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2005年11月 1日

僕の文章修行

フリーライターという仕事柄、「文章を書くコツって何ですか?」みたいなことをよく聞かれる。

正直、よくわからない。

「一文を短くする」「主語と述語をはっきりさせる」「形容詞や副詞を多用しすぎない」「同じ表現の重複を避ける」‥‥といった、それっぽいセオリーは確かに存在する。ただ世の中には、こうしたセオリーにまるで当てはまらないのに、人々の心を掴んで離さない文章がたくさんある。それに、一口に文章と言っても、その目的によって求められるスタイルはさまざまだ。事実を正確に伝えるレポート、心を解きほぐすエッセイ、想像力をかき立てる小説‥‥。どんな文章でも通用するセオリーなんて、たぶん誰にもわからない。

では、僕の場合、どうやって文章を書いているのかというと‥‥。

僕の仕事はインタビューやレポートが多いのだが、セオリーやテクニックはほとんど気にしないで書いている。もちろん、何百本も原稿を書きまくっているうちに、ある程度自分なりの書き方を身体で覚えた部分はある。でも実のところ、文章を書くのにそんなテクニックはさほど重要ではない。

むしろ僕にとって大事なのは、文章を書き始める前に、自分が人に伝えたいことは何なのか、それは自分にとって何なのかということを、とことんまで突き詰める作業だ。それがはっきりしないまま漠然と書き始めても、いい文章になるはずがない。

そして実際に書く時は、ありったけの思いを注ぎ込んで‥‥これ以上はないほど冷静に書く。矛盾しているかもしれないけど、思いをそのままぶちまけてしまうと、感傷でべたべたした文章になりやすい。伝えたいことがはっきり掴めていれば、抑制した文章を書いても、思いは自然とにじみ出る。少なくとも僕にとっては、そのくらいの塩梅でちょうどいい。

これは僕にしか当てはまらないやり方かもしれないし、僕自身、新しい題材に取り組むたびに、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤を繰り返している。日々是文章修行。本当に書きたいこと、本当に伝えたいことに取り組む時は、脳味噌がちぎれそうなくらい苦しくなる。その苦しみこそが物書きの醍醐味といえば、そうなのかもしれないけれど。

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