでした。お祭りを見物しにやってきていた花の民ドクパの一家の男の子(そう、女の子ではなく、男の子です)なのですが、ビーズやボタンや花などできれいに飾り付けられたお洒落な帽子もさることながら、憎らしいくらいにかわいいそのつぶらな瞳は、観客席でも大人気。周りの観光客たちは祭りそっちのけで、入れ替わり立ち替わり、この子の写真を撮ろうとしていました。
僕もこれだけかわいらしくおめかしした花の民の子供を見たのは初めてだったので、写真を撮らせてもらおうと思って、まず男の子をだっこしていたおばあさんに「写真を撮ってもいいですか?」と聞いてから、カメラを構えて近づくと‥‥。
「キャイ!」
ばしっ!!
え? え?
‥‥なんと、男の子にカメラのレンズをひっぱたかれました(笑)。
びっくりしてる僕を見て、どっと大笑いする周りの大人たち。してやったりとニッコリ笑う男の子。僕はどうにか体勢を立て直して、そのご満悦の表情を撮らせてもらいました。
というわけで、あの笑顔は「カメラをひっぱたいて、してやったりとほくそえんでる顔」なのです(笑)。偶然といえば本当に偶然に捉えた表情でしたが、この写真が撮れたのは幸運だったなあ、と思います。「ラダックの風息
」の表紙は、この写真以外には考えられませんでした。
いつか、この男の子が大きくなって、僕の本を目にする機会があったとしたら‥‥びっくりするでしょうね、やっぱり(笑)。