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僕が伝えたいこと

お盆休みの時期だからか、ラダックにも大勢の日本人旅行者が訪れるようになりました。ところがどうしたわけか、そういった日本人の方々(もちろん初対面です)から、恐ろしいほどの高確率でこんな風に声をかけられるのです。

「日本人の方ですか? ‥‥もしかして、ラダックのブログを書かれている方ですか? いつも読んでいます!」

‥‥いったいどうなってるんでしょうか、このブログは。こちらではログを取っていないのでさっぱりわからないのですが、もしかすると、ものすごくたくさんの方々に読んでいただいているのかもしれません。僕の友達くらいしかチェックしていないと思ってたのですが‥‥。そうだとすると、物書きのはしくれとしてはとてもありがたいことです。本当にありがとうございます。

ただ、そうやってこちらで僕に声をかけてこられる方のほとんどが、その次に、

「どこかにいいゲストハウスはありませんか? おいしいレストランはどこですか? どこそことどこそことどこそこを回りたいんですが、どうすればいいですか? どこの旅行代理店がおすすめですか?」

と矢継ぎ早に質問されるのです。

‥‥本当に、本当に申し訳ありません。そういう類の情報、僕はまったくといっていいほど疎いんです‥‥。僕みたいなペーペーよりも詳しい情報をお持ちの方はほかにもたくさんいらっしゃいますし、ロンプラや旅行人のラダックガイドを参考にされた方が、よっぽど信頼できると思います。もちろん、質問された中で僕が知っていることがあればお教えしますし、何かトラブルで困ってらっしゃる方がいれば、できるだけお力になりたいとは思っているのですが。

ただ、僕がこのブログで、そして僕が書こうとしているラダックについての本で、いわゆる「ラダックを楽しく効率よく満喫する」ための情報は、これからもあまり書いていこうとは考えていないことは、あらかじめお伝えしておきたいと思います。

過去数回、そして今回のラダックでの滞在で訪れたほとんどの場所へ、僕はいつも一人きりで旅をしていました。ローカルバスが走っていればそれに乗り、バスがなければヒッチハイクをし、車が来なければ自分で歩いていきました。電灯さえない宿に泊まったり、宿がなければ民家の台所で寝かせてもらい、ゴンパの僧坊に泊めていただいたりもしました。別に、それが特別なことだとは考えていません。そういう旅でなければ感じ取れないこと、出会えない人がいる。ラダックの本当のすばらしさ、奥深さを伝えるためにはそうすることが必要だと思ったから、そうしただけなのです。

もちろん、ラダックに来られる日本人の方々のほとんどは、仕事の合間の限られたお休みを利用してやってこられている方々ですから、僕のようなもみくちゃな旅をされることが難しいことは重々承知しています(かつて日本で毎週のように仕事の締切に追われる日々を送っていた僕も、同じようなジレンマを抱えていました)。短い休みを満喫するために、快適なホテルに泊まり、おいしいレストランで食事をし、ジープで効率よくゴンパをめぐり、メインバザールでいいおみやげを買い‥‥。確かにそれもラダックの旅のひとつの楽しみ方です。でも、少なくとも僕が伝えたいのは、そういった類のことではないのです。

埃まみれになって一緒に畑を耕し、休憩中にバター茶を飲んでいる僕の顔を見ていた、ツェリン・ナムギャルのやさしいまなざし。宿の世話と役所の仕事でくたくたになっているのに、夜遅くにおいしいスキウを作ってくれて皿によそってくれた時の、デチェン・ラモの笑顔。そういうことをこそ、僕は伝えたい。そう思っています。

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コメント (2)

すごくよく分かります。
伝えたいこと、私の場合は料理(時には文章)に込めて伝えたいこと、
けれどなかなか伝わらないこと、伝わりにくいこと。
分かりやすい情報ばかりを求めすぎないよう、自分に言い聞かせています。

>ミヤザキさん
ありがとうございます。人に何かを伝えるというのは、本当に難しいことですよね。僕がラダックに来て3ヵ月以上が経ちましたが、来る前は自分の中でもおぼろげだったものが、次第に形が見えてきたような気がしています。

文章を書くということは、自分が伝えたいことは何なのか、それは自分にとって何なのかを、とことん突き詰めていくということ。

かつて編集者の先輩が教えてくれたこの言葉を常に自身に問いかけながら、ラダックでの日々を過ごしていきたいと思っています。

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2007年8月15日 22:50に投稿されたエントリーのページです。

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