« 2008年7月 | メイン | 2008年10月 »

2008年8月 アーカイブ

2008年8月 3日

ルプシュの旅(1):メンバー&装備

SSC_2559.JPG

・プンツォク・ワンチュク
ルムツェ村出身、48歳のホースマン。今回は僕のために3頭の馬とともに旅をするはずが、まったく同じ日に別のトレッカーからも依頼を受けて、合計7頭の馬を率いることに。ルプシュの旅を知り尽くしていて、料理も上手。見た目は豪快に見えるが、実はとても朴訥で人のいいおじさんなのでした。

SSC_2560.JPG

・プンツォク・タシ(写真左)
2組のグループの馬の面倒を見なければならなくなったワンチュクさんに同行することになった、22歳の息子。ラダック語しか話せない父親と違って、英語が多少話せる。まだ若いのに馬の扱いに熟達していて、手先も器用。ただ、「料理なんかしたくないなあ」と食事の支度はいつも父親に任せきり(笑)。

・ロボ(写真右)
タシ君が飼っている犬。「名前は?」とタシ君に聞くと「んなもんないよ」と返されたので、心の中でひそかに「ロボ」と命名。なんとなく見た目がオオカミっぽくて、でもそこまでイケてなくて、なんだか寂しげだったので。とてもおとなしい犬で、エサといえば朝と晩にチャパティを一切れ投げ与えられるだけなのに、飼い主のタシ君の行くところ、尻尾を振り振りどこまでもついてくる。どこまでも、どこまでも、そう、ツォ・モリリまでも。

-----

続きを読む "ルプシュの旅(1):メンバー&装備" »

2008年8月 4日

ルプシュの旅(2):ルムツェ~ティサリン

SSC_2561.JPG

ラダックの南東部、インダス川の南岸に広がる標高4000メートルを越える高原地帯を、ルプシュと呼びます。そこにはツォ・カル、ツォ・モリリといった岸辺に希少な生態系を持つ湖をはじめ、さまざまな種類の野生動物や、たくさんのヤクや羊、ヤギたちとともに悠然と生きる遊牧民が暮らしています。

僕は今回、ルムツェという村からツォ・カルを経てツォ・モリリまでの道程を、7日間かけて歩いていく旅をすることにしました。前日にローカルバスで運び込んだ食糧や装備を馬に積み、翌朝、いよいよ出発です。

続きを読む "ルプシュの旅(2):ルムツェ~ティサリン" »

2008年8月 5日

ルプシュの旅(3):シブク~ツォ・カル

SSC_2628.JPG

トレッキング3日目は、シブクというキャンピングサイトで幕営しました。翌朝、谷沿いの道を下っていくと、やがて行く手にうっすらとした水色の帯が。いよいよツォ・カルに近づいてきました。

続きを読む "ルプシュの旅(3):シブク~ツォ・カル" »

2008年8月 6日

ルプシュの旅(4):ツォ・カル~ラジュン・カル

SSC_2659.JPG

ツォ・カルに朝が訪れました。鏡のような水面が雲ひとつない空を映しています。これから朝ごはんを食べ、荷物をまとめて出発です。

続きを読む "ルプシュの旅(4):ツォ・カル~ラジュン・カル" »

2008年8月 7日

ルプシュの旅(5):キャマユリ・ラ~ツォ・モリリ

SSC_2647.JPG

遊牧民たちと別れた後、僕は今回のルート上の難関、キャマユリ・ラという峠にさしかかりました。標高は5500メートルくらいあるはず。酸素が本当に薄くて、息を吸っても吸っても苦しい。足がぱたりと動かなくなりました。

続きを読む "ルプシュの旅(5):キャマユリ・ラ~ツォ・モリリ" »

2008年8月10日

チベタン・ピースマーチ・イン・ラダック

SSC_27451.JPG

えーと、今、たしかどこかの国の澱んだ空気の首都で、オリンピックとやらをやってるんでしたっけ?

‥‥代表選手の方々には悪いですが、正直、全然興味ありません。人間の尊厳や生命を踏みにじって平然としているような国が、平和の祭典なんて、ちゃんちゃらおかしい。

そんな世界中から白い目で見られている北京五輪が開幕した8月8日、ラダックのレーでは亡命チベット人たちを中心にした大規模なピースマーチが行われました。集まった人の数は、ざっと1000人くらいはいたでしょうか。周辺部を含めたレーの街の全人口が3万人足らずですから、それを考えるとかなりの数です。

朝9時、ソナム・ナルブー病院のあたりから出発したピースマーチは、坂を上ってバススタンド前を過ぎ、沿道で大勢の人々が見守るメイン・バザールへ。ジョカンを回り、ポログラウンドまで行進した後、サーズ・リンポチェをはじめとする偉い方々のお話を伺ってから解散。

参加者のほとんどがチベット人だったこともあって、ピースマーチの迫力は鬼気迫るものがありました。日本で手伝ったピースマーチとは、根本的に何かが違う。怒りと悲しみ、やりきれなさ、そんな感情がないまぜになっていて、一緒に歩いていても胸が痛くなりました。

日本の人々の多くは、もうチベットのことをずいぶん忘れかけているのではないかと思います。でもチベットの人々は、50年近く前に国を追われて以来、ずっと叫び続けてきました。その叫びに耳を塞ぐことは簡単です。でも、開会式がどうだったとか、誰がメダルを取ったとか騒ぐ前に、もう一度、耳を傾けてみてはくれませんか? 自分たちの国で、自分たちらしく生きたい、ただそれだけの当たり前の希望に。

2008年8月13日

ラダック語入門:時に関する言葉編

ひさびさにラダック語入門、やってみたいと思います。今回はラダック語の会話でもかなりよく耳にする、時に関する表現をご紹介します。これらを以前解説した数字の表現などと組み合わせて使うと、かなり会話の幅が広がるはずです。

まず基本的な言葉としては‥‥。

チュツォ / 時間
ジャク / 日
ドゥンシャク / 週
ダワ / 月
ロー / 年

次に一日の中の時間を表す言葉です。

ガモ / 早朝
ンガトク / 朝
ニィマ / 昼
ピトク / 夕方
ツァン / 夜

日付の前後などを表す言葉はこんな感じ。

ディリン / 今日
トレ / 明日
ナンスラー / 明後日
ダン / 昨日
カルチャンジャク / 一昨日
ジャクタン / 毎日
タロ / 今年
ナングモ / 来年
ナニン / 昨年

次に季節を表す言葉。

スピット / 春
ヤル / 夏
ストン / 秋
グン / 冬

こんな言葉もよく使いますね。

ダクサ / 今
スティンネ / 後で
レスガリッキ / 時々
アルタ / まもなく
ゴマ / 最初に
ンガンラ / 以前に

これらの言葉を文章に織り交ぜると、こんな感じになります。

ラダカァ ヨンステ ジャクポ ツァム ソンレ? / ラダックに来て何日経ちましたか?
ジャクポ チュ ソンレ / 10日経ちました
ジャク マンペ ンガンラ / ずっと前です
トレ ンガ ジャパンァ ロクステ チャットレ / 明日私は日本に戻ります
スティンネ フォーンヌ チョアットレ / 後で電話します

‥‥さーて、次はどうするか(苦笑)。ラダック語入門、このままフェードアウトしてしまうかもしれませんが、あまり期待せずにお待ちください。

2008年8月17日

ラダックのゴミ事情

ラダックを訪れる人の中には、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジの「ラダック 懐かしい未来」などを読んで、ラダックという土地には伝統的でエコロジカルな生活様式が今もまだ息づいているとイメージしている方も多いのではないかと思います。でもそういった方が、たとえばレーの街外れに散歩に出かけたりすると、ちょっとがっかりしてしまうかもしれません。

道端や水路に散乱している、ペットボトルやジュースの空き容器、ポテトチップスやガムの包み紙‥‥。そう、今のラダックは、至るところゴミだらけなのです。

家庭から出る野菜屑や残飯などの生ゴミは、昔から牛や野良犬などの餌にされているのですが、プラスチックゴミについては、事実上、何の処理もしていないのが現状です。レーの町には一応ゴミ処理場があるらしいのですが、どういうわけか今は稼動しておらず、ゴミ回収車が集めたゴミはそのまま山の中に捨てられてしまっています。地方の村で出るゴミは回収すらされていません。インド本土からは大量の物資が運び込まれ、ゴミの量は増え続けているのに、今のところ何の対策もなされていないのです。

とはいえ、そういった外部からの物資をすべて拒否して、自然に還らないゴミを出さない昔ながらの暮らしに戻れとラダックの人々に言うのは、理想的ではあってもいささかナンセンスです。現実的に必要なのは、まずきちんと可燃ゴミを焼却したりプラスチックゴミを処理したりできる施設を稼動させること。地方の村まである程度カバーしたゴミ回収のシステムを作ること。そしてラダックの人々に、ゴミを分別するための知識やむやみにポイ捨てしないことを教えるワークショップを行うことです。

これらを実現させるのはなかなか大変で、NGOレベルでの活動だけでは不可能でしょう。ラダックの自治組織であるLAHDCなどが動いて、ゴミ対策に予算を割くことが必要不可欠です。しかし現状では、ラダックの人々はそこまでゴミ問題に対して危機感を持っているかどうか‥‥。気づいた時には手遅れ、なんてことにならないように願いたいものです。

2008年8月22日

オリヴィエ・フェルミのギャラリー

SSC_2765.JPG

去年から暮らしはじめたこのラダックで、膨大な数の写真を撮り続けてきた僕ですが、改めてつくづく思うのは「やっぱりフェルミには到底かなわない」ということ。まあ、比べるだけ無謀といえばその通りですが(笑)。

オリヴィエ・フェルミは長年ラダックやザンスカールで撮影を行っているフォトグラファーで、チャダルを旅する二人の兄妹の姿を追った写真集は、日本でも「凍れる河」(新潮社・現在絶版)というタイトルで紹介されています。研ぎ澄まされた陰影を湛えた風景や、ナチュラルで穏やかな表情の人々を捉えた彼の写真を見ていると、「いったいどうやったらこんな風に撮れるんだろう‥‥?」と思わずにはいられません。

「Föllmi Spirit」 http://www.follmispirit.com/

そんな彼の写真を気軽に目にすることができる場所が、レーにあります。彼の写真のポスターを展示販売しているギャラリーです。去年はメインバザールの中心にあったのですが、今年からフォートロードの近くに移転しました。メインバザールからフォートロードを下り、小さな橋を渡ってすぐ右折し、ドルフィンというオープンカフェの手前で左上に階段を上がったところにあります。

ポスターは一枚2000~3000ルピーとかなり高価ですが、大判で迫力があり、財布の中身に余裕があれば衝動買いしたくなってしまいます。印刷はバンコクで行っているそうで、まずまずのクオリティです。ポスターは高くて手が出ないという方は、7枚100ルピーのポストカードセットがお買い得かもしれません。レーの街で売られている絵ハガキは概してあまり出来がよくないのですが、ここのポストカードセットはそれらとはレベルが違いますね。

ちなみに僕は、去年も今年も、彼のポスターを一枚ずつ購入してしまいました‥‥。帰国して引っ越したら、部屋に飾るのが楽しみです。

2008年8月23日

ティモ

SSC_2771.JPG

そういえば、まだこれを紹介してなかったな‥‥と思ってたら、昨夜デチェンさんがタイムリーに作ってくれたので、写真とともにご紹介します。

これはティモと呼ばれる料理で、小麦粉を練ってクロワッサンそっくりな形にして蒸し上げた蒸しパンです。野菜などを煮込んだものと一緒にいただきます。これが素朴なことこの上ない味で、なかなかいけるのです。

察しのいい方はお分かりかと思いますが、トゥクパにしてもモモにしてもスキウにしても、ラダックで食べられている伝統的な料理はだいたい原材料が同じです。苛酷な環境の中で手に入る限られた食材を、さまざまな形に調理して楽しむ工夫がこらされているのがよくわかります。

ちなみに写真の後方にぼんやり赤く見えているのは、トマト、ニンジン、ネギ、コリアンダーにぱらっと塩をかけただけのサラダ。何の手も加えてないのにものすごくうまいです。トマト以外は宿の庭の菜園で穫れた野菜なのですが、やっぱり材料がいいと味も違いますね。

2008年8月28日

空の果てで暮らした日々

SSC_2755.JPG

去年の春から暮らしはじめたラダックでの日々にも、いよいよ終わりが近づいてきました。8月30日の朝、レーからデリーに飛び、そこから席の取れる一番早い便で日本に帰ります。

長かったような、あっという間だったような、でもやっぱり長かった日々でした。今までの人生の中で、これだけ濃密な時間を過ごしたことはちょっと記憶にありません。数え切れないほどたくさんの出会いや出来事がありました。嬉しかったこと、心が躍ったことはもちろんですが、このブログにはあえて書かなかった、しんどかったこと、辛かったこともたくさんありました。正直、ラダックになんか来なければよかった、とさえ思ったこともあります。でも今振り返ってみれば、よかったことも悪かったことも、すべてがひとつに繋がっているからこそ、今の自分があるという気もしています。

ラダックを離れるのが名残惜しいかと聞かれると、実はそれほどでもありません。いつになるか、どんな形になるかはわからないけれど、僕はまたここに戻ってくる。そんな確信があるからです。自分にとってかけがえのない大切な居場所として、ラダックという土地はそれほどまでにがっちりと深く、僕の心に根を下ろしてしまいました。

ラダックはきっと、いつでも僕を待っていてくれる。だから僕は、もうひとつの居場所である日本に戻ります。遠く離れた地から、このブログやメールを通じて、ずっと僕のことを気にかけ、見守っていてくれた人々が待ってくれている日本に。

それに日本では、この空の果てで暮らした日々のことを一冊の本にまとめるという、大きな仕事が待ち構えています。本当に大変なのは、これからなのかもしれません。まずはこの本を、全身全霊、持てる力のすべてを尽くして書き上げたいと思います。

このブログをラダックから更新することはしばらくなくなりますが、本が完成した暁にはいくつか考えている企画もあるので、この場でお知らせできればと思っています。たぶん来年の春くらいかな‥‥。

ではまた。

Now on Sale!

About 2008年8月

2008年8月にブログ「Days in Ladakh」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2008年7月です。

次のアーカイブは2008年10月です。

他にもエントリーがあります。メインページアーカイブも見てください。