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2006年2月 6日

向き合って撮るということ

旅先で人間の写真を撮る時、以前の僕は、いかに相手に気付かれないように撮るかということに心を砕いていた。

街の中を歩きながら、ここだ、という場面に出会うと、距離を目測しながら近付き、サッとカメラを構えておおよそのフレーミングを確認し、気付かれないうちにシャッターを切る。タイミングによってはほとんどノーファインダーで撮ることもある。

人々の自然な表情やしぐさを撮りたい時、この方法は有効だった。カメラは一眼レフよりも、相手にバレにくいコンパクトカメラの方がいい。商店街や市場の雑踏にまぎれるようにして、スパッ、スパッと写真を撮り歩くのは、旅のスナップショットの醍醐味だった。

ところが、先日訪れたラダックでは、この方法があまり、というか、ほとんど通用しなかった。というのも‥‥。

‥‥人が少なすぎた(笑)。

たとえば、田舎の村の一本道の道端で、ひなたぼっこしているばあさんに出会ったとする。当たり前だが、相手はこっちに気付いてしまう。気付かれずに撮るなんて最初から無理なのだ。だから、そのばあさんの写真を撮るには、まず「ジュレー(こんにちは)」とあいさつして、カメラを相手に見せた後、「撮らせてもらっていいですか?」と交渉しなければならない。

でもラダックでは、子供も大人も、ほとんどの人が快く写真を撮らせてくれた。そして、どういうわけか、みんなとてもいい表情をしてくれるのだ。撮った写真をデジカメの液晶モニタで見せると、にっこり笑ってうなずいてくれる。ほんのささやかなやりとりだったが、いつのまにか僕は、相手と真正面から向き合って撮るこのやり方が、とても楽しく感じるようになっていた。

向き合って撮るというやり方は、どんな場面でも通用するとは限らない。真正面から写真を撮られることを嫌がる人もいるし、お金を要求してくる人もいる。そういう場合は気付かれないように撮るやり方を選ぶか、さもなければあきらめた方がいい。要は、どうやって二つのやり方を使い分けるか、なのだろう。

僕としては、向き合って撮るというやり方をこれからもっと学んでいこうと思っている。カメラを挟んで真正面で向き合いながら、なおかつ自然な表情を引き出すのは、やってみるとなかなかに難しい。でも、それが楽しいのだ。

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