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2008年2月 Archive
マト ナグラン
2月20日と21日、上ラダック(トゥ)のマト・ゴンパで、ナグランと呼ばれる祭りが開催されました。この祭りは、2人の僧侶が読経と瞑想を経てラバ(シャーマン)となり、このゴンパの守護神であるロンツァン・カルマルを降臨させ、人々にさまざまな神託を与えることで有名です。
再び一時帰国します
- 2008年2月19日 17:55
- お知らせ
僕がレーで滞在しているチャンスパという地区からメインバザールまでは、歩いて20分ほどの道のりなのですが、その途中で毎日見かける、4匹の子犬たちを観察するのが最近の密かな愉しみです。
この子犬たち、1月の初め頃に野良犬が道端で産み落としたばかりのところを見かけたのですが、夜にはマイナス30度まで下がる極寒のラダックの冬を耐え抜いて、今も元気に育っています。兄弟同士で道端でころころじゃれあったり、こっちが近づいてしゃがむとよちよち走り寄ってきたり、それはそれはかわいらしかった‥‥のですが、日を追うごとにどんどんでかくなって、以前は母犬のおっぱいにむしゃぶりついていたのが、今では近所の人が与える生肉のきれっぱしにむしゃぶりつく有様。どんどん可愛げがなくなってきています(笑)。時の経つのは早いものです。
‥‥何だかよくわからない前置きになりましたが(笑)、冬のラダック滞在中に予定していた取材もほぼ終了し、2月20日と21日に行われるマト・ナグランが終わったら、いったん日本に帰国しようと思います。というのも、3月と4月のラダックは、祭りやイベントもなければ、村での畑仕事も始まっておらず、トレッキングにも早すぎるということで、ぶっちゃけ、何もやることがないのです。ラダックの人に聞いても「3月と4月? ヒマだよ?!」とみんな異口同音に言うので、春の畑仕事が始まる時期の前に、態勢の仕切り直しをすることにしました。
一時帰国中は、これまでに撮り貯めてきたラダックの春夏秋冬の写真と企画書を携えて、いくつかの出版社を訪ねてラダック本の企画プレゼンをして回ることを考えています。今のところ、知人の編集者の方がいる会社を中心に回る予定ですが、もしこのブログをお読みになっている出版関係者の方の中で、ラダック本の企画についてご興味のある方がいらっしゃいましたら、takaki.yamamoto[at]gmail.com([at]の部分を@に変更して下さい)までお気軽にご連絡ください。喜んでご説明に伺わせていただきます。
次にインドに渡航するのは4月下旬の予定です。帰国中もこのブログは、気が向いた時に気が向いたネタで、チョコチョコ更新してみたいと思っています。
ストク グル・ツェチュ
2月15日と16日、上ラダック(トゥ)のストク・ゴンパで、グル・ツェチュと呼ばれるチャム(仮面舞踊)の祭りが行われました。ちなみに、一般の観光客がよく訪れる現在博物館になっている建物は、ストク・カルという王宮で、ゴンパではありません。ストク・ゴンパはそこから1キロほど奥に行ったところにあります。
チャダル(4):カルシャの休日
ザンラから丸2日、陸の上の深い雪道を歩き続けた僕たちは、カルシャに到着。休養も兼ねて、ここに2日ほど滞在することにしました。
2日目の朝は、それまでの曇天続きが嘘のような雲ひとつない快晴。澄んだ青空に、雪山が眩しいほどに輝いていました。
チャダル(3):ニラク〜ザンラ
ニラクに着いた日に降りはじめた雪は激しさを増し、丸2日降り続けました。次の行程には難しいポイントが待ち構えているため、僕たちは村の下手にある小さな石造りの小屋の茶店に泊めてもらって、天候の回復を待つことにしました。
チャダル(2):グル・ド〜ニラク
ザンスカールでは冬になると、外界との交通路にある峠がすべて雪で塞がってしまいます。そんな厳しい冬のさなか、凍結したザンスカール川の上に現れる唯一の道‥‥人々はそれを「チャダル」と呼びます。遠い昔から使われてきたその幻の道を辿ることが、今回の旅の目的です。
僕たちはレーからチリン方面行きのバスに乗り、終点のグル・ドという地点で下車。その日はザンスカール人が経営する茶店に泊まり、これから始まる長旅に備えました。
翌朝、いよいよ出発。左手には、マルカ谷へと続く川の分岐点が見えました。
チャダル(1):メンバー&計画&装備
・パドマ・ドルジェ(中央)
ザンスカール、ツァザル出身の31歳。トレッキングガイドとして10年のキャリアを持ち、特にチャダルの経験は数え切れないほど。刻々と変化する氷の状態を的確に判断し、常に一番安全なルートを僕に示してくれました。去年の夏、ラマユルからパドゥムまでのトレッキングの途上で、別のグループのガイドを務めていた彼と仲良くなり、「僕が旅行代理店を通さずに個人でアレンジするから、一緒にチャダルに行こう!」と誘われたのが、今回の旅の始まりです。
・ロブザン・トゥンドゥプ(右)
ザンスカール、ザンラ出身の36歳。普段は村で農業と大工を営む、経験豊富な筋金入りのポーター。誰よりも大きな荷物を軽々と運び、薪の扱いや料理の手際もさすが。ビリ(インドで一番安い煙草)をスパスパ吸いながら、メンバーの大黒柱としてさまざまな仕事をこなしてくれました。
・ロブザン・ツェリン(左)
ザンスカール、ツァザル出身の23歳。数カ月前に色白ですっげーカワイイ奥さんと結婚したばかり。経験の面では他の2人に及ばないものの、彼の最大の強味は、驚くほどの身軽さと度胸のよさ。行く先々の難所で活路を切り開いてくれただけでなく、旅の途中、彼は一人の人間の命を救いました。
心優しくて勇敢で、くだらない冗談とエロ話が大好きな、本物のチャダルの男たち。彼らと共に旅することができたのは、僕にとって大きな幸運でした。
レー ドスモチェ
2月4日と5日、レーでは新年の豊作を祈願するドスモチェという祭りが行われました。このドスモチェは、同じ日にリキル・ゴンパとデスキット・ゴンパでも開催されます。
初日は、レー王宮のすぐ近くにあるラカン・ソマ前の広場で、仮面舞踊(チャム)の儀式が行われました。
ドキュメンタリーと嘘
- 2008年2月 1日 16:45
- 雑記
ご無沙汰してます。前の更新から、ずいぶん間隔が空いてしまいました。ひさびさに戻ったレーの街は、例年よりも雪が多く、一面真っ白です。
ここ数週間ほど、僕はチャダルを辿って冬のザンスカールを旅していました。顔はすっかり雪焼けして、昨夜チャンスパのタシ・ギャルツェンさんの家に帰った時も、「顔、黒っ!」「誰?!」と家族の皆に笑われました。苛酷な長旅だったにもかかわらず、僕自身は体調もまったく問題なく、すこぶる元気ですのでご心配なく。
チャダルについてはまた改めて別のエントリーで書くとして、今回の旅の途中、一緒に旅してくれたザンスカール出身の友人、パドマ・ドルジェ君が、こんな話を僕にしてくれました。
2007年9月、NHK-BSで放映された「テンジンとパルキット?ザンスカール高地の娘たち?」という番組をご存じでしょうか。ザンスカール出身の二人の女性が、一人は結婚し、一人は尼僧になる道を選ぶ過程を追ったドキュメンタリーです。放映当時、僕はまさにザンスカールに滞在していたのでこの番組は見ていないのですが(‥‥まあ、日本でもうちのテレビじゃBSは観れないけど)、何人かの方がこの番組について「美しい映像とドラマチックな展開で、なかなか面白かった」とメールで報告してくれました。その後も何度か再放送されているようですし、このブログの読者の方なら、ご覧になった方も多いかもしれません。
このドキュメンタリー(原題「Becoming a Woman in Zanskar」)は、フランスのZEDという会社が制作し、フランス国内でもかなりの反響を呼んだものだそうです。2006年の冬に大勢のスタッフがヘリコプターでザンスカールに送り込まれ、大掛かりな撮影が行われました。しかし、パドマ君の話によると、その舞台裏では、いくつか首を傾げたくなるような「演出」が施されていたようです。
たとえば、このドキュメンタリーで紹介されているストンデ・ゴンパのグストルという仮面舞踊の祭りは、確かに以前は冬に行われていたのですが、何年か前からはカルシャ・ゴンパと同じように夏に行われているそうです。そのため、撮影スタッフは多額の謝礼をストンデ・ゴンパに支払い、わざわざ冬に踊ってもらったのだとか。またたとえば、ヤクやゾの群れが薪を運んでいるシーンなどでは、ストンデの村人に謝礼を払って村中のヤクやゾを集め、わざわざ木のあるところへ行って薪を積んで撮影したりしているそうです。
そして、このドキュメンタリーの見せ場の一つであるテンジンという娘の結婚式も、「撮影スタッフがお金を払って結婚式をやってもらったんだ」とパドマ君。というのも、ザンスカールはあまりに寒いので、基本的に真冬には結婚式をやらないのだそうです(知らなかった‥‥ラダックでは冬でもやるのに)。そしてパドマ君は「これは確かじゃないけど、あの娘が本当にその男性と結婚したのかどうかもよくわからない‥‥」とも。
僕自身が制作会社に確認して裏を取ったわけではなく、あくまで伝聞で知ったことなので断言はできませんが、パドマ君の話が事実だとすれば、残念なことです。このドキュメンタリーは多くの人々にザンスカールの魅力を知らしめたかもしれませんが、撮影スタッフが映像美や物語性を追求するあまり、ありのままの事実ではなく、いくつかの場面で作意と演出による映像を撮ったのだとすると‥‥少なくとも僕には、その価値はとても薄っぺらいものに感じられてしまいます。
僕自身も、日本ではインタビューを中心にした、ノンフィクションの文章を書くことを生業にしています。これから書こうとしているラダックについての本でも、そうした方が面白いからといって、嘘は絶対につかないようにしよう。そう改めて自身を戒めたいと思います。
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