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2006年8月12日

時をかける少女

時をかける少女」を観に行った。

細田守監督が手がけたこの作品は、同時期に公開されたアニメ映画「ゲド戦記」や「ブレイブ・ストーリー」に比べると、上映館数もメディア露出も極端に少ない。ところが、それに対してネット上での評価は、異様なほどに高いのだ。実際の作品の出来はどうなのか気になっていたので、好奇心半分で確かめに行くことにした。

で、感想。

正直、驚いた。これほどすごい出来だとは思わなかった。

主人公の真琴は、どこにでもいるようなごく普通の高校生の女の子。仲のいい男友達二人とつるんで、放課後に野球をして遊ぶのが毎日の日課だった。ところがある日、真琴は時間を跳躍する能力を身につける。最初のうちは、妹に食べられたプリンを取り戻したり、カラオケを延長なしで10時間歌い続けたり、バカなことにその能力を使うだけの真琴。でも、だんだんいろんなことがうまくいかなくなり、それをなんとかするために何度も時間を遡っていると、ますますこんがらがってきて、事態はやがて思いがけない方向に‥‥。

この作品、実は原作の続編という設定なのだが、細田監督は原作のニュアンスを活かしつつ、小気味いいテンポと予想のつかない展開で、観る者をグイグイ引き込んでいく。時間跳躍は何度も何度も繰り返されるのだが、まったく混乱することなく場面を追うことができるのは、監督の演出の巧みさによるところが大きい。

細田監督の作品は、2003年に公開されたルイ・ヴィトンの「SUPERFLAT MONOGRAM」というプロモーション映像しか観たことがなかったが、徹底的に作り込まれたその映像のクオリティは、ただただ圧倒的だった。このルイ・ヴィトンの映像のプロデューサー高城剛さんにインタビューした時、「細田さんは天才ですから」という言葉に、納得させられた記憶がある。生まれ持った才能と、子供向けのテレビアニメを数多く手がけてきたことで鍛えられたその手腕が、この「時をかける少女」で一つの結実を見せたのではないだろうか。

走って、転んで、また走って、転んで、傷だらけになって、鼻水たらしてわんわん泣いて‥‥。そうして何度も時間を跳躍するうちに、真琴は、ある大切なことに気づく。

今、この瞬間は、ただ一度しか訪れない。

ラストシーン、突き抜けるような夏の青空と入道雲が、爽やかで、せつない。観終わった後、前頭葉が痺れるような心地よい疲労感が残る映画だった。

‥‥アニメだからといって油断していると、涙腺が決壊してしまうかもしれないので、これから観に行く人は要注意(笑)。

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